そして着水~爆発END

SpaceXの大型ロケットStarship、初めて軌道へ到達。Starlink衛星の投入も成功

Munenori Taniguchi

Image:SpaceX

SpaceXは、大型ロケットStarshipを初めて地球周回軌道に到達させることに成功した。

現地時間9月29日早朝にテキサス州南部で行われた打ち上げは、当初は順調に進んでいるかに見えた

しかしほどなくして、下段(Super Heavy)を分離して上段のRaptorエンジン6基に点火しようとした際に、そのうち1基が機能しないことが確認された。

設計上は、エンジンが1基失われたところでStarshipは軌道に到達する能力があるものの、ここでなぜかSpaceXの広報担当者は打ち上げ中止を発表した。しかし、地上管制官が打ち上げ続行を決め、広報担当者が発言を翻す一幕もあったが、ともあれStarshipは上昇を続け、数分後には軌道に到達した。

最終的に管制チームが「Starshipは軌道に乗った」ことを確認。現場の従業員たちは、いつものように大歓声をあげてそれを祝った。さらに、ペイロードとして搭載した26基のStarlink衛星も低軌道(LEO)への展開にも成功した。

Image:SpaceX

その後、SpaceXは予定していた軌道周回を短縮し、地球を約6周したところで、Starshipを地球の大気圏に再突入させ、太平洋の予定海域に着水させることを決定。打ち上げ開始から約2時間40分後にStarship上段は再突入し、その26分後に北太平洋に着水した。

最後まで順調かと思われたが、着水の次の瞬間Starship上段は転覆して爆発、劇的な幕切れとなった。

今回の打ち上げはあらかた成功したと言ってよさそうではあるが、SpaceXがStarshipの商用運用に移行させるには、まだやるべきことがいくつか残っている。

たとえば今回は、上段の「Ship」と下段ロケットの「Super Heavy」のいずれも海に着水させたが、同社は最終的にStarshipを迅速に再利用するため、地上の機体回収アーム「chopstick(箸の意味)」に引っかけるように着陸させることを計画している。Super Heavyに関してはこれまでの試験飛行で合計3度の地上回収に成功しているが、Shipの回収実績はまだない。

また、月や火星を目指すミッションでは、いったん地球の軌道上に乗った後に複数の「タンカー」役のStarshipにドッキングさせ、宇宙空間で燃料を補給しなければならない。当然ながらStarshipはまだ地球外での燃料補給を実証できておらず、これは大きな課題として残ったままだ。

さらにNASAのアルテミス計画では、Starshipを有人宇宙船として使用することが計画されている。ただそのためには、SpaceXはShipに生命維持システムを組み込まなければならない。また有人飛行までには、複数回の試験飛行が必要になるはずだ。

とはいえ、今回の軌道到達によってStarshipはひとつのハードルを越え、次のステップに踏み出すことが可能になったことは間違いなさそうだ。

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