もともとの寿命は15年
ハッブル宇宙望遠鏡、延命できる可能性。NASAとSpaceXが調査へ
NASAが、SpaceXと民間有人宇宙飛行を推進する団体Polaris Programからの提案により、ハッブル宇宙望遠鏡の軌道を押し上げ、その役割を延長するためにDragon宇宙船を使えるかどうか、調査を行うと発表した。
ハッブル宇宙望遠鏡は、希薄ながらも周囲に存在する大気の抵抗によって少しずつその高度を下げており、スペースシャトルによって行われた2009年のメンテナンス時に比べると、現在のハッブルの位置は30kmも地球に近づいている。これを安定した軌道にまで押し上げることができれば、あと何年も使うことが可能になるという。
SpaceXとともにこの提案を行ったPolarisのジャレッド・アイザックマン氏は、実業家かつ資産家であり、2021年に初の民間人だけでの有人宇宙飛行として行われたミッション「Inspiration4」に出資し、自らクルーを率いていた人物だ。
記事執筆時点では、計画はあくまで実現の可能性を探る予備調査的なものであり、NASAはこのための予算を用意することもなければ、決意をもって計画を推し進めることもしないと、一歩引いた立場からの協力にとどめる意向を示している。またNASAとSpaceXとの間には独占契約もなく、他社が自らの宇宙船を使った同様のプロジェクトをNASAに提案することもできるという。
とはいえ、NASAとSpaceXはハッブル側とDragon宇宙船側の両方から技術的なデータを突き合わせ、宇宙船が宇宙望遠鏡に安全にドッキングできるかどうか、6か月ほどの期間をかけて情報収集していくとのこと。
もし、うまくハッブルの軌道を押し上げることができれば、そのミッションで得られるノウハウは、他の軌道上の観測機や人工衛星にも応用できる可能性もありそうだ。