メモリを除く原価コスト10%削減
メモリ高騰が直撃、FCNTの“手の届くハイエンド”「arrows Alpha2」が10万円切りを実現できたわけ

FCNTは、 “手の届くハイエンド” を目指したスマートフォン「arrows Alpha2」の発売日を8月27日に決定した。また、価格についても発表され、オープン市場向けモデルの市場想定価格は、8GB/256GBが94,900円、12GB/512GBが118,800円(以下、税込表記)となっている。
「arrows Alpha」の後継モデルとして、10万円以下からの価格を実現しつつ、各種体験をアップデートしたモデル。8月下旬の発売がアナウンスされていたが、正式な発売日と価格が発表された格好となる。
なお、発表が発売直前になった理由は「最後の最後まで協議」した結果だと説明。設計、生産、製造歩留まりのあらゆる工程を見直すことで、メモリを除く原価コストは前モデル比で10%以上のコストダウンを実現しており、「この成果を少しでもメモリ価格高騰の影響を抑える価格でユーザーに還元」することを目指したそうだ。

キャリアでは、NTTドコモ、楽天モバイル、新たなパートナーとして、au Flex Style、SoftBank Free Style、Y!mobile Free Styleでも取り扱う。価格はキャリアごとに異なるが、NTTドコモでは8GBが80,960円、12GBが94,710円(いつでもカエドキプログラム/オンラインショップ販売価格)。楽天モバイルは8GBが85,900円、12GBが109,990円となる。
また、MVNO事業者のIIJmioも取り扱う。こちらはのりかえ一括価格で、8GBが64,980円、12GBが99,880円を実現している。

今回のアナウンスにあたり、都内で発表会が開催。詳細なスペックは6月25日の発表時点で明かされているが、この会では企画意図やこだわりポイントなどが詳細に語られた。
同社統合マーケティング戦略本部 本部長の外谷一磨氏は、「AI自体は誰もが恩恵を受けられるテクノロジーであるべき。ただ現実には、AIを活用するスマートフォンの価格は、今後ますます高騰していく。使いたいけど手に入らないユーザーが増えてしまうかもしれない」と説明。その中で “手が届くハイエンド” への挑戦が「私達の使命」だと強調する。
“手が届くハイエンド” というコンセプトは、前モデルのarrows Alphaで登場し、今回も継承している。コンセプトがユーザーにも評価されたようで、arrows Alphaは発売後1年(2025年7月〜2026年6月)で、オープン市場における販売価格8万円以上のAndroidスマートフォンにおいて出荷台数第1位を達成した。

なお、arrows Alphaの前にユーザーが購入していたスマートフォンの価格は、7万円以上が49.9%、7万円未満が50.1%となる。全体の31%が10万円以上のハイエンドユーザーからの機種変更であり、全体の約20%がローエンドユーザーからの機種変更とのこと。また、61%がFCNT以外のユーザーで、arrows We2 Plusと比較して15歳ほどユーザーが若いという。
arrows Alphaを購入したユーザーからは「初めてハイエンドを購入できた」「久しぶりにハイエンドを購入した」というような声もあり、arrows Alphaの価値がユーザーに伝わったことを実感していると外谷氏は話す。
購入ユーザーの90%以上が満足したというアンケート結果もあるほか、NPSスコア(推奨度)は+34.7を達成。このスコアが低く出やすい日本市場において「非常に励みになった」とし、「購入前の期待、購入後の体験、価値と価格のバランスを総合的にご評価頂いた結果」だと外谷氏は説明した。
そこでarrows Alpha2では、 “手が届くハイエンド” を維持しつつ、価値を進化させて多くのユーザーに届けることを目標にした。しかし、AI需要の急拡大とこれに伴うメモリ価格の高騰により、企画を根底から揺るがすほどのインパクトがあったという。
より下位のプラットフォームを採用することでコストも下げられることから、SoCにSnapdragon 7 Gen4の採用も検討したそうだ。しかし、「ユーザーが妥協できないポイント」としてアンケートで最も多く上げられていたのがCPU性能であり、価値を保つうえでは下げることは厳しい。結果、前モデルと同様のDimensity 8350 EXTREMEを維持している。

また開発にあたり、Alphaに関連する5,000以上のコメントに目を通し、以下の5つのポイントを条件とした。これらを満たしつつ10万円以下の市場価格を実現し、堅牢性、バッテリー、使いやすさ、全てに妥協することなく「現時点における最適解」を目指した。
- CPU性能は下げない
- メモリ容量は2つの選択肢を用意
- 8GBモデルでも12GBモデルに迫る体験を実現する
- Alphaに寄せられた優先度が高い市場の要望に答える
- 徹底的なコスト削減
従来のモデルは12GB/512GBの1モデルだったが、今回は新たに8GB/256GBのモデルを追加することで、10万円以下から購入できる金額を実現している。8GBに減らしつつも12GBと変わらない体験価値を維持するため、8GB用の最適化を行うなど、チューニングにもこだわっている。

また、8GBモデルでは16GB、12GBモデルでは12GBの仮想メモリが追加できる。これによってアプリの切り替えなどにおいて、仮想メモリを使った8GBが、仮想メモリを使わない12GBと同等以上のパフォーマンスを実現しているそうだ。なお、どちらの容量でも、メモリにはDDR5X、ファイルシステムにはUFS4.0を採用している。
デザインでは、従来の安心感や堅牢性、高品質を残しながら「より所有する喜びを感じられる」ことを目指し、背面にグラスファイバー素材を新採用。軽量化させつつ、耐衝撃と耐傷性が向上している。これまで1.5mだった落下体制は1.8mの強化。MIL規格(23項目)やIP66/68/69の防塵防水性能も確保している。これは、世界一の頑丈さだそうだ(世界196か国、10mm以下のスマートフォンにおいて)。
また、ディスプレイのベゼルを細くし、カバーガラスの端の丸みをなくしてフラットにすることで、保護フィルムを張っても端が浮きにくいように改良している。グラスファイバー素材により、背面のフラット化も実現した。サイドフレームについては、面取りの角度を改良することで、把持したときの手当たり感を確保させている。

そして今作では、水中撮影用のケースをはめることなく、スマートフォン単体で水中撮影が行える(淡水のみの対応)。通常、IPX6/IPX8/IPX9ではキー押下状態では試験しないため、水中でキー押下しても水没しない止水構造を新たに開発することで実現させた。


カメラでは、メインカメラのセンサーをLYTIA 700からLYTIA 710にアップグレードさせることで、暗所や低照度環境におけるノイズの発生を15%減少させている。4K/60fpsの動画撮影(従来は4K/30fps)にも対応。最大2TBのmicroSDカードにも引き続き対応する。

そのほか、FCNTのスマートフォンの特徴である「自律神経」の測定機能もアップデート。アプリを「F Healthcare」に刷新し、アイコンと文章によって状態を理解・解釈しやすいように改良している。自律神経データだけでなく、個人データや行動データ、環境データを加味して、今日どう過ごしたら良いかのアドバイスを受けられるそうだ。

上述の通り、今作は8GBモデルの場合で94,900円、12GBモデルでは118,800円を実現している。前モデルが12GB/512GBで8万円台であることを考えると大幅な値上げとなっているが、メモリ高騰のなか「1円単位」で「泥臭い努力」を重ねるなど、多くの苦労があったようだ。スマートフォンが軒並み高騰する中、手に取りやすさを目指した本製品が、どのようにユーザーに受け入れられるか注目したい。

