米国内の関税の影響が他の国にも波及するおそれあり

ゲーム機に新たなトランプ関税か。半導体向けを拡大、さらなる値上げの恐れ

多根清史

Image:Katerina Elagina/Shutterstock.com

昨年、米国ではトランプ政権がゲーム機に「相互関税」を課し、それを背景としてゲーム機の値上げが相次いだ。その後、米連邦最高裁がこの関税を違法と判断したことを受けて、任天堂などは米政府を提訴し、支払った関税の還付を受けている。ところが、ここへ来てトランプ政権が」、新たになゲーム機を含む半導体関連製品への関税導入を検討していると報じられている。

政治系ニュースサイトPoliticoが8人の関係者からの話として報じたところでは、トランプ政権はチップそのものだけでなく、ノートPCやサーバー、ゲーム機など、半導体を使用する製品全般に関税を課す枠組みを検討しているという。これにより米国でのSwitch 2やPS5、Xbox Series X|S、Steam Deckなどの価格がさらに上昇する可能性があるとのことだ。

トランプ政権の狙いは、米国内での半導体製造を促進することにある。ラトニック商務長官は外国企業に対し、米国内の半導体工場への投資と関税の軽減措置を結びつける仕組みを支持しているという。もっとも、Politicoの情報筋は、具体的な内容はまだ流動的であり、この枠組みは今後数週間から数か月のうちに大幅に変更される可能性があると強調している。

一方、米国のテクノロジー業界は、AIブームが輸入チップに大きく依存しており、それらに課税すればデータセンター建設計画の一部が中止に追い込まれる可能性があると警告しているという。米国内でのチップ製造を増やす目標そのものには反対していないものの、先進的な半導体工場の建設には数年、場合によっては数十年を要する。そのため、外国製半導体にこれほど広範な関税を短期間で課すことは現実的ではないとの主張である。

新たな関税がゲーム機にも適用されれば、ゲーム会社は海外で製造したゲーム機を米国へ輸入する際に課税されることになり、そのコストは値上げという形で消費者に転嫁される可能性が高い。実際、トランプ政権が2025年4月2日に大規模な関税措置を発表した直後、任天堂は初代Switchの値上げを発表した。同社は値上げの理由について「市場の状況」と説明するにとどまり、関税には言及しなかったが、Politicoは「行間を読めば明らか」と指摘している。

米国で新たな関税が導入されれば、その影響が日本を含む世界各国に波及する可能性もあるだろう。米国事業の利益悪化を、他地域を含めたハードウェア事業全体で吸収しようとしたり、地域間の価格差や並行輸入の誘因を抑えるため、他国での価格も見直されることはあり得る。

すでにAIデータセンターによる旺盛なメモリ需要がメモリ不足と価格高騰を招き、それがゲーム機全般の値上げにつながっているとみられる。そんななか、これ以上の不安定要因がゲーム業界に持ち込まれ、ゲーマーが振り回されないことを願いたいところだ。

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