アップルとの提携は排他的ではなかったと主張するため

Appleとの提携でChatGPT普及を狙ったOpenAI、期待外れだったことが裁判資料で判明

多根清史

Image:Thrive Studios ID/Shutterstock.com

アップルとOpenAIは2024年に提携を発表し、ChatGPTをApple Intelligenceに統合した。しかし、OpenAI側はiPhoneユーザーの利用が「期待を大幅に下回った」と述べていたことが、新たな裁判所への提出書類から明らかになったと英Financial Timesが報じている。

この裁判は2025年8月、イーロン・マスク氏のAI企業xAIが、アップルとOpenAIを相手取って起こした反トラスト法訴訟である。マスク氏は当初、アップルがOpenAI以外のAI企業をApp Storeのランキングで不当に扱っていると主張し、法的措置を取ると述べていた。

しかし実際に訴訟が提起されると、訴状にはアップルが「スーパーアプリ」の発展をを妨げているとの主張まで盛り込まれていた。つまり、Xを「あらゆることができるアプリ(everything app)」へと変えようとする取り組みまで邪魔している、というわけだ。

これに対してアップルとOpenAIは、両社の提携は他社のAIモデルとの連携を排除するような排他的なものではないと主張している。そうした法廷でのやり取りの中で出てきたのが、今回OpenAIが新たに提出した書類である。

FTの報道によると、OpenAIは「ChatGPTをApple Intelligenceで利用するために両社が2024年に契約を結んだ後、アップルを通じたiPhoneユーザーのChatGPT利用が期待したほど伸びなかったことに失望していた」と述べているという。

OpenAIは当初、アップルの宣伝力やブランドとの結びつきによる「ハロー効果」により、ChatGPTの有料契約者が増えると見込んでいた。しかし、統合開始から約1カ月後には「出足が鈍い」と判断し、週次アクティブユーザー数の予測を引き下げていたとのこと。2025年夏までには、アップルによるChatGPT統合が「著しく期待を下回っている」ことが明確になったとしている。

また、提出書類の一部からは、OpenAIの幹部らが、アップルが別のAIパートナーの確保を急ぐのを懸念していたこともうかがえるという。

実際、アップルは2024年のApple Intelligence発表時から、ユーザーが複数のAIモデルを選べるようにしたいとの考えを示していた。クレイグ・フェデリギ氏も、将来の候補としてGoogle Geminiに言及している。その後、アップルはGoogleと提携し、同社のGeminiモデルを基盤として次世代のApple Foundation Modelsを開発。これが新しいSiri AIを含むApple Intelligenceのベースとなった。

アップルとOpenAIの関係をめぐっては、その後も対立につながる動きが起きている。アップルは2026年7月、OpenAIおよび元アップル従業員2人を相手取り、OpenAIの消費者向けハードウェア開発に関連して、アップルの営業秘密を不正に取得・利用したとして提訴した。

今回の一件では、マスク氏からアップルと密接に提携しているとみなされたOpenAIが、実際にはその提携から期待したほどの恩恵を受けていなかったことを明らかにするという、奇妙な構図が浮かび上がったことになる。

関連キーワード: