どれだけゲームが快適になる?

PCゲームの“設定沼”から開放! AIで1クリック最適化「OMEN AI」を人気5タイトルで検証

山本竜也

OMEN AIを使える「HyperX OMEN 15」で検証を行った

PCでゲームをするとき、コンソール機のようにソフトを入れてすぐ遊ぶ、というわけにはいかない。ゲーム内のグラフィック設定は項目が多く、GPUドライバー側やWindows側にも触るべき設定がある。何をどう変えればいいのか分からないまま、初期設定で遊んでいる人も多いのではないかと思う。

「OMEN AI」は、AIが設定作業をワンクリックで行ってくれる機能だ。ハードウェア構成、ゲーム内設定、OS設定をまとめて分析し、そのPCで快適に遊べる状態に最適化できる。

今回は、この機能を搭載する中では手頃な「HyperX OMEN 15」を借り、人気タイトル5本で実際に効果を確かめてみた。

OMEN AIは何をしてくれるのか

設定に迷う時間がゼロに

OMEN AIは、日本HPのゲーミングPC向けユーティリティ「OMEN Gaming Hub」に搭載された最適化機能だ。ハードウェア構成、ゲーム内設定、OS設定といった複数の要素をまとめて分析し、そのPCが本来の性能を発揮するように設定をまとめて適用できる。

日本HPは、これをゲーミングPCの初期設定に悩む人向けのソリューションだとしている。ネット上には玉石混合の情報があふれているが、それを探し回ることに貴重な時間を費やしているのが実情だ。OMEN AIにより、その時間を削り、ゲームを楽しむ時間を取り戻すのが狙いだ。

ゲームを設定する際の課題となるのが、設定項目の多さと、正解のなさだ。設定には数え切れないほどの項目があり、組み合わせは無限に近い。

しかも、それらを一元管理できる場所がない。ハードウェア、OS、ゲームタイトル、ドライバーソフト、アクセサリー類まで含めると、それらをまとめて検証すること自体が難しい。

Apex Legendsのゲーム内設定画面。ここから何を設定すればパフォーマンスが上がるのか、詳しい人でなければ把握は難しいだろう

さらに、環境は人それぞれ違う。同じゲームでも、機材やセットアップが異なれば必要な設定も変わる。だから、誰にでも当てはまる唯一の正解は存在しない。

環境が違えば必要な設定も違うということは、全く同じ問題を抱える人がほぼいないということでもある。似た症状に見えても、前提が違う以上、他人の解決策がそのまま効くとは限らない。ゲームごとに求められる設定も違うため、タイトルを切り替えるたびに調整をやり直すことになる。

この「正解がない」という問題に取り組んだのが、OMEN AIだ。世間一般の最適値を持ってくるのではなく、その環境に合わせて、画質とフレームレートのバランスを取りながら、高いパフォーマンスを引き出せる設定を機械学習によって特定する。

対応するゲームであれば、OMEN AIをONにするだけで最適な設定にしてくれる

OSとハードウェアまで制御するOMEN AI

具体的にOMEN AIが何をしているか。その内容は、ゲーム内設定、OSレベル、ハードウェアレベルの3つに分けられる。

まずゲーム内設定。画質とフレームレートのバランスを取る調整で、あらかじめ用意された内容をハードウェア構成に合わせて当てはめる。

次にOSレベル。パフォーマンスモードへの切り替え、不要なバックグラウンドプロセスの制御、未使用メモリの解放(Booster機能)、ゲームプレイ中の不要なWindowsタスクの抑制を行う。ゲームにより多くのシステムリソースを割り当てるのが目的だ。

さらにハードウェアレベルでは、CPUやGPUの動作モード、メモリ利用、冷却動作なども含めたシステム全体の最適化を行う。日本HPは、OMEN Gaming Hubが蓄積した性能データをもとにOMEN AIをトレーニングしていると説明している。

ただし、残念ながら詳細な内容は非公開だ。CPU電圧、GPU電圧、クロック値、ファン回転数について、どのパラメータをどの程度動かしているか、内部アルゴリズムは公開されていない。

この「OSとハードウェアまで踏み込む」というのが、OMEN AIの大きな特長だ。学習のもとになっているのは、OMEN Gaming Hub利用者の許諾に基づいて収集された数百万件規模のゲームプレイデータ。ハードウェア構成とゲーム設定の相関関係から最適なパラメータを適用しているとのことだ。

対応タイトルは17本

対応タイトルは現在17本。Apex Legends、Counter-Strike 2、League of Legends、VALORANT、Overwatch、Tom Clancy’s Rainbow Six Siege X といった競技系が並ぶ。加えて、ARC Raiders、Battlefield 6、Delta Force、Fortnite、PUBG: BATTLEGROUNDS、Marvel Rivals、Dota 2、Minecraft、Roblox、NARAKA: BLADEPOINT、Rocket League。バトロワ、MOBA、サンドボックスまで幅がある。

近日対応予定として、Call of Duty: Black Ops 7、Call of Duty: Warzone、World of Warcraft、World of Warcraft Classic、Warframe、Grand Theft Auto V の6本が挙げられている。日本HPのページでも対応リストが随時更新されており、拡充が続いている。

