ハンドジェスチャーが使いやすくなった
「Pixel Watch 5」レビュー。4から買い替えるべき? 変わった点と変わらない点

Googleは8月20日、同社スマートウォッチの第5世代モデル「Pixel Watch 5」を発売した。Pixel Watch 4と同様に41mmと45mmの2モデル展開で、LTEにも対応。au/ドコモ/SoftBankから発売されている。前モデル同様、MNOの中では、楽天モバイルのみ取り扱いがない。
スマートウォッチの世代交代は、外観を見ても違いが分からない段階に入っている。Pixel Watchも例外ではなく、Pixel Watch 4からの外観上の変化は皆無と言っていいだろう。中身に関しては、数値上では大きな更新が行われているのだが、実際のところはどうなのか。
今回、Pixel Watch 5を発売前に試す機会を得たので、Pixel Watch 4と並べながら、何が変わり、何が変わっていないのかを確認していきたい。
全モデルが8000円〜1万円の値上げ
まず価格から確認しておきたい。41mmと45mmの2サイズ展開で、それぞれBluetooth/Wi-FiモデルとLTEモデルが用意される点は前モデルと同じだ。
| モデル | Pixel Watch 5 | Pixel Watch 4 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 41mm Bluetooth/Wi-Fi | 6万2800円 | 5万2800円 | +1万円 |
| 41mm LTE | 7万9800円 | 6万9800円 | +1万円 |
| 45mm Bluetooth/Wi-Fi | 6万7800円 | 5万9800円 | +8000円 |
| 45mm LTE | 8万4800円 | 7万6800円 | +8000円 |
いずれも税込。41mmが1万円、45mmが8000円の値上げとなる。なお、9月4日までは対象スマートウォッチの下取りで実質最大3万1000円お得になるキャンペーンが実施されている。ただし下取り額は機種と状態によって変わるので、公式サイトで確認してほしい。
外観・ディスプレイ・充電方式は据え置き
続いて外観をチェックしていこう。といっても冒頭に書いた通り、外観上の変化はなく、Pixel Watch 4と並べても見分けは付かない。

筐体カラーとバンドの組み合わせは、41mmがMatte Black/Obsidian、Polished Silver/Fog、Satin Pyrite/Olive、Champagne Gold/Canyonの4色、45mmがMatte Black/Obsidian、Polished Silver/Fog、Satin Pyrite/Oliveの3色。ピンク系のCanyonは41mm限定となる。Satin PyriteはPixel Watch 5で追加された新色だ。

ディスプレイはドーム型の「Actua 360 ディスプレイ」で、ピーク輝度は3000ニト。これもPixel Watch 4から変わってはいない。

充電方式も側面2端子のままだ。Pixel Watch 4のときは充電方式の変更で従来のスタンドが使えなくなったが、今回は充電ドックもバンドもそのままPixel Watch 4のものを流用できる。充電時間は41mmが約45分、45mmが約60分で満充電になるとのことだ。

なお、Pixel Watch 5では、付属するアクティブバンドの素材が従来のフルオロエラストマーから水素化ニトリル ブタジエン ゴム(HNBR)に変更されている。どちらもソフトタッチコーティングを施されているということもありそうだが、触った感触はほぼ変わらない。Pixel Watch 5のほうがやや柔らかいように感じるという程度の差だ。

処理速度とGPSは数値上の向上にとどまる
中身についても見ていこう。プロセッサはQualcomm Snapdragon W5 Gen 2 Acceleratedを搭載。Pixel Watch 4もQualcomm Snapdragon W5 Gen 2だったが、Pixel Watch 5のものはカスタマイズされた高性能版となっている。CPU性能は12%向上し、RAM容量も50%増量されたことで、処理速度が20%高速化したとのことだ。
数字としてみると、決して小さくない伸びなのだが、Pixel Watch 4と並べて同じ操作をしても、差はほとんど感じなかった。性能が上がっていないからではなく、スマートウォッチの操作がそもそも重い処理を伴わないからだろう。Pixel Watch 4の動作に不満がなかったのなら、体感に結び付く場面は多くないはずだ。
GPSにも同じことが言える。Pixel Watch 5では、Pixel Watch 4から搭載されているデュアル周波数GPSに加え、Googleマップの3D建物モデルを使った補正と、DGNSS基地局網による測位誤差のリアルタイム補正が組み合わされたとのこと。これによりルートトラッキングの精度が前世代比で2倍になり、Apple Watch Ultra 3やGarmin Fenix 8 Proを上回るとしている。
ただ、Googleが改善対象として挙げているのは、高層ビルに囲まれた市街地や樹木に覆われたトレイル、高架下といった測位が難しい条件だ。裏を返せば、通常の街路では元から大きな誤差が出ていない。筆者はPixel Watch 4でウォーキングのルートを記録してきたが、精度に不満を持ったことはない。ビル街を走り込む人や山に入る人には意味があるかもしれないが、Pixel Watch 4でのルート記録に不満がないのであれば、これを目的に買い替えを検討する必要はないはずだ。

