任天堂とのパートナーシップは考えにくそう

クアルコム、任天堂やソニーと「将来の携帯ゲーム機」について協議したとの噂

Image:Lukmanazis/Shutterstock.com

携帯ゲーム機市場は、2017年にNintendo Switchが(据え置きと両対応という形で)登場してから独占している印象があったが、最近にわかに活気づいている。まずPCゲームが遊べる「Steam Deck」が登場して人気を集め、先月にはASUSが「ROG Ally」を国内発表。さらにソニーもPS5リモートプレイ機「Project Q」をお披露目して、PS Vitaの生産終了から数年ぶりに“復帰”を表明している。

そんななか、米クアルコムも任天堂やソニーと携帯ゲーム機について話し合ったとの噂が報じられている。

未発表のAndroid製品に詳しいリーカーRevegnusのツイートによると、最近クアルコムのシニアバイスプレジデントであるAlex Katouzian氏は、任天堂およびソニーと「将来の携帯ゲーミングデバイス」に関して協議したという。これが実際の事業提携に繋がるかどうかは不透明とのことだ。

https://twitter.com/Tech_Reve/status/1663843178527744000?s=20

クアルコムが携帯ゲーム機市場に興味を示しているとの噂は、今回が初めてではない。数年前にも、本体の左右にJoy-Con風の着脱式コントローラーを備え、スマートフォンを分厚くしたような形状のハードウェアを開発しているとの証言もあった。チップセットにSnapdragonシリーズを採用、Google PlayストアやEpic Gamesストアアプリも搭載されるという、かなり具体性ある情報だった。

ソニーと任天堂ともに他社からチップを調達しているのに対して、クアルコムはSnapdragonシリーズを自社開発している。そのチップを搭載した他社製Androidスマートフォンが「ゲーム機」として活躍していることから、同社が直接ゲーム事業に参入したとしても不思議ではない。

その場合、クアルコムはスマートフォン向けチップではなく、携帯ゲーム機に特化したプロセッサーを用意するのかもしれない。すでにAndroidゲーム機向けSnapdragon G3x Gen 1が投入されており、その延長上に位置する可能性もある。携帯ゲーム機はスマホよりも筐体が大きくて放熱もしやすく、チップのパフォーマンスも上げやすいだろう。

ちょうどクアルコムは、新たなCPUコア「Oryon」を今後のチップセットに導入する見通しだ。1つには2世代後のハイエンドスマホ向け「Snapdragon 8 Gen 4」であり、次期「Snapdragon 8 Gen 3」を大きく凌駕するとの噂もある。

https://twitter.com/Tech_Reve/status/1639770694631444480?s=20

もう1つはノートPC向けの「Snapdragon 8cx Gen 4」。こちらはマルチコア性能に限れば、アップルの次期チップ「M3」を圧倒するとのリーク情報もあった

おそらく性能だけであれば、クアルコムによるチップセットはゲーム機向けに何の問題ない。が、同社にはゲームビジネスの経験もノウハウも欠けており、そのために上記の自社製ゲームハードも未だに世に出ていないと推測される。

しかし、PlayStationブランドのゲームをPCに移植するなどマルチプラットフォームに積極的なソニーはさておき、任天堂が自社ゲームをそのままの形で他社ハードに提供するとは考えにくい。実際、同社のモバイルゲームはスマホ向けにアレンジしたものばかりだ

ともあれSnapdragon系であれば、携帯ゲーム機でネックとなりやすいバッテリー持ちの短さが解消されるはず。ゲーマーにとってもハードの選択肢が多いに越したことはなく、続報を待ちたいところだ。

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