36万円は買い?

折りたためるiPhoneの衝撃。「iPhone Duo」を現地で試した

山本 敦

アップルが9月9日に米国の本社、Apple Parkで開催した新製品発表イベントを現地で取材した。会場で最も注目を集めていたのはもちろん、アップル初の折りたたみスマホ「iPhone Duo」だった。iPhone 18 Proシリーズと一緒に、実機に触れてきたインプレッションをレポートしよう。

アップルらしい作り込みの妙技

iPhone Duoは、当たり前のことだがとても「iPhoneらしい折りたたみスマホ」だった。ハードウェアとソフトウェアの両方がとても洗練されているからだ。ストレージサイズが256GBのモデルが36万円台からという価格を度外視できれば、すぐにでも買いたくなる。触れていると自然に胸ときめくデバイスだった。

片手で持ちやすいiPhone Duoのサイズ感が良かった

本体を閉じると、いわゆるパスポートサイズに近い。縦117.8mm×横84.1mm。サムスンのGalaxy Z Fold8は縦123.9mm×横81.9mmなので、比率がわずかに違う。本体の厚さサイズについては後ほど触れる。

外側のディスプレイは5.4インチで、開くと7.6インチの内側ディスプレイが現れる。

7.6インチの内側ディスプレイを展開。表示も鮮やかだ

外側と内側、両方のディスプレイのアスペクト比を合わせたことで、本体を開いた時に外側のディスプレイで見ていたコンテンツが、そのまま内側のディスプレイへ滑らかに遷移するような視覚効果を実現した。このギミックがいかにもアップルらしく、基調講演の会場で動画が流れたときに大きな歓声があがった。

5.4インチの外側ディスプレイはNano-texture仕上げではない

ヒンジには適度な抵抗があり、180度から90度、あるいは90度以下の角度でもピタリと止まる。ノートPCのような半開きのポジションでNetflixアプリを立ち上げると、上側に映像、下側に再生コントロールを表示した。

アップルが提供するAPIの提供を受けて、現在NetflixがiOS向けアプリをiPhone Duoのために最適化を進めている。YouTubeアプリが本機の発売時にいち早く対応できることが、iPhone Duoの発売初速の勢いにも影響を与えそうだ。

側面のヒンジ部分
半分開いた状態でピタリと止まる
ノートPCでコンテンツを視聴しているようなビュワーモードになる

内側ディスプレイの方にも、アンダーディスプレイFaceTimeカメラがある。切り欠きやピンホールを設けず、ディスプレイの下側に配置したカメラだ。カメラアプリを起動してセルフィモードに切り替えると、カメラの姿は見えないまま、緑色のインジケーターがディスプレイに一時点灯する。

また、本体をノートPCのように開いた状態でアンダーディスプレイカメラを起動してFaceTime通話にも使える。iPhoneをスタンド等に置かないでも、カメラを自分の方向に向けてアングル変更もできるので便利だ。

アンダーディスプレイカメラが起動するとグリーンのインジケーターが点灯する

内側ディスプレイの「Nano-texture仕上げ」は照明の映り込みを抑え、中央の折り目を目立ちにくくする効果がある。この技術はMacやiPad ProのNano-textureガラスとは根本的に違う。MacとiPadの方はカバーガラスのナノテクスチャー加工だが、iPhone Duoは最上位の層に折り曲げられる独自のマットな質感のポリマー製カバーを配している。

実際に折り目が完全にわからなくなるのかといえば、そういうものではない。フラットなディスプレイの中央部分がわずかに沈み込んでいるような感触は残る。もっとも、平面のパネルに繰り返し曲げ負荷をかける以上、折り目を完全になくすことは難しいだろう。このことを考慮に入れれば、iPhone Duoの折り目は目立たない方だと思う。

内側ディスプレイにホーム画面を表示。折り目があまり目立たない
画面が暗い状態でも比較的目立ちにくいと思う

なお、Nano-texture仕上げであるがゆえに、保護フィルムを貼って使うことは推奨されていない。むき出しの画面は不安じゃないかという声も必然あがるだろうが、日本では月額2,980円、年額29,800円でAppleCare+の修理保証サービスに加入できる。

AppleCare+に加入した上で内側ディスプレイが過失や事故によって壊れた場合、USドルベースでは99ドル(約1.5万円)で直せるそうだ。高額な製品なので、転ばぬ先の杖は検討する価値がある。

iPhone Duoについて気になる2つのこと

iPhone Duoに触れながら筆者もワクワクとさせられた。だが、気になることが2点あった。

ひとつはiPhone Duoの重さだ。質量は254gなので、iPhone 18 Pro Maxの249gよりも重い。参考までに現行iPad MiniのWi-Fiモデルは293gだ。

ケースを装着して使う場合、片手で持ちながら長時間操作すると重さが負担に感じられるかもしれない。閉じた状態で本体の厚さは11.3mmになる。開いた状態の厚さは5.2mmで、5.6mmのiPhone Airよりも薄い。

