全タイトルをゲーム機ごと保存団体に寄附

「3DS」「Wii U」のDL版ソフト販売が3/28終了。サービス停止前に“全購入”したユーザー出現

Image:The Completionist/YouTube

任天堂は3月28日午前9時、ニンテンドー3DSおよびWii U向け「ニンテンドーeショップ」での購入機能を停止する。それ以降は新たにeショップでソフト本体やDLCを買えなくなり、入手の機会が失われるタイトルも出てくるということだ。なお、購入済みタイトルのダウンロードは引き続き行える。

ショップ機能の終焉まで残り時間わずかのなか、この3DSとWii Uのダウンロード版タイトルを文字通りすべて購入し、2万2791ドル(3月20日現在、約300万円)を費やしたYouTuberが現れた。

すべてのゲームを100%コンプリートすることで知られるYouTuberの「The Completionist」ことJirard Khalil氏は、3DSとWii Uのダウンロード版タイトルが永遠に失われる前に「保存」することを目的としていたという。ちなみにKhalil氏は、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」30周年にお祝いコメントを寄せていたことがある。

今回入手したダウンロード版タイトルは、4月15日と16日に自らのTwitchチャンネルで披露した後、全てをGame History Foundation(VGHF)に寄附し「生き続けられるようにする」とのこと。VGHFとは、ビデオゲームの歴史関連資料をアーカイブして保存する非営利団体である。Khalil氏はビデオゲームの保存に関して、メディアが失われていくことは現実的に差し迫っていると語っている。だからこそ、VGHFのような組織を長年にわたって支援し、ビデオゲームのコードや印刷物などの保存を支えてきたという。

このミッションに費やされた資金は、The Completionistチャンネルのスポンサーにより集められたそうだ。最終的には、866本のWii Uゲームと1547本の3DSゲーム(DSiウェア、バーチャルコンソール、DLCを含む)を464枚のニンテンドープリペイドカードにより購入した。ストレージ占有量は、Wii Uで1.2TB、3DSで267GBに上るとのことだ。Wii Uと3DSでプレイ可能なあらゆるゲームが保存されたことを強調しており、物理的なパッケージ版には言及されていないが、こちらは言うまでもなくコンプリート済みかもしれない。

コンプリートまでにKhalil氏が歩んだ道のりは、ただお金を注ぎ込めばいい、というものではなかった。店舗がプリペイドカードの購入枚数を制限していたり、ニンテンドーeショップの残高に上限があったり(日本では7万円)と、乗り越えるべきハードルは多くあった。また一部のゲームでは、DLCを買うためにゲーム本編をクリアする必要があり、無用な時間を過ごしたこともあったという。

1年前に任天堂がeショップ終了を発表した当時、VGHFは「ビデオゲームの歴史を積極的に破壊する」と批判していた。そこでは任天堂がこの決定にいたった「ビジネス上の現実」を理解しているとしつつも、ファンに対して配信停止になったゲームに合法的な手段で触れることまで妨げようとしている(図書館でもプレイできなくするようロビー活動を展開するなど)と述べられていた

任天堂も営利組織である以上、過去のハード向け配信サービスに高額なサーバー代を費やし続ける理由はないだろう。その一方で、Nintendo Switch Onlineなど現行ハード向けサブスクリプション等でレトロゲームのさらなる追加が望まれそうだ。

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