離陸から着陸まで、すべての行程を自律制御でこなしました

Jobyの自律飛行機、パイロットの助けなしでアメリカ横断に成功

Munenori Taniguchi

Image:Joby aviation

航空ベンチャー企業のJoby Aviationは、同社の技術を搭載し自律飛行を可能にしたセスナ機を用い、安全のため搭乗したパイロットの介入なしに米国を西海岸から東海岸まで横断することに成功した。

このチャレンジは、技術的なデモンストレーションだけでなく、自律飛行技術やその運用方法、そして既存の航空機への統合や実運用、さらには現行の規制環境下での飛行実証という面でも重要な意味を持つ出来事と言えるだろう。

Jobyがこの飛行を行った主な目的は、同社の自律飛行技術が、米国の西海岸にあるカリフォルニア州コンコードから、東海岸にあるノースカロライナ州デア・リージョナル空港まで円滑に飛行できることを示すためだった。

電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発し、エアタクシー事業を展開しようとする企業として知られるJobyだが、今回のチャレンジには同社の自律飛行技術J208システムをセスナ208Bグランドキャラバンに統合した機体を使用した。その理由の一つは、eVTOLの実験機で同様の飛行を行う場合、認証上のハードルがあるためだ。

セスナの採用により、Jobyは米連邦航空局(FAA)の実験用耐空証明書(研究開発)の下でこのチャレンジを実行することが可能になった。それと同時に、これは同社の自律飛行技術が従来の認証済み機体に後付け可能であることを証明することにもなった。

ちなみに、J208システムにはパイロットの代わりとなる飛行制御システムに加え、レーダー、光学カメラ、LiDAR、動的障害物回避ソフトウェア、気象情報をリアルタイムに分析するマルチモーダルセンサー知覚スタックを搭載し、悪天候を回避する飛行ルートを選択するようになっている。

Jobyはアリゾナ州フェニックスのディアバレー空港、テキサス州フォートワースにあるアライアンス空港、サウスカロライナ州のショー空軍基地などを経由地点として、東海岸を目指す計画を立てた。

これらの空港を経由地点にしたのは、飛行機の航続距離の問題やパイロットのトイレ休憩のためではない。Jobyは、他の一般の航空機が行き交う空域や空港で、離陸から着陸までを自律的に行うシステムがどのように航空管制と連携しながら飛行できるか、さらに貨物輸送や医療物資輸送、災害対応、軍事防衛にいたる物流用途にどのように対応できるかを検証することも考慮したという。

実際の飛行においては、FAAの規制により安全のためのパイロット1名が搭乗した。また、Jobyの管制チームは、カリフォルニア州にあるJobyの自律飛行本部とサウスカロライナ州のショー空軍基地から衛星テレメトリーリンクを介し、直線距離にして最大3738km離れた場所から追加の監視を行った。

そして、J208システムは離陸、巡航、着陸まで飛行の全段階を自律的に実行し、無事に東海岸まで到達、自律着陸した。

Image:Joby aviation

Joby Aviationの創業者兼CEOであるジョーベン・ベヴァート氏は「今回のアメリカ横断飛行は、航空業界の新たな時代を垣間見せてくれるものだ」と述べ、「自律飛行は未来の航空輸送において重要な役割を担う。遠隔地のコミュニティを結びつけ、重要な物資を届け、災害への迅速な対応を可能にし、軍事作戦を支援し、パイロットを危険から守ることを可能にする」とその意義を強調した。

なおJobyは、今度は東海岸から西海岸を目指し、引き続きJ208の飛行を行うとしている。ちなみに経由地は往路とは異なり、ローリー、フレデリックスバーグ、ルイビル、ウィチタ、オクラホマシティ、ソルトレイクシティ、ポートランドを挙げている。

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