Highway to Hell ~ ♪
人気ミュージシャンの新作リリース日は、交通事故が増える?ハーバード大が研究報告

ハーバード大学の研究チームが、大ヒットする音楽アルバムがリリースされると、ストリーミング再生回数だけでなく、交通事故による死者数も急増すると報告している。
ハーバード大学医学部のヴィシャル・パテル博士らは、2017年から2022年の期間を対象に、ストリーミング再生回数が最も多かったアルバム10枚のリリース日と、その前後10日間の米国における交通事故死亡者数を比較した。
調査に用いたデータは、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の全国規模の統計調査である死亡事故分析報告システムによる米国の公道における死亡交通事故に関する人口ベースのデータと、12歳以上の米国居住者の約29%が利用しているという音楽ストリーミングサービスSpotifyからの毎日の再生データだ。
すると、調査対象となったアルバムのリリース日には、音楽ストリーミング再生回数が43%増加し、交通事故による死亡者数は15%増加するという相関関係が浮かび上がったのだという。また、死亡者数は高齢者よりも若年層が多かった。
パテル氏は「事故の増加は主に車に単独乗車中のドライバーでみられ飲酒運転者よりも飲酒していないドライバーの間でより顕著であり、夜間に集中していなかった。もしこれが本当にパーティーやアルコール摂取が原因なら、これら3つの点すべてにおいて逆の結果が出るはずだ」と述べている。
一般的には、自動車の衝突事故は周囲の視認性が低下する夜間や悪天候時にピークを迎える傾向があるとされるが、ヒットアルバムのリリースによる事故は、夜間や悪天候時とは関係しないようだ。
もちろんこの研究だけで、ストリーミングが増加の原因であること、あるいはストリーミング音楽がその要因であったことを証明するものではない。だが、研究者らは「これらの調査結果は、スマートフォンを介したオンライン音楽ストリーミングが、運転中の注意散漫や交通事故による死亡と関連していることを示唆している」と述べている。
運転中に音楽を聴くというのはそれほど危険な行為ではないはずだが、何がそんなにドライバーの注意を削ぐのだろうか。
もちろん、音楽でノリノリになりすぎて周囲への注意力が低下する傾向も十分に考えられる。しかしその他の理由として、近代的な自動車では、インフォテインメントシステムの操作系に物理的なボタンやダイヤルではなく、タッチパネルを採用するケースが増えていることもあるだろう。また多くの人はスマートフォン使って音楽を再生している。
指先の感触をたよりに操作できる物理的な操作系とは異なり、タッチパネルを操作するには、フラットなディスプレイの操作可能なポイントに指を当てる必要があるため、どうしても視線をそちらに向けざるを得ない。荒れた路面を走行中なら、まともに操作できないこともしばしばだ。
ほんのわずかな時間とはいえ、そんな一瞬に事故は起こるものと言えるかもしれない。
なお、パテル氏は、この研究の目的がドライバーに対し車内で音楽を聴くのをやめるように伝えることではないとしている。
スマートフォンの普及以来、運転中にナビゲーションや音声アシスタント、ソーシャルメディアなどのメッセージ入力でスマートフォンを操作する機会が増えている。そしてそのためにドライバーは運転に必要な注意力を振り分けなければならなくなっている状態だ。
車内で聴きたい音楽を選曲するような、単純な行為でさえ、ドライバーは意思決定をし、スマートフォンを操作し、その後再び道路に集中するというステップを踏む必要があると述べた。
今回の研究の共著者でもあるクリストファー・ウォーシャム博士は、「危険なのは音楽を聴くことでなく、スマートフォンやインフォテインメントシステムを操作することだ」と述べ、「現在ではごく一般的になっている車内のタッチスクリーンで音楽を変更することと、道路から目を離さずに(物理的な)ボタンを押すことは全く異なります」と指摘した。
そして「車を運転する前に音楽を再生リストに追加し、安全に曲を変更できるまでそのままにしておく」ことを対策として提案した。
- Source: JAMA Network
- via: Engadget
