内部収録と使い勝手をチェック
手頃な価格で内部収録&32-bitフロートに対応。DJI「Mic Mini 2S」を試す

DJIの小型ワイヤレスマイクに、新たに「Mic Mini 2S」が登場した。内部収録に対応し、32-bitフロート録音も利用できるなど、上位機譲りの機能とスペックを搭載するモデルだ。
今回、通常のレシーバーを使う「2 TX+1 RX+充電ケース」と、スマートフォン向けの「1 TX+1 モバイルRX+充電ケース」をメーカーから借りることができたので、実際に試してみた。

カメラにもスマートフォンにも使える
Mic Mini 2Sは、エントリーモデルの「Mic Mini 2」と上位モデルの「Mic 3」の間に位置するモデル。価格は、2 TX+1 RX+充電ケースが27,720円(以下、税込表記)、1 TX+1 モバイルRX+充電ケースが14,300円となる。また、1 TX+1 RXが14,300円、トランスミッター単体が10,120円で用意される。
これまで上位モデル限定だったトランスミッター(TX)の内部収録に対応し、内部収録では32-bitフロートが選べることが大きな特徴だ。レシーバー(RX)は、カメラとスマートフォンに使える通常タイプと、スマートフォン向けのモバイルRXが用意されている。

トランスミッターは、クリップとマグネットによる取り付けに対応する。フロントカバーはマグネット式で交換でき、気軽に色を変えて自分好みにできるのがいい。また、複数人の対談動画などは人によってマイクの設定を変えることもあるが、そういったときに人ごとに色を変えておけば、どのマイクを使うかも分かりやすい。


レシーバーは、通常のモデルに最大4台、モバイルレシーバーに最大2台のトランスミッターを接続できる。どちらもUSB-C端子からスマートフォンにそのまま接続できる。通常のレシーバーは3.5mm端子を備えており、アナログケーブルでカメラに音声を出力できる。
なお、通常のレシーバーには、スマートフォンに接続するUSB-Cのプラグを着脱できるというギミックがある。ただ、スマートフォンに接続すると本体の大きさが気になるので、スマートフォンで気軽に使うなら、モバイルレシーバーのほうが取り回しやすいと感じた。

トランスミッターは単体でBluetooth接続にも対応する。接続ボタンのダブルクリックで、レシーバーとの接続とBluetoothを切り替えられる。Osmo Pocket 4Pなどの対応カメラであれば、レシーバーを介さずに直接接続することも可能だ。

また、どちらのレシーバーもUSB-C端子を搭載しており、充電ケーブルをつなげば充電したまま録音できる。モニタリングにもこの端子を使うが、アナログ伝送に対応するUSB-Cヘッドホンかアナログ伝送アダプターが必要になるという。試しにアナログ伝送ではないアップルの「USB-C – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」を使ってみたところ、音声を出力できなかった。
そのほか細かい点では、通常のレシーバー用の充電ケースは、トランスミッターに風防を取り付けたまま収納できる。一方でモバイルレシーバー用の充電ケースは、トランスミッターに風防をセットすると蓋が閉じられなくなってしまう。
屋外でも効果的なノイズ低減
ノイズ低減はオフ、ベーシック、強から選択できる。モバイルレシーバーでは本体にあるO/L/Hのスライドスイッチで切り替えられるが、通常のレシーバーにはスイッチがないので、アプリから設定する必要がある。
実際に騒音の多い公園で試してみると、オフでは道路や室外機などの暗騒音も含め、周囲の音がそのまま収録される。ベーシックでも道路や室外機の音は目立たなくなるが、公園で遊ぶ子どもの声などは残った。強設定にすると、そういった声もかなり抑えられ、騒音の多い屋外でも自分の声をクリアに収録できた。

音の傾向を切り替えられるボイストーン機能では、レギュラー、ブライト、リッチの3種類から選べる。試してみると、ブライトでは声が軽くなり、リッチでは声が厚めになる。ただし、いずれも自然なチューニングで、劇的に変わるというほどではないので、好みで選べばいいと思う。
上位機譲りの内部収録に対応
本機は、トランスミッターへの内部収録にも対応している。約14.5GBのストレージを備えており、アプリの表示によると、デフォルトの24bitで29.5時間、32-bitフロートで22.1時間まで保存ができるようだ。上限まで到達した場合に上書きで録音する設定(ループ撮影)は初期でオンになっている。
一般的に、マイクの録音時に気を付けたいのがゲインの設定。大きくしすぎるとクリッピングによる音割れが発生してしまうし、小さくしすぎると、後から編集で音量を上げた際にノイズまで目立ったりする。特に屋外では唐突に大きな音が入ることもあるし、騒音の状況によってはこちらも声を大きくする必要がある。

本機は、音の大きさを自動で調整する適応ゲイン制御を搭載しているので、初心者でも失敗を減らせる。クリッピングを防ぐクリッピング制御と、音量を均一にするラウドネスバランス(スタジオ向け)を選べる
また上述の通り、内部収録では32-bitフロート録音を利用できる。後から編集する必要があるが、音量調整の自由度が高く、クリッピングによる音割れが生じにくい。この機能は、これまで上位機のみに搭載されていたものだ。
ちなみに、ボイストーンや32-bitフロートの設定などはトランスミッターごとに行える。さらに、未処理の音声とアルゴリズムで最適化した音声のどちらを保存するかも選べるので、複数のトランスミッターをそれぞれ違う設定で使うことが可能だ。
内部収録に対応するメリットとして、スマートフォンやカメラなどがなくても録音できるため、単体のボイスレコーダーとしても使える。ただし、トランスミッターにはUSB-C端子がなく、データを取り出す際には専用ケーブルが必要になるので注意したい。

なお、上位のMic 3では、未処理の音声とアルゴリズムで最適化した音声を同時録音できる。また、Mic 3にはカメラの映像と正確に同期できるタイムコードに対応するが、これらはMic Mini 2Sは対応しない。
手頃に始めて、より細かな設定や編集にも挑戦できる
これまでマイクは動画の音声を収録する用途が主だったが、最近ではAIを使った音声入力や文字起こしにも有用だ。マイクを口の近くに持っていきやすいし、そもそものマイクの品質が高いので、文字起こしの精度向上にも繋げられる。
本機は小型でありながら32-bitフロート録音など、上位機譲りの機能を備えている。まずは手頃に始めたいが、いずれは上位モデルが欲しくなりそう、より細かな設定や編集に挑戦してみたい、といったユーザーにとって、長く使えそうなモデルだと感じた。