動作の軽いタイトルも対象に入っているのは、PCゲームを始めたばかりの人にはプラスだろう。VALORANTやLeague of Legendsのようなタイトルでも最適化の対象になる。

OMEN AIの対応タイトルは執筆時点では17本

OMEN AI搭載機の中で手頃な「HyperX OMEN 15」

OMEN AIは、対応するHyperXのゲーミングPCで使用できる。その中でも手頃に入手できるのが「HyperX OMEN 15」だ。HyperX OMEN 15は、2026年にHPがゲーミングのマスターブランドをHyperXへ統合して以降の15.3型モデルで、天板にはHyperXのロゴが入る。

Core i5-14500HX/Core i7-14650HX、AMD Ryzen 7 8745HXといったラインアップがあるが、今回はCore i7-14650HX搭載モデルを検証機として試用した。主な仕様は下記の通りだ。

OMEN Tempest Cooling Technology項目検証機の構成
OSWindows 11 Home
CPUインテル Core i7-14650HX
GPUNVIDIA GeForce RTX 5060 Laptop GPU(8GB)
メモリー24GB(DDR5-5600MT/s)
ストレージ1TB(PCIe Gen4 NVMe M.2 SSD)
ディスプレイ15.3型 2.5K(2,560×1,600)IPS、180Hz、応答速度3ms、500ニト、sRGB 100%
キーボード日本語配列、4ゾーンRGBバックライト、26キーロールオーバー、アンチゴースト対応、8,000Hzポーリングレート
冷却OMEN Tempest Cooling Technology/Fan Cleaner
音声デュアルスピーカー、DTS:X Ultra、HP Audio Boost、HyperX によるチューニング
バッテリー駆動時間 約7〜8時間(メーカー公表値)
質量約2.21kg

OMEN AIの威力を検証

OMEN AIの有無を人気タイトル5本で比較

検証にはCounter-Strike 2、League of Legends、Apex Legends、VALORANT、Fortniteの5タイトルを使用した。いずれもOMEN AIの対応タイトルに含まれている。

計測条件は3つ用意した。(A) デフォルトの状態、(B) NVIDIA Appの最適化のみ適用、(C) Bの状態からOMEN AIを有効化してゲームを再起動した状態。メーカーから推奨されている手順に沿ったもので、NVIDIA App側の最適化を先に済ませておくと、そのうえからOMEN AIがゲーム設定とシステム設定を最適化するため、差が出やすいとのことだった。

解像度はネイティブの2560×1600ピクセル、電源はAC接続、OMEN Gaming Hubの設定でパフォーマンスモードに固定した。同一セッション内でA→B→Cの順に計測し、条件間でドライバーとパッチの状態を揃えている。OMEN AIを有効化したあとは、設定を反映させるため必ずゲームを再起動してから計測した。

なお、OMEN Gaming HubにもFPSの表示機能が備わっているが、ログを取得できなかったので、今回はCapFrameXを使用してFPSを計測した。小数点が含まれるのは平均値を採用しているためだ。

まず、平均FPSだが、表1のようになった。

タイトルA:デフォルト(fps)B:NVIDIA App最適化(fps)C:OMEN AI(fps)AからCへの倍率
Counter-Strike 2189.0167.2248.3約1.3倍
League of Legends234.4238.6415.7約1.8倍
Apex Legends156.2170.6188.3約1.2倍
VALORANT367.3462.8502.6約1.4倍
Fortnite59.859.7131.6約2.2倍
表1 平均フレームレート(fps)

平均FPSだけでは、カクつきの有無まではわからない。平均が同じでも、瞬間的にフレームレートが落ちるタイトルは体感が悪くなるはずだ。

そこで、計測したフレームレートの下位1%の平均を取った「1% Low Average」も取得した(表2)。平均との差が小さいほど、動きが安定しているということになる。

タイトルA:デフォルト(fps)B:NVIDIA App最適化(fps)C:OMEN AI(fps)AからCへの倍率
Counter-Strike 278.773.497.7約1.2倍
League of Legends79.6164.9168.9約2.1倍
Apex Legends101.884.8130.2約1.3倍
VALORANT118.9121.3199.7約1.7倍
Fortnite32.632.445.4約1.4倍
表2 1% Low Average(fps)

平均FPSで最も伸びたのはFortniteで、デフォルトの59.8fpsから131.6fpsへ約2.2倍になっている。これは、Fortniteのデフォルト設定(A)とNVIDIA Appの最適化(B)では、ゲーム内の最大フレームレートが60fpsに設定されていたためだ。

OMEN AIを有効(C)にしたところ、この設定が無制限に変更されたので、FPSが大きく伸びた。細かい設定を確認しなくても、FPSの最大化が狙えるOMEN AIの良さが出た部分だろう。

