しかしEvernoteを完全代替できるサービスがないとの声も

Evernoteが無料で作れるノートを「50件まで」に制限、12月4日から

Image:Top_CNX/Shutterstock.com

クラウドメモアプリ「Evernote」が無料ユーザーに対して機能制限するテストを開始してから数日後、この仕様を正式に採用することを発表した。12月4日から、すべての新規および既存の無料ユーザーに適用される。

Evernoteはブログにて、今後は無料プランでは1アカウントにつきノートブックは1つ、ノートは最大50のみ利用できると発表。現在、それ以上のノートブックとノートを持つユーザーは、既存のノートとノートブックの閲覧、編集、エクスポート、共有、削除が可能とのことだ。

なお、12月1日時点では、新たな仕様は「Evernoteのシステムの制限」ページに言及はない。12月4日以降に反映される見通しだ。

今週初め、複数の無料ユーザーが「有料プランにアップグレードしない限り、作成できるノートブックの数は1つ、ノートは50個に制限される」というエラーメッセージが出ると訴えていた。これを受けてEvernoteが米TechCunchに、無料ユーザーの1%未満を対象にテストを実施していると認めていた。

Evernoteによると、ほとんどの無料ユーザーは新たな制限を下回っているという。しかし、今回の変更は「Evernoteとの関係を再考するきっかけになるかもしれない」「Evernoteの可能性を最大限に引き出し、将来の発展を支えることに関心があれば、有料サブスクリプションをご検討頂きたい」とも付け加えており、プラン切り替えに誘導する意図を隠していない。

従来、無料ユーザーが作れるノートブック数は250、ノートの数は10万だった。それぞれ1と50への縮小は、大幅どころではない制限である。

昨年11月、Evernoteはイタリアに拠点を置くBending Spoonsにより買収された。その後、同社は今年2月に129人を解雇。当時、広報担当者は「何年も採算が取れず、長期的には持続不可能な状況だった」と語っていた。

さらに7月には米国とチリの従業員をほぼ全員解雇し、事業をヨーロッパに移管。今回の無料ユーザーに対する制限の強化は、それに続くテコ入れだろう。また、Evernoteはノートを溜め込むほどアプリの挙動が重くなる傾向があり、運営側としてはサーバーへの負荷を軽くする狙いがあるのかもしれない。

かたやユーザー視点で見れば、最近「Evernote Notion OneNote 移行」で検索すると、ヒットする情報ページが充実してきた印象もある。

とはいえ、サービスごとに機能やユーザーインターフェースにかなりの違いがあるため、現在の公式・非公式移行ツールでは不満との声もある。Evernoteが無料ユーザーへの締め付けを強化したことで、競合他社もその受け皿となるべく準備を進めている可能性もありそうだ。

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