閉じるとiPhone Airを2台重ねたぐらいの厚さにはなる。高額なスマホなので、気になる方は実機に触れてから購入を決めてもいいと思う。

本体を折りたたむとやはり厚さもそれなりにある

もうひとつはマルチタスク表示だ。2つのアプリを左右に並べながら同時に動かせるSplit View表示はiPadOSさながらだ。片側にメール、もう片側に写真のアプリを立ち上げて、選んだ写真をメールの本文にドラッグ&ドロップで素速く貼り付ける操作もスムーズにできる。

操作のレスポンスはとてもよいが、左右のアプリの画面比を1対1から動かすことができない。アプリのウィンドウは全画面表示になる。iPadOS 26から、ウィンドウサイズを任意に変えたり、好きな場所に置けるようになっているので、iPadユーザーはiPhone Duoのマルチタスキングに若干もの足りなさを感じるかもしれない。

マルチタスキングは基本的に最大2つまでのアプリに対応する。左右で1対1になる比率も変更できない

Appleユーザーが待ちわびた折りたたみスマホ

では、デュアルレンズカメラは、もの足りなく感じないのだろうか。

残念ながら、発表会の取材期間中に時間をかけてiPhone Duoのカメラをテストできなかった。背面のメインカメラで写真やビデオを撮る時に、外側画面でプレビューしながら「撮られる側」も構図を確認できる機能や、ディスプレイを半分開いた状態で立てられることなど、iPhone Duoならではの使い勝手のよさを発揮できる機能やシーンは沢山ありそうだ。

自分の姿をディスプレイにプレビューしながらメインカメラで高精細なセルフィーが撮れる

カメラ機能だけを見れば、iPhone 18 Proシリーズが優れていることは明らかだ。iPhoneのカメラをコンテンツクリエーションにも活用したい方は、18 Proシリーズを選ぶべきだろう。iPhone Duoの特徴は「新しいカテゴリのiPhone」であることを念頭に置きたい。

iPhone Duoがあれば、スマホとタブレットに近い役割を1台のデバイスに集約できる。iPhone Duoは今後のソフトウェアアップデートでUSB-C対応のApple Pencilによる手書き入力が可能になるので、生産性向上のためのツールとしても魅力が増すことを憶えておきたい。

Mac、Apple Watch、AirPodsなどのAppleデバイスを日常的に使い、Appleデバイスによるエコシステムをデジタルインフラとして活用している方にとっては、待望の「折りたたみiPhone」だ。Android OSベースの折りたたみスマホよりも連携機能の面で優位性を実感できるはずだ。

ただやはり、ベースラインの価格が364,800円からであることを考えれば、iPhone Duoは誰にでも気軽に勧められるスマホではない。256GB以上の内蔵ストレージ容量が必要であれば、価格はさらにアップする。

発売直後は売り切れの状態が続くかもしれないが、焦らずゆっくりと吟味しながら、得する購入手段が見つかってから買うという身の振り方もありだと思う。

クリエイターの意図を細かく反映できる18 Proのカメラ

iPhone 18 Proシリーズは、手にしただけでは17 Proからの変化が小さく見える。新色のバーガンディは照明によって赤紫から濃い茶系へ表情が変わる。筆者は爽やかなブルーのグレイシャーがわかりやすく魅力的だと思う。

4色のiPhone 18 Proシリーズが登場

斬新な体験の中心は48MP Fusionメインカメラに搭載される「可変絞り」だ。

iOSのカメラアプリに新設される「プロコントロール」の機能から、絞り値を4段階から選べる。選択に合わせて、被写体の背景のぼけ方やピントが合って見える範囲が変化する。暗い場所では絞りを開いて光を取り込み、集合写真では絞って奥行方向にもピントを合わせられる。

カメラアプリは細かいコントロールが可能になる。可変絞り機構を搭載し、写真の表現幅を拡大している

従来通りAuto設定もあるが、解除すれば絞り値だけでなく、ホワイトバランスやシャッタースピードもマニュアルで、撮影者の意図をストレートに反映できるところがiPhone 18 Proシリーズの特徴だ。

A20 Proチップは2nmプロセスを採用し、17 Proの3倍の表面積を持つベイパーチャンバーを組み込んだ冷却システムにより、本体をクールダウンしながら高いパフォーマンスを維持し続ける。短いハンズオンではパフォーマンスの持続性や発熱を評価することはできなかったが、ゲーム、動画編集、端末上のAIなど負荷の高い処理を、長く安定動作させるための機構刷新は歓迎したい。

新色のバーガンディ。落ち着いた上品な色合いだ

iPhone 18 Proはバッテリー持ちもさらに良くなっている。バッテリー持ちの観点では、現在iPhoneシリーズの頂点にiPhone 18 Pro Maxが立っている。画面の大きさで選ぶならiPhone Duoもライバルになるが、シングルスクリーンによる大画面体験が好みであればMaxが名乗りを挙げる。

ただ、やはり本体の質量については確認して購入を判断するべきかもしれない。iPhone 15 Pro Maxで一時221gまで軽量化されたMaxの本体質量が、再び249gまで増えていることは頭に入れておくべきだ。

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