イランの関与が疑われるインフラへのサイバー攻撃を意識か
米政府、民間ハッカーの犯罪組織への「サイバー攻撃」解禁へ

米ドナルド