2021年の「#AppleToo」運動から数年越し

アップル、全米の直営店で労組結成のリスク強調との報道

Image:Andrey Bayda/Shutterstock.com

昨年6月、東部メリーランド州にあるApple Storeで米国内初の労組が結成されて以降、アップルは他の店舗への広がりを阻止しようとしていると報じられてきた。元をたどれば2021年に従業員らが給与の公平性や多様性に関する証言を集めるサイト「#AppleToo」を立ち上げたことに遡り、数年越しの動きとなっている。

そして現在、アップルが直営店の従業員と「組合結成のリスクについて話し合う」ための全国規模のミーティングを行うなど、組合結成を阻止するための努力を続けているとBloombergが報じている。

アップルの内情に詳しいMark Gurman記者は、米国内にある約270のApple Storeマネージャーらが、従業員らとのミーティングを行い、組合結成第1号店であるメリーランド州タウソン店との交渉についての「計画的な最新情報」を提供したと述べている。

マネージャーらはアップル本社のコーポレート・チーム(人事などを担当)からの「用意されたメッセージ」を読み上げたという。そこではタウソンでの交渉につき「ちょっとした注意点」が言及されたそうだ。

1つには、タウソン店の従業員らが属する機械・航空宇宙関係の産業別労組は、給与の1.5%に相当する会費を要求しているということ。その金額は時間の経過とともに膨れ上がり、支払いに応じない従業員は、組合の提案に基づき、1カ月以内に解雇される可能性があると述べたという。

またタウソン店では週末の休みを取りたい正社員を優先して、パートタイマーが不利な立場に置かれていること。そしてベテランの従業員が新しいスタッフよりも優先的に仕事を任されている、といったところだ。

さらに各店舗のマネージャーらは組合結成の手続きを説明したが、かなりバイアスが掛かっていたようだ。すなわち労組への加入を問う投票に参加した人がごく一部にすぎず、そのうち過半数が加入を決めたとしても、店全体が組合に入った扱いになると告げたとのこと。これらの説明が、労組運動に冷や水を浴びせていると感じた従業員もいるという。

そしてアップル側は従業員に対して「投票する権利を信じているが、投票する内容について十分な情報を得ることを望んでいる」と伝えたとのこと。言語化はされていないものの、同社の根本的なメッセージは明確だ。つまり「君たちの店舗が組合化した場合、君たちは不利益を被るかもしれない」ということだと、Gurman氏は説明している。

かたやアップルとタウソン労組との交渉も、ほとんど歩み寄れていないようだ。組合は約20の提案をしている一方で、アップルはわずか2つの提案しかしていないという。今のところ合意に至ったのは「差別禁止ポリシーの更新」のみであり、しかも「アップルだけでなく、組合側も差別を許さない」という文言を追加させたとのことだ。

アップルは給与の隔週払いから週払いへの切り替え、第三者による仲裁者の活用、昇進と解雇を在職期間に基づいて行うことや、スケジュール管理方針の変更などに関する提案を拒否したという。同社が極力レイオフを避けているのも、労組結成を盛り上げないための配慮なのかもしれない。

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