夜なのに無灯火で走行

無人の自動運転タクシーが交通違反。パトカーが止めるも警官とまどう

Image:b.rad916/Instagram

米サンフランシスコでは、GMの自動運転技術子会社であるCruiseが、2月から無人ロボットタクシーの運行を開始している。一般人も乗客として利用することができ、最近では元サンフランシスコ市長のウィリー・ブラウン氏がその後部座席に座り「自分が運転するよりもはるかに安全だと感じた」と述べていた

ただ、あくまでこれはまだ試験的なサービスであり、自動運転技術もまだまだ発展途上というのが実際のところだ。そして、それを証明するような出来事が4月2日に発生した。

Instagramに投稿された動画では、すっかり日が暮れた時間帯なのに無灯火で走行する車を発見したパトカーが、問題の車両であるCruiseのロボタクシーを停止させ、運転席へと近寄った。しかし当然ながら車内は無人で、ドアもロックがかかっており、開けることができなかった

警官がいったんパトカーに戻ったところ、ロボタクシーはまるで逃走を図ったかのように走行を再開し、警察官が慌てて後を追う様子が、動画から見て取れる。幸いにもロボタクシーは目前の交差点を通過したところで再び停車し、ヘッドライトを点灯させる方法を探しつつどこかへ電話をかけていた。

Cruiseの広報担当者は、このロボタクシーの不可解な動きについて、逃走を図ったのではなく、より安全な場所に停止するために動いたのだとし、プログラムされたとおりの動きだとThe Vergeに説明している。またTechCrunchは、このCruiseの車両は完全に自動運転ではなく、パトカーに停車させられたことがわかった後、遠隔のオペレーターが交差点を通過した先の方が安全だと判断して、そこへ移動するように指示するコマンドを発したと伝えた。

また、Cruiseはサンフランシスコ警察と密接に連携し、このような状況になった場合の対応のため、専用の電話番号を用意していると述べた。動画内で警官がかけていたのはこの電話番号に対してだった模様で、今回は違反切符は切られなかったとのことだ。

Cruiseの無人ロボットタクシーは、LiDAR技術で周囲環境を把握し、コンピューターに自動運転のための情報を提供する。問題の車両が無灯火で走っていた直接の原因は明らかにされていないが、単純に自動点灯のスイッチが入っていなかったか、市街地であるために周囲の明るさを正しく感知しなかった可能性が考えられる。

なお、このCruiseの無人車の走行は午後10時から午前6時に限って許可されているため、本来なら無灯火で走ることはありえない。ただ、Cruiseはヘッドライトを点灯していなかったことについても、すでに問題を修正したとThe Vergeに説明している。

いずれにせよ、SNSに投稿された動画からわかるのは、無人の自動運転車両が交通違反を犯した際の対応がまだはっきりしていないことだ。

カリフォルニア大学デービス校の法学教授、エリザベス・E・ジョー氏は、将来的には自動運転車が交通違反を犯したら、確認した警察から、そのクルマのダッシュボードに違反チケットが送信されるようになると予想している。

しかし、仮にそういった仕組みが実現したとしても、警察は自動運転車が車内に密輸品や犯罪の証拠になるなにかが積み込まれていないかを確認するだろうと述べている。また、米国の法律において自動車の違反の取り締まりは「人間の運転手と人間の警察官を前提としているため、自動運転車が関連するケースは法律と政策について難しい問題を提起する」とし、すぐにも対処方法の検討を開始すべきだとした。

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