AIが人間関係のケアまで提案する時代に
MetaのAIエージェント「Muse」、ユーザーの人間関係を詳細に記録。研究者「かなり気味が悪い」

先月初め、米国でMetaのAIエージェント「Muse」が9月8日に米国でローンチされてから約1か月が経った。ユーザーに代わってメールの整理や返信、旅行やレストランの予約、商品の検索から購入まで、「面倒な用事を最後まで代行するAI」として人気を集め、米国のApp Storeで無料iPhoneアプリの1位になったこともある。
そうしたなか、Museは、ユーザーと現実のつながりがある人物について、1時間ごとにページを作成・更新する処理を持っている。
米テックメディアWIREDによれば、独立系のAI安全・セキュリティ研究者Karan Joshi氏は、通常のチャットインターフェースを通じてMuseに自身のファイルをコピーして共有するよう求め、仕組みの一端を明らかにしたという。また、強力なAIの政策やガバナンス提言を行う非営利団体The Future Societyは、Museからエクスポートさせた仮想マシンのコピーを分析し、そこに含まれていたシステム指示を公開している。
Joshi氏は、自ら入手したプロンプトなどを分析した結果、Museはユーザーが「現実の人々と築いている人間関係を理解したがっている」ように感じたと語る。「彼らは友人のようにあなたを知ろうとしている。正直なところ、かなり不気味だ」と述べた。
The Future Societyが公開したシステム指示によると、こうした人間関係のページには、その人物の名前、Museユーザーとどのような関係にあるのか、近く予定されている引っ越しや貯蓄目標といった繰り返し話題になるテーマ、誕生日や記念日などの重要な日付が含まれる場合がある。
さらにMuseは、ユーザーがその人物とどの程度親しいのか、その関係が何を基盤として成り立っているのか、どのように交流しているのか、その関係が現時点で何を必要としているように見えるのかといった情報も記録するという。
Metaの広報担当者は米Gizmodoに対し、「どのようなエージェントであれ、役に立ち目標達成を支援するには、あなた自身や、あなたが交流する人々についての文脈を把握する必要がある」と説明しつつ、Museは、公開情報やユーザーが自ら共有することを選択した情報に基づいてこうした情報を収集していると説明した。だからこそ、以前浴室工事を依頼した配管工や、配偶者のお気に入りの花などを記憶できるのだと述べている。
Metaによれば、こうした情報は各ユーザー専用の安全な仮想マシンに保存され、他のユーザーのエージェントからアクセスすることはできないという。
一般的にAIアシスタントには、応答や動作をよりユーザー個人に合わせるため、何らかのメモリ機能が組み込まれている。ただし、米非営利団体Center for Democracy and Technology(CDT)のAI Governance Labディレクター、Miranda Bogen氏は、Museは競合他社のシステムと比べて、人間関係や個人的な連絡先をより重視しているように見えると指摘している。
またBogen氏は、AIエージェント全般についても、役に立つアシスタントになるため、ユーザーに自分の生活全体を接続するよう積極的に求めていると指摘する。それによって「企業がユーザーについて知る情報は膨れ上がっていくだろう」とのことだ。
人間がAIエージェントに雑事を任せるほど、メールやカレンダー、金融情報などへのアクセスを許す場面も増える。その便利さと引き換えに、企業が把握する個人情報も増えていく。AIエージェントが普及するにつれ、提供企業に対して、どのような情報を収集し、どう保存・利用しているのかについて、より高い透明性を求める声が強まる可能性がある。
- Source: Wired The Future Society
- via: Gizmodo