Fortniteのゲーム内設定画面。(A)デフォルト、(B)NVIDIA appの最適化状態では、最大フレームレートが60FPSに制限されていた

1% Lowで見ると、League of Legendsが79.6fpsから168.9fpsへ約2.1倍、VALORANTが118.9fpsから199.7fpsへ約1.7倍になった。Apex Legendsも、平均の伸び(約1.2倍)を上回る約1.3倍で、カクつきの改善が大きい。League of LegendsはB(NVIDIA App最適化)の時点で大きく伸びており、その上にOMEN AIが乗る形だ。

なお、何を優先するかはタイトルごとに変わるため、伸び幅の大小だけではOMEN AIの効果を語るのは避けたいところだ。VALORANTのように元から軽量で余裕のあるタイトルでは、伸び幅が小さく出る。

メーカーによれば、最新のGPUや比較的新しいタイトルではもともと最適化が進んでいるため、フレームレートの向上幅が小さく見える場合があるとのこと。それでもOMEN AIは、画質とフレームレートのバランスを考慮して設定を適用する仕組みだという。

なお、OMEN AIの結果は、ゲーム、デバイス、ハードウェア構成、設定によって異なる。すべてのOMEN Gaming HubのゲームがOMEN AIに対応しているわけではない。また本稿の計測値は、あくまでも検証機1台と特定の環境で測ったものだ。

ディスプレイがきれいな「HyperX OMEN 15」

OMEN AIの検証に使ったOMEN 15を、ゲーム以外の面からも見ておこう。

主なスペックは先にも書いたが、OMEN 15は15.3型の2.5K(2,560×1,600ピクセル)IPS液晶を搭載するゲーミングノートだ。本体サイズは約343W×22.8(最薄部)/25.99(最厚部)H×253Dmm、質量は約2.21kg。

ディスプレイは最大180Hzのリフレッシュレートに対応し、応答速度は3ms。最大輝度は500ニト、sRGBを100%カバーしている。非光沢仕様で反射が抑えられており、発色もよくゲーム画面も映像もきれいに見える。

ポートは、USB Type-Cが1つ、USB Type-Aが2つ、HDMI 2.1が1つ、ヘッドホン/マイクコンボが1つにACスマートピンを搭載。HDMIとUSB Type-Cは背面に設置されており、頻繁にアクセスするには向いていない。USB Type-Cが背面にしかないのは不便に感じるが、基本的にはデスクノートなので、必要ならハブなどを利用する想定なのだろう。

USB Type-CとHDMIは背面に配置されている

冷却技術として、OMEN Tempest Cooling Technologyを採用。背面ポートを本体背面に配置することで通気性を高めている。冷却性能とトレードオフの部分もあるが、実機ではゲームの起動時など、負荷がかかる場面でファン音はそれなりに気になった。

また、セルフクリーニング機能のFan Cleanerも備える。これはゲームプレイ中ではなくセッションの合間にファンの回転方向を切り替え、内部にたまったホコリを排出する仕組みで、OMEN Gaming Hubから手動で実行したり、スケジュールを設定したりもできる。

キーボードは、4ゾーンRGBバックライト搭載の日本語配列。右側にはテンキーも備えている。ゲームで良く使うWキーにもホーミング突起があり、指を置く位置が分かる。ゲーミングデバイスらしい作りだ。

テンキーも搭載するキーボード。ホームポジションをあらわす「F」「J」以外にも、ゲームで良く使う「W」、カーソルの「↓」テンキーの「5」にも突起が付いている

また、キーボードはカスタマイズに対応しており、テンキー部をゲームで良く使うキーに割り当てたり、マクロを登録したりも可能だ。キーピッチはやや狭く、実測で18mmほど。テンキー部をなくしてもっと広くとも思うが、ゲームでの使い勝手を考えると、現在の仕様がベターなのかもしれない。

キーボードは、ほぼすべてのキーがカスタマイズ可能

音質面では、デュアルスピーカーを搭載しており、DTS:X UltraとHP Audio Boostに対応し、HyperXがチューニングしている。ノートPCの内蔵スピーカーは薄い音になりがちだが、これはヘッドホンを使わなくても聞きやすい。

まとめ

5タイトルで試した結果、OMEN AIを有効にすると平均フレームレートはすべて上がった。デフォルトからの倍率は約1.2倍から約2.2倍まで開きがあるが、いずれも手動で設定を触らずにこの数値になった。1% Lowもすべてのタイトルで改善している。

PCゲームを始めたばかりでどの設定を触ればいいか分からない人、タイトルごとの調整に時間を取られたくない人には特に有効な機能だろう。

現在は、メモリやGPUの値上がりもあって、PCを購入する際にワンランク下の構成を選ばざるを得ない人も少なくないだろう。そのような場合でも、OMEN AIを使えば、ワンランク上の構成を選ばなくても快適に遊べる可能性がある。

対応タイトルは17本で、人気作と競技系はほぼ並んでいる。今回試した5本のような主要タイトルを遊ぶなら、設定を開かずに済む。今後も増える予定とのことなので、遊びたいタイトルが対応に加われば、設定をやり直す手間はその分減っていく。

ゲーミングPCを選ぶときは、こうした最適化機能の有無も、ひとつの判断材料としてぜひ検討してみてほしい。

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