「ロジクール ONE “with Office”」

ロジクール、法人事業を強化へ。新パートナーシップ設立で「新たな働き方」実現目指す

編集部:平山洸太

左から、ハーマンミラージャパン株式会社 Contract Senior Sales Manager 並木小百合氏、株式会社ロジクール 代表取締役社長 笠原健司氏、株式会社イトーキ 常務執行役員 スマートオフィス商品開発本部本部長 長尾和芳氏、株式会社ソーシャルインテリア 取締役 COO 有田崇氏

ロジクールは、法人事業における新パートナーシッププログラム「ロジクール ONE “with Office”」の設立を発表した。これにより、オフィス内外を問わずオープンなコミュニケーションを可能にし、イノベーティブな働き方の実現を目指していくとしている。

設立にあたり、都内で発表会が開催。同社の代表取締役社長 笠原健司氏が登壇し、法人ビジネスの事業戦略、およびパートナーシップの目的を説明した。

THE NEW LOGIC OF WORK

ロジクールの親会社であるLogitech Internationalは、グローバルで「THE NEW LOGIC OF WORK」というスローガンを掲げている。これは仕事や働き方のロジックを、旧来のものから新しいものに変革していく、という意味を込めているという。

「THE NEW LOGIC OF WORK」

笠原氏は「コロナを経て多くの人々の働き方が変わった」と述べ、たとえばコロナ前は毎日出社しているのが当たり前だったが、コロナ禍を経て様々な働き方が生まれたと説明。さまざまな場所で働いたり、イノベーティブな働き方が出てきたりしたという。

一方で課題としているのが、新しい働き方をふまえたオフィスの在り方だ。「オフィスという場所が自由かつ効率的な働き方を実現するためのツールになっている」と笠原氏は分析しており、そういうなかで課題にアクセスして提案していきたいとする。

株式会社ロジクール 代表取締役社長 笠原健司氏

なおロジクールが2023年9月に依頼した調査によると、62%の従業員がオフィスでのフルタイム勤務に戻る場合は離職を検討し、82%はリモートワークを支持しているとのこと。また他のデータとして、経営側は優秀な人材定着を89%が望み、48%の企業が2022年に会議スペースの増設を計画したという。一方、65%の従業員が同僚とのつながりが減少したと回答したデータもある。

新たな働き方における状況

こういったデータをふまえて、ロジクールでは「場所を選ばない創造的な働き方の実現」をミッションに設定。日本における法人事業は「イノベーティブな働き方を模索している企業をテクノロジーで支援」することを軸にし、経営資源を注ぎ込んでいくとした。

「場所を選ばない創造的な働き方の実現」

“イノベーティブな働き方”を支援

ロジクールでは、コンシューマーの視点では、マウスやキーボードといったPC周辺機器で良く知られている。法人事業ではこういったアイテムではなく、「ビデオコラボレーションがメインになると考えている」と笠原氏は述べる。ビデオ会議やウェブ会議の機器やソリューションに注力していくとのことだ。

現在ロジクールのビデオコラボレーションは、2023年の第2四半期に実施した調査によると、台数ベースでも金額ベースでも、全世界でナンバーワンのシェアを獲得している。医療、銀行、自動車メーカー、製薬、製造業、官庁や地方自治体、金融、保険など幅広い業界で導入されているという。

有名企業にも多数の導入実績をアピールする

笠原氏によると、全世界で1億部屋あるという会議室のうち、ビデオコラボレーションを導入している会議室は10%に満たないという。日本でも同様で、100〜110万あると言われている会議室だが、90%がホワイトスペースになっているとのこと。ロジクールではここに法人事業の可能性を見出したようだ。

ビデオコラボレーションが導入されている会議スペースはまだ少ないという

一方、“新たなロジック” におけるオフィスの課題を解決するためには、ロジクールが得意とするテクノロジー以外にも、幅広い支援が必要になる。具体的には、オフィスデザインや家具、オフィスを構築するデベロッパー、オフィスのIT全般のコンサルティングと管理、人事体系の変更とそのコンサルティングだという。

パートナーシップの参画対象

そこで生まれたのが、今回のロジクール ONE “with Office”というプログラムだ。これは日本独自の取り組みであり、さまざまなパートナー企業と連携することで「イノベーティブな働き方を模索している企業を支援していく」と笠原氏は改めて強調した。

3年間で30社まで拡大していく

ロジクール ONE “with Office”設立と合わせて、当初のパートナー企業として6社が発表。まずは、イトーキ、ハーマンミラージャパン、ソーシャルインテリア、野村総合研究所、ワークプレイス ソリューションズ、日本スチールケースと連携していく。

当初のパートナーシップ参画企業

このパートナーシップは今後3年間で30社まで拡大する目標としていくとのこと。加えて売上を50億にまで拡大し、「この分野でリーディングカンパニーになっていくことをコミットしたい」と笠原氏は表明した。なお協業にあたり重要視しているのは「活動の方向性に共感して頂ける」ことであり、30社というのはあくまで目安だという。

今後3年の展望

発表会ではパートナー企業のうち、イトーキ、ハーマンミラージャパン、ソーシャルインテリアの3社から担当者が登壇。各々がパートナーシップによって、自社のビジネスとロジクールの相乗効果が生まれることに期待を寄せた。

このうちイトーキは、ロジクール製品と併用することを前提にしたオフィス家具を投入済みだ。たとえば半円形にすることでビデオ会議の一体感を図った「Panora」というデスクでは、ロジクールのウェブカメラの画角に最適化している。今後パートナーシップにおいては、一歩踏み込んだ商品開発だけでなく、協力して営業やマーケティングを行うことで、それぞれがもつ別の顧客基盤にアプローチしていきたいという。

「Panora」

また発表会では、本社Logitech Internationalで取締役 技術革新委員を務めるGuy Gecht氏がビデオメッセージを寄せた。Gecht氏は「日本は言うまでもなく非常に重要で戦略的な市場」としつつ、「働き方が進化していく中で必要なイノベーションを日本市場にもたらすべく、イトーキ様を含むパートナー様とともに今後も取り組んでいく」と強調した。

Logitech International 取締役 技術革新委員 Guy Gecht氏

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