アップル初のAIスマートグラスはどんな製品に? これまでの噂を総まとめ

多根清史

Image:JLStock/Shutterstock.com

アップルは公式発表していないものの、AIスマートグラスを開発していると噂されている。同社は新しい製品カテゴリーへの参入には慎重な傾向はあるものの、水面下で準備を進めていることは珍しくない。

では、その初代モデルはどのようなものになるのか。これまでの噂話をざっと総括し、アップルが目指す方向や開拓を目論む市場を探っていこう。

■ハードウェア構成

アップル製スマートグラスの初代モデルはマイク、スピーカー、各種センサーに加えて、複数のカメラが搭載されるとみられる。写真や動画を撮影でき、iPhoneと連携してSNSで共有できるほか、カメラを通じて周囲の状況を解析し、Siriやビジュアルインテリジェンスに視覚情報を提供するという。ただし2026年7月以降の情報では、AIによる視覚認識専用としてカメラを利用し、写真・動画の記録を制限する案もが検討されているとも言われている。

そしてスマートグラス専用プロセッサーも開発中であると、Bloombergは報じていた。Apple Watchで使われている技術を基盤として、iPhoneやiPad、Mac向けチップよりも低消費電力に設計され、それでいて複数のカメラを制御できるようカスタマイズされているという。メガネという小型・軽量のフォームファクタでは搭載できるバッテリー容量も限られるため、省電力が優先されるとみられる。

もっとも、基本的な運用はiPhoneとの接続が前提とされており、多くの機能はiPhone側で処理する設計とみられる。要はiPhoneという“母艦”ありきで、端末内では必要最小限の処理を行うApple Watchに似た構想のようだ。

■内蔵ディスプレイの有無

複数の情報源が、初代モデルには搭載されないとの見通しを伝えてきた。ただしAR表示が可能なディスプレイ搭載モデルも準備中だと、著名アナリストMing-Chi Kuo氏は発信している。Liquid Crystal on Silicon(シリコン基板上に液晶層を配置した反射型マイクロディスプレイ技術)とウェーブガイド技術(透明素材内で光を全反射させて映像を投影する方式)を採用するという。

■ソフトウェア・AI連携

iOS 27に導入された刷新版のSiriとApple Intelligenceが、運用の要になるとみられる。すなわち内蔵カメラで見ている対象や周囲の環境を把握して着用者に情報を提供したり、音声でSiriに質問したり、動画・静止画の撮影を指示できるという具合だ。

こうした高度なAI機能は予定より開発が遅れており、それが操作の中核とされる未発表のスマートホームハブ「HomePad」やHomePod mini後継モデルも発売が先送りにされているとの観測もあった。Apple Intelligenceの新機能は9月にiOS 27で提供が始まり、Siri AIも英語でベータ版として提供開始された。Siri AIの遅延という当初のボトルネックは解消に向かっている。

■デザイン

アップルの内情に詳しいMark Gurman記者によれば、少なくとも4種類のフレームスタイルが社内でテスト中だという。Metaのスマートグラス製品群に対して、「ひと目でアップル製品と分かる」デザイン性で差別化を図る戦略だ。

4つの試作デザインは「大型の長方形フレーム」「スリムな長方形」「大型の楕円または円形フレーム」「より小型で洗練された楕円または円形フレーム」だという。そして素材には植物由来のバイオプラスチックであるアセテート採用が検討されている。

■プライバシーへの配慮

アップルはプライバシーの保護を製品のコア価値の1つとしているだけに、最近のカメラ付きスマートグラスへの批判の高まりに慎重な姿勢を取っているとみられる。折しも、Meta製品が盗撮や迷惑動画に悪用される事案が相次いで報道され、「変態メガネ」と呼ぶ動きが拡大している中でのことである。

Bloombergは、前面カメラは楕円状にまとめて配置され、その周囲にインジケーターライトが設けられると報じていた。撮影中はこのライトが点灯し、周囲に知らせる仕組みとされる。

とはいえ、そうした対策はMeta製品にも盛り込まれながら、録画インジケーターを物理的に改造したり、録画開始後にLEDを隠したりして対策を回避する手法も報告されていた。Metaも相次いでソフトウェア更新を打ち出し、穴を塞ごうとしているが、どうしても後手に回りやすい。

アップルはもともと当初は2026年後半の発表、2027年初頭の発売が見込まれていたが、その後、発表は2027年6月のWWDC、発売は2027年後半へと後ろ倒しになったと報じられている。そして、時期が遅れた理由の1つが、プライバシーへの懸念を解消する取り組みを続けているためと言われている。「カメラを全く搭載しないデバイス」「完全なカメラシステムを搭載しながら、写真や動画を一切記録できない」など複数の選択肢を検討しているとの報道もあった。

実際、Metaもカメラなしのスマートグラス「Ray-Ban Meta Audio」を発表したばかりだ。カメラ付きスマートグラスへの警戒が高まるなか、アップルがこの情勢にどう対応するのか。今後の続報を待ちたい。

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