前世代のゲーム機なら値下げしている時期に値上げ
止まぬ「ラマゲドン」猛威。7月の米ゲームハード支出が2020年以来の落ち込み

折からのRAM・ストレージ不足により、ここ最近は家庭用ゲーム機の値上げが相次ぎ、発売当時より数万円も価格が上昇しているものもある。そのため、新規にゲーム機を買ったり、買い換えや買い足しをしたりすることが、気軽にはできなくなったとの声が聞こえるようになっている。
そうした空気を裏付けるように、市場調査会社Circanaのゲーム部門シニアディレクターであるマット・ピスカテラ氏は、2026年7月の米国ゲーム市場が前年を下回り、とくにハードウェアへの支出が2020年以来の低水準に落ち込んだとBlueskyに報告した。
この報告によると、米国のビデオゲーム関連支出は、いくつかのヒット新作が発売されたなかでも前年同月比で10%減少し、約45億ドルになったとのこと。
そしてゲーム機などのハードウェア支出は前年同月比29%減の2億8200万ドルとなり、7月としては2020年以来の低水準にまで落ち込んだという。2020年7月は、新型コロナ禍により世界的にサプライチェーンが混乱し、ゲーム機が供給不足となって「買いたくても品物がない」時期だった。
ピスカテラ氏は、RAM(メモリー)や部品の供給不足・価格上昇を背景とするゲーム機の値上げが、PS5とXbox Series X|Sの販売ペースに大きく影響しているとの見方を示している。PS5やXbox Series X|Sはすでに複数回値上げされており、Nintendo Switch 2も米国では9月1日から価格が引き上げられる予定である。
テック業界によるAIデータセンターの建設ラッシュが続いていることで、HBM(広帯域メモリー)の需要が急増している。Micronやサムスンなどメモリー製造大手は、標準的なDRAMと比べて多くのシリコンウエハーを使用し、かつ利益率が高いHBMの量産を優先しているとみられる。こうした動きはメモリー市場全体の供給・価格に影響し、家電やゲーム機向けRAMのコストを押し上げる一因となっている可能性がある。
PS5もXbox Series X|Sも、発売から5年以上が経過している。かつては、ゲーム機は発売から年月を経るにつれ値下げをしたり廉価モデルが投入され、それがプレイヤー基盤の拡大やソフトウェア販売の促進につながっていた。しかし現在は、少なくともRAMを含む部品の供給不足が来年以降も続くとみられており、今後も値下げどころか、いつ再値上げがあってもおかしくない状況になっている。
さらに、この状況は次世代ゲーム機のゆくえも不透明にしている。ソニーの十時裕樹CEOはThe Wall Street Journalのインタビューで、PlayStation次世代機(通称PS6)の発売時期はまだ決めていないと発言した。また、AI向け需要も影響する世界的な主要部品の供給不足にも言及していた。
