薄型軽量化、防塵・耐水にアップグレード

有機ELになった「iPad mini」速報レビュー。薄さ・軽さ・画質の進化を実感

山本 敦

最新のAppleシリコン「A20 Pro」を搭載した、8.5インチのiPad mini。前世代のモデルから薄型化・軽量化を実現している

アップルの新製品「A20 Pro搭載iPad mini」を、11月6日の発売日を前に試せる機会を得た。有機ELディスプレイ、薄型・軽量化、iPadシリーズ初の防塵・耐水性能と、今回のモデルには見どころが多い。2021年発売の第6世代iPad miniを使い続けてきた筆者も、久しぶりに買い替えを決めた。

もっとも、購入の決め手は本機に突飛な新機能が載っていたからではない。ライター、あるいは記者の仕事道具として、新しいiPad miniの基本的な使い勝手が向上していることを確認できたからだ。実機を使いながら感じた魅力と、今後に期待したいことをまとめたい。

性能はよりパワフルに、本体がさらに薄く・軽くなった

iPad miniは誰のためのiPadなのか。本機のユーザー像は、なかなかひと言では説明しにくい。コンテンツリーダー、仕事や学習のためのデジタルツール、あるいはクリエイティブワークなど、iPad miniは様々なタイプのユーザーに幅広い用途で愛用されている。

アップルが想定しているのも、特定の職業に限らない広範なユーザー層だ。共通するのは「iPadの様々な機能を小さな本体に収めて、必要な場所へいつも持ち出したい」というニーズである。

ウェブや写真を閲覧したり、あるいは簡易な動画やグラフィック制作に使えるほど、近年のiPad miniは基本のパフォーマンスが充実している。そのうえ「小さなiPad」であることに妥協していない。ユーザーと一緒に移動したその場所で、ベストなパフォーマンスを発揮してくれる。

筆者が今回試用したWi-Fi+CellularモデルのiPad mini。カラバリは2色あるうちのスターライト

新しいiPadは、最先端の2nmプロセスルールで製造される「A20 Pro」チップを搭載している。ストレージ容量が512GBのモデルを選ぶと、CPUは標準の5コアから6コアに増え、Neural Engineは従来の16コアNeural Engineを2基搭載する「デュアル16コアNeural Engine」が載る。9月に発売されたiPhone 18 Proシリーズや、続いて10月に登場したiPhone Duoと同じチップ構成だ。

最新鋭のチップが搭載されたことよりも、筆者は新しいiPad miniが薄型化・軽量化を果たしたことに強く惹かれた。本体の厚みは従来の6.3mmから5.4mmに薄型化している。iPad miniを使い慣れてきたユーザーは、手に取るとすぐに違いがわかると思う。

右は筆者が使ってきた第6世代のiPad mini。新しいiPad miniは背面の「iPad」の刻印がない
左が新しいiPad mini。右の第6世代のiPad miniよりも0.9mm薄くなっている

質量はWi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルで少し違う。Wi-Fiモデルは293gから255g、セルラー機能付きのモデルは297gから263gになった。「軽さ」のインパクトも相当だ。

数十グラムの差は、机に置けば気にならないかもしれない。ところがiPad miniを片手でホールドしながら、もう片方の手でApple Pencilを使って書く時間が続くと、負担の違いが身に染みてくる。本体の薄さも相まって、持ち方を変えたり、バッグから出し入れしたりする所作がますます楽にできる。

筆者が選んだのは、より軽い方の255gのWi-Fiモデルだ。筆者の場合、外出先の通信はiPhoneのテザリングで足りている。屋外でiPadを使うことも多いので、iPad miniが初めてオプションとして対応したNano-textureガラスを付けてみた。なお、Nano-textureガラスは256GB以上のストレージ容量を選ぶと選択できる。

満足の有機EL高画質。新しい内蔵スピーカーでサウンドも明瞭に

10月末にアップルが開催した新製品発表会で、初めてiPad miniが搭載する8.5インチのSuper Retina XDRディスプレイのインプレッションは、実機を手元で試してみても変わらなかった。とても価値ある進化だと思う。

