北米での製造委託も狙いか

MetaがMagic Leapと複数年契約を交渉中との報道

Image:Bram Van Oost/shutterstock.com

間もなく、Appleも自社ARヘッドセットでAR/VR分野に参入すると見られているが、それに対抗するという目論みもあるのか、MetaがMagic Leapと複数年契約を結ぶ交渉を行っていると報じられている。

Financial Timesが関係者からの話として伝えているところによると、この提携により新しいヘッドセットが開発されるということを見越しているわけではないとのこと。Magic Leapは、米国で数万台のARヘッドセットを製造する能力を持っており、Metaは、Magic Leapが持つAR関連のハードウェアやソフトウェア知財とあわせて、この製造能力に注目しているようだ。

近年、米国のハイテク企業は中国依存を減らす傾向が強まっているが、それはMetaも例外ではない。もしMagic Leapとの契約が成れば、同社のVRヘッドセットを国内生産できる可能性もある。

日本でもドコモが資本提携し販売されたMagic Leapだが、2018年に発売された「Magic Leap 1」は数千台しか売れずに、同社はターゲットをコンシューマー市場から法人市場に変更。会社の身売りも報じられていたが、2022年にはもとからの出資者であったサウジアラビアの政府系ファンドが過半数の株式を取得したと伝えられている。

Magic LeapのPeggy Johnson CEOは、昨年末に「What’s Next for Magic Leap」と題した記事を更新。「当社の知的財産をライセンスし、特許取得済みの製造プロセスを利用して独自の複合現実技術を立ち上げようとしている他社向けの光学部品を製造することに、業界全体から信じられないほどの関心を集めている」と述べていた。

市場調査会社IDCによると、2022年のAR/VRヘッドセットの世界出荷台数は前年比20.9%減の880万台。そのうち約80%のシェアをMetaが占めている。ただAppleが参入してくると、このリードでも心許ないところだろう。Metaとしては、Magic Leapの光学技術や国内製造というアドバンテージを手にしておきたいところなのかもしれない。

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