実用性は未知数

フロリダの大学警察、1人乗り「空飛ぶパトカー」導入へ。研究と学内安全確保のため

Munenori Taniguchi

Image:Jetson

フロリダ工科大学とフロリダ州の大学警察は、スウェーデンの航空宇宙企業Jetson製の1人乗りeVTOLを、大学構内警備用の空飛ぶパトカーとして導入する準備を進めている。

「Astro」と名付けられたこのeVTOLは商品名としては「Jetson ONE」と呼ばれる機体で、人ひとりが収まるロールケージにバケットシートを取り付け、の四隅にローターを配置しただけの簡素な機体が特徴だ。Jetsonはこの機体をもともとレジャー用として開発したが、レジャー以外の用途も模索していた。

フロリダの地元テレビ局Fox13によると、Astroの機体重量はパイロットとバッテリーを取り外した状態で約70kgほどであり、飛行時の最高速度は時速約105kmに達するという。

フロリダ州大学警察のアーロン・マレー署長は、Astroは費用対効果の高いツールであり、行方不明者の捜索、従来の地上車両では到達できない地域へのアクセス、そして嵐後の復旧活動の支援に役立つ可能性があると説明した。

ただ、Astroの飛行時間は最長で約20分ほどで、1機あたり約15万ドルのイニシャルコストがかかり、記事執筆時点では連邦航空局(FAA)の認可が降りていない(11月~12月下旬までには降りる可能性があるという)。

飛行時間の短さは、フロリダ工科大学の構内だけとはいえ心もとない。大学警察は同大学内ですでに5機の監視ドローンなど最先端の警備用技術を導入している。さらに、空飛ぶパトカーが活躍しそうな犯罪は、同大学内ではほとんど発生したことがない。2025年に学内で起こった犯罪で最も多かったのは「酒類法違反」で、それでも13件しかなかった。

ただAstroの導入は、単にパトロール用としてだけでないようだ。大学警察は、Astroが「状況認識能力の向上」や「従来車両ではアクセス困難な地域へのアクセス」、「緊急物資の迅速な配送」などに対し、どのように役立つかを検討する予定だとしている。

Image:Jetson

またFox 13は、コンピュータサイエンスを専攻する学生らの卒業研究チームがこの機体を使った実践的なトレーニングを受けており、機械工学の学生らも、将来のキャリアに役立つ実践的な経験を積むためにこの航空機を利用していると伝えている。

機械・産業・航空宇宙工学部の学科長であるマット・ボーム博士は、将校の訓練のために、同キャンパス向けにカスタマイズされたデジタルツインやバーチャルリアリティを用いた訓練シナリオの開発もこの機体の導入計画に含まれていると述べた。

一方、JetsonのCEO、ステファン・ダエネ氏は、「フロリダ工科大学がJetson ONEを公共の安全、研究、教育のためのプラットフォームとして導入するという決定は、私たちの進歩を力強く証明するものだ」とし、この導入が「運用展開、組織的な受容、そして将来の航空人材の育成を結びつけるものだ。これこそまさに、全く新しい個人航空のカテゴリーを確立するために必要な基盤なのだ」と、期待感を示した。

ちなみに、Jetson ONEは11月7~8日に、ケープカナベラルのケネディ宇宙センターで開催されるUP.Partners(次世代モビリティ関連ベンチャーキャピタル)主催の特別イベント、UP.Summitでこの新しい警察車両を展示する予定とのことだ。

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