マイクロソフトは今後も提携を続けると表明
OpenAIがアルトマンCEOを電撃解任。「率直さの欠如」や「リーダー能力への不信」から
人気の対話型AI「ChatGPT」を開発するOpenAIは、サム・アルトマンCEOが退社したことを発表した。取締役会の決定による、事実上の解任だ。ミラ・ムラティCTO(最高技術責任者)が暫定CEOに就任する。
同社の公式ブログによると、アルトマン氏は「取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直さを欠き、取締役会の責任遂行を妨げた」「引き続きOpenAIを率いる能力をもはや信頼していない」とのことだ。
アルトマン氏もX(旧Twitter)にて「OpenAIで過ごした時間はとても楽しかった。自分自身も、そして世界にとっても少しは変革に繋がるものだった。なにより、才能ある人たちと働くのが好きだった。今後については、また後日」と述べている。
ニュースメディアSemaforによると、アルトマン氏はハードテック(hard tech)に特化したVCファンドを立ち上げている最中とのことだが、それが解任の理由かどうかは不明だ。
また、共同創業者で社長のグレッグ・ブロックマン氏も退社を表明。OpenAIは取締役会長を退く一方で会社に留まると述べていたが、発表の数時間後にブロックマン氏は「今日のニュースを知ってから」辞めたとXに投稿している。
一方、これまでOpenAIに数十億ドルを投資してきたマイクロソフトは、今後も提携を続けるとThe Vergeに語っている。
その声明によると「我々はOpenAIと長期的なパートナーシップを締結しており、次世代AIを顧客に提供するために、ミラと彼らのチームに引き続きコミットしている」とのこと。同社のサティア・ナデラCEOも、Xにて同様の発言をしている。
アルトマン氏はOpenAIの顔であり、昨年ChatGPTを公開したことで全世界的な生成AI競争の火付け役となった。その一挙手一投足にも注目が集まり、アップルの元最高デザイン責任者ジョニー・アイブ氏と「AIのiPhone」開発について話し合ったとの報道もある。
それは本人自ら否定していたが、同氏が筆頭株主のHumane社は、小型ウェアラブル「Humane Ai Pin」の受注を開始したばかりだ。アルトマン氏は今後もAI関連の「ハードテック」に関わり続けていくのかもしれない。
今のところ、アルトマン氏が解任された理由が、OpenAIの主張通りなのか、それとも裏事情があるのかは不明だ。巨額の資金を投じているマイクロソフトと方向性の食い違いが生じた可能性もあるが、推測の域を出ないだろう。