日本への進出は?
「Spotify Audiobooks」米国で開始。ラインナップは約30万冊、買い切り型のオーディオブック販売サービス
Spotifyが、米国内で30万タイトル以上のオーディオブックの配信を開始すると発表した。これはSpotifyが2015年に導入し、440万以上の番組を配信するまでに成長したポッドキャストに続く、新分野への進出と言えそうだ。
Spotifyはこれまで、まったくオーディオブックと無縁だったわけではない。2020年にはさまざまな著名人が読み上げる「ハリー・ポッターと賢者の石」のオーディオ版を配信し、2021年にもいくつかのパブリックドメインの書籍を著名人が朗読するコンテンツを追加していた。
そして昨年11月には、32万5000冊以上のタイトルを持つオーディオブック・プラットフォームFindawayを買収し、あとはSpotify上での配信を待つばかりといった状況になっていた。ちなみにFindawayは、アマチュアのオーディオブック作者が作品を作成、配布、収益化できるようにすることが可能なサービスを提供している。
Spotifyのオーディオブックライブラリは、主要な出版社のタイトルだけでなく、インディーズやクリエイターが作成したコンテンツで構成されているという。Spotifyの副社長兼オーディオブック担当グローバルヘッド・Nir Zicherman氏は、オーディオブックの分野は書籍市場全体において6~7%のシェアしかないが、前年比でみれば約20%以上の成長を見せていると述べ、「我々は、オーディオブックを未来にもたらす会社になりたいと考えている」とした。
現在オーディオブック市場のなかでは、米Amazon傘下のAudibleが約41%のシェアを持ってトップを走っている。またAmazonは、自社ブランドでもオーディオブックを展開している。それらに続くのはアップル、Google、Walmartと提携した楽天などだ。
なお、音楽は聴き放題のSpotifyだが、オーディオブックの方はタイトルごとに購入が必要になるとのこと。Zicherman氏は聴き放題方式にしなかった理由について、「将来的に新しいオーディオブックのビジネスモデルを導入したいという野心はあるが、業界全体のパートナーと話す中で、オーディオブックを活性化し、人々が個々のタイトルとどのように相互作用するかから学ぶには、アラカルト形式が最良の方法であると感じた」と説明している。
今回の動きは、Spotify上でのオーディオブック展開における最初の一歩にすぎず、ここから得たものを分析して何を改善していくかを確認する予定だという。また、オーディオブックのリスナー、著者、出版社が、オーディオブックというフォーマットからより多くの利益を得られるよう、「フォーマットを改善」して行きたいとの考えを示した。