睡眠トラッキングは15%向上、スマートアラームが加わった
睡眠については、睡眠ステージの検知精度が15%向上したとのことだ。従来の統計モデルから畳み込みAIモデルに移行し、臨床で使われる睡眠ポリグラフ(PSG)を基準に検証したと説明されている。
ただし、これはセンサーの変更ではなくモデルの更新、つまりソフトウェア的な変更だ。昨年のPixel Watch 4でも精度18%向上がうたわれていたが、同じく機械学習モデルの変更だった。ハードウェアに依存しない改善であれば、いずれ旧モデルにも展開される可能性はありそうだ。
新機能として加わったのがスマートアラームだ。設定したアラーム時刻の30分前から心拍数と体の動きを監視し、眠りが浅いタイミングで振動と音で起こす。深い眠りの最中に叩き起こされる感覚が減るという触れ込みだ。このほか、就寝モードの自動オン・オフや、寝落ちを検知したときのメディア自動一時停止も加わっている。

日常の使い勝手が変わるのはハンドジェスチャー
ハンドジェスチャーの対応範囲も広がった。ハンドジェスチャーは、ダブルピンチ(親指と人さし指を2回合わせる)と手首ひねりの2種類の操作でアラームのスヌーズやメディアの一時停止などを行えるという機能。この機能自体はPixel Watch 4にもあったが、新たにホーム画面でのダブルピンチで通知の表示とスクロールが行えるようになった。
この機能は地味に便利で、「さっき通知が来ていたな」という場合に、これまではタッチ操作(あるいはリューズの回転操作)が必要だったが、ダブルピンチだけで表示が可能になった。スクロールも行えるので通知をさかのぼって確認するのも簡単だ。
また、一部のジェスチャー操作をカスタマイズできるようにもなっている。といっても、まだダブルピンチのごく一部のみだが、メディアコントロールで「再生/一時停止」の代わりに「スキップ」、「アラームのスヌーズ」の代わりに「アラームの解除」などが設定できる。

Health Guardianは9月以降で、現時点では評価できない
ヘルスケア面では「Health Guardian」が予告されている。血管ストレス、代謝ストレス、睡眠中の呼吸の質という3項目を月ごとのトレンドサマリーとして通知する機能だ。ただ、提供は9月以降に順次とされ、着用開始から1か月後に最初のサマリーが届く仕組みになっている。発売時点では試せないため、本稿では評価できていない。
なお、これらの月次トレンドサマリーは、Google Fitbit Airを含むGoogleのウェアラブルポートフォリオ全体で順次利用可能になるとのことだ。
心電図(ECG)はPixel Watch 4から日本でも使えるようになっており、Pixel Watch 5でも引き続き利用できる。アプリ側では、これまでのFitbitアプリが「Google Health」に変わり、Geminiを使った「Google Health Coach」が睡眠や運動のデータをもとに助言を返すようになった。

バッテリー持ちは公称値据え置き
バッテリーは、常時表示をオンにした状態で41mmが最長30時間、45mmが最長40時間。バッテリーセーバー使用時は41mmが最長48時間、45mmが最長72時間となる。これはPixel Watch 4と同じだ。
バッテリー容量自体は41mmが325mAhから332mAh、45mmが455mAhから465mAhへと微増しているものの、ほぼ据え置きに近く、公称値が変わらないのも納得できる。
実際に使用したところ、45mmモデルでは、常時表示をオン、夜間はおやすみモードで、約2時間のGPSを使ったウォーキングという使い方で、24時間後のバッテリー残量は44%だった。GPSを使ったウォーキングでは2時間で約20%のバッテリー消費となっていたので、GPSを使わなければ公称値の40時間以上は持ちそうだ。なお、41mmでは、同じ使い方で24時間経過後のバッテリー残量は7%となった。こちらは毎日の充電は欠かせそうにない。
まとめ:買い替える理由は薄いが、新規購入なら選択肢になる
しばらく使ってみた感想としては、Pixel Watch 4から買い替える理由は見つけにくいというのが正直なところだ。外観、ディスプレイ、充電方式、バッテリーの公称値はいずれも据え置きで、処理速度とGPSの向上は数値としては明確でも、日常の使い方では差が出にくい。ジェスチャー操作が拡張されたのは魅力的ではあるものの、今後のアップデートで旧モデルでも対応しそうな内容だ。なお、Gemini関連機能の強化も発表されているが、一部機能は発売時点ではまだ利用できていない。
それでいて41mmモデルが1万円、45mmが8000円の値上げになっているので、差額分の価値を今の時点で示せているとは言いにくい。ただ、CPUやRAMが強化されているのは間違いない。使い続けるうちにアプリが増え、要求される処理が重くなったときに、差を感じてくる可能性はある。
これから初めてPixel Watchを買うのであれば、Pixel Watch 5が基本の選択肢になるだろう。ソフトウェア更新を受けられる期間が長い分、これから数年使うつもりなら有利だ。ただ、ここまで見てきた通り、Pixel Watch 4との実用上の差は小さい。8000円〜1万円の差額を優先するなら、Pixel Watch 4を選んでも後悔は少ないはずだ。Pixel Watch 3以前から乗り換える場合も同じで、予算を見ながらどちらかを選べばいい。
一方で、Pixel Watch 4ユーザーであれば、買い替えるメリットはほとんどないと言っていい。Pixel Watch 4の下取りが高いうちにPixel Watch 5に買い替えるという判断はありかもしれないが、そうでなければあと1年待っても良さそうだ。
カラーの印象は写真と実物で違って見えるので、気になる人は公式ストア「Google Store 表参道」や量販店などで展示を見てから決めてほしい。

