アップルのAPI公開から2年以上が経過

「ヘイSiri、Spotifyを再生して」がHomePodで使えないのは“要望が少ない”から?

Image:Yalcin Sonat/Shutterstock.com

アップルは2020年に、同社のスマートスピーカー「HomePod」でサードパーティの音楽サービスに対応すると発表していた。それから2年以上が経過したが、いまだにHomePodやHomePod mini単体で「ヘイSiri、Spotifyを再生して」は実現していない。

この件につき、SpotifyはHomePodネイティブ対応の未提供に対して「それほどの量」の苦情がない、つまりユーザーからの要望があまりないと主張しているそうだ。

これはBloombergのMark Gurman記者が、自らのニュースレター「Power On」最新号で述べていることだ。しかし、Spotify公式コミュニティではHomePodネイティブ対応を提唱する投稿は5900近くの賛成を集めており、同社の言い分はにわかに信じがたい。アップルが必要なAPIを公開している以上、対応しないのは「Spotifyが非対応を選んでいる」からだろう。

Spotifyは2019年、アップルが独占的立場を利用して不当な利益を得ているとして、EUに申し立てを行った。Spotifyやその他の音楽ストリーミングサービスから収益の30%を徴集しており、Apple Musicを有利に扱っているという主張だ(現在Spotifyはアプリ内課金を廃止しているが)。

この訴えと並行して、Spotifyはアップルが反競争的だと批判するサイト「Time to Play Fair」を開設している。そこではHomePodがSpotifyなど競合する音楽ストリーミングを締め出したと記されているが、その日にちは2018年2月。今から5年以上も前のことだ。

またSpotifyは、iPhone/iPad用アプリを更新してAirPlay 2に対応すると繰り返し約束してきたが、こちらも実現されていない。SpotifyアプリはAirPlayをサポートしているものの、マルチルーム再生やバッファ機能の強化など、2018年6月(iOS 11.4以降)に登場したAirPlay 2を採用する気配が未だにないのである。

SpotifyはGurman氏に対して「将来のある時点で、AirPlay 2に対応することに引き続き取り組んでいく」「いずれ実現する方向で進んでいる」と述べているものの、具体的な時期には言及していない。

同社はロスレスストリーミング「Spotify Hi-Fi」も発表から2年後の今なおリリースせず、「ある時点で登場」というに留めている。社内の限られた開発リソースの配分や、他社と競合する上での価格設定など、様々な思惑が絡んで動きが取りにくいのかもしれない。

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