筆者が9月にハワイで、iPhone 18 Proを使って撮影したHDRビデオを再生してみた。夜のディナーパーティで開催されたハワイアンダンスのステージを撮った映像だが、演者が身に着ける衣裳やアクセサリーが照明を受けて眩く輝く様子や、背景の暗闇とのコントラスト感がとても力強く、8.5インチの小さなディスプレイに再現される。

また、色のバランスやディティール感も自然だ。自分の目で見た光景だからこそ、リアリティに富んだ映像の表現力が実感として伝わってくる。動画・写真を鑑賞する時間がとても充実する。

iPhone 18 Proで撮影したHDRビデオを再生。目で見た景色の生々しさが蘇ってくる

内蔵スピーカーによるサウンドも進化している。iPadシリーズに初めて、内蔵するウーファーユニットでディスプレイのカバーガラスを振動させて中低音域を再生する「Acoustic Display」が採用された。

2ウェイ構成のステレオスピーカーシステムが採用されたiPadは、このiPad miniが初めてだ。中低音域をウーファーユニット、高音域をトゥイーターユニットが担っている。

第6世代のiPad miniと聴き比べると、特に中高音域の鮮度が向上している。ボーカルやナレーションの輪郭が一段と明瞭になり、聴きやすい。楽器の音色が豊かに再現され、音場の広がりも増している。薄くコンパクトな筐体なので、低音域の量感にはさすがに限界があるものの、音像の立体感が向上した手応えがある。

筐体の密閉性を高めるため、従来は側面に設けていたサウンドホールを省いた

一方で音量を上げると、手に持った本体の振動が少し強めに感じられる。ただ、手持ちのままコンテンツを長時間視聴することはあまりないと思う。また、Smart Folioケースや本体を固定できるスタンドに立てて使うぶんには気にならないだろう。

ディスプレイに保護フィルムを貼りたい方は、カバーガラスを振動させるAcoustic Displayの仕組みとの相性も気になるはずだ。筆者もまだ試せていないが、多少は音の聞こえ方に影響がありそうだ。機会があれば検証してみたい。

耐水設計の安心感。様々な場面に持ち出せる

Acoustic Displayで従来のスピーカー構造を変更したことにより、新しいiPad miniは筐体の密閉性を高めることができた。そして、iPadシリーズとして初めてIP67等級の防塵・耐水性能を実現している。

アップルによると、iPad miniのユーザーからプールサイドでの読書や雨天の屋外業務などにも本機を安心して使いたいという声が少なからず寄せられたこともあり、防塵耐水設計の開発と採用に踏み切ったそうだ。

筆者は日ごろから、浴室でもiPadを使いたいと思っていたので、今回の防水対応を歓迎している。できればApple Pencilにも防水対応のラインナップを拡大して、バスルームでもペン書きができる環境を揃えてほしいが、まずはバスタイムでの読書や動画鑑賞から楽しんでみることにしよう。

なお、IP67は高温のお湯や湯気、石けんやシャンプーの付着などを含む浴室環境のすべてに対応することを意味していない。もちろん濡れた状態での充電も避けたい。

A20 Pro搭載iPad miniは、現行2種類のApple Pencilに対応している

A20 Pro搭載iPad miniは、Apple Pencil ProとApple Pencil(USB-C)の両方に対応している。側面の磁気コネクタに装着して充電もできるのはProの方だが、簡易な筆記に、あるいは手袋を着けたままの画面操作などにはスタンダードモデルであるApple Pencil(USB-C)も十分に役立つ。

これまでにApple Pencilをあまり使ってこなかった方には、比較的安価なApple Pencil(USB-C)から試してみることをおすすめしたい。

薄く、軽いiPad miniの特徴が活かせるアップル純正のSmart Folioカバー

iPad miniの本体を守るカバーケースの選択は悩ましい課題だ。5.4mmの薄さや軽さのメリットを活かすのであれば、アップル純正のSmart Folioがベストな選択だと思う。

一方で、筆者は発表会や展示会などの機会に、デジタルノートとしてiPad miniを持って歩き回ることが多くあるので、ペンも含めて落下から守れる頑丈なケースも欲しい。予約購入したiPad miniが6日に届くので、落ち着いた頃に両方の用向きを兼ねたケースを探したいと思う。

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