約560万~840万円になると予想されています

“地球からの伝言“を記録して宇宙漂う「ゴールデンレコード」、セーガンの私的複製マスターテープが競売に

Iamge:Sotheby’s

1977年に打ち上げられ、太陽圏を脱出したいまもわれわれに貴重なデータを送り続けている探査機ボイジャー1号および2号には「The sounds of Earth(地球の音)」と題された金メッキされた銅板製LPレコードが搭載されている。

このレコードの搭載を提案したカール・セーガンは、レコードに収録された音源のマスターテープのコピーを所有しており、それがこのほど、サザビーズのオークションに出品された。サザビーズによると、ボイジャー計画に関連する品物がオークションに出品されたのはこれが初めてだという。

ゴールデンレコードは、昔の人々が瓶のなかに手紙を入れて海に流したのと同じように、いつかどこかで誰かがそれを発見し、内容を理解することを期待して行われたロマン溢れるものだ。

Image:NASA/JPL

収録されている地球の音は、59の言語による挨拶、27曲の音楽など。選曲は非常に独創的で、音楽学者しか知らないような極めてマニアックな楽曲を収録する一方で、多くの馴染みのあるクラシック曲などは含まれていないという点で物議を醸したというエピソードがある。また、カール・セーガンは当初、ビートルズの楽曲「Here Comes the Sun」を収録しようとしたが、レコード会社が難色を示したため実現に至らなかったという。

また、このレコード(フォノグラフ)には画像も記録でき、115枚の画像が音として収録されている。これらの画像には再生装置が正常に動作していることを確認するための調整用図案のほか、地球を発見する方法の説明、数学の方程式、地球の生化学に関する説明などから、建築物、食事をする人々、競技イベント、ダンス、技術、農業、野生生物など、地球における生命活動のさまざまなシーンが含まれている。

Image:Sotheby’s

サザビーズの科学および一般大衆文化に関する責任者のカサンドラ・ハットン氏は「ボイジャー計画は歴史上、最も偉大な宇宙探査ミッションのひとつで、そのなかでもゴールデンレコードは、宇宙の大いなる未知に直面した際の驚異と魅了、そして謙虚さを反映したものだ」と説明し「カール・セーガンとアン・ドルーヤンの手引きにより、膨大な作業によって制作されたレコードの深遠でユニークなアーティファクトである彼らの個人的なコピーを(オークションに)提供できることは、大変名誉なことだ」と述べた。

サザビーズでは、このゴールデンレコードのプライベートコピーへの入札を7月23日まで受け付けており、予想入札価格は約40万~60万ドル(約560万~840万円)になると予想されている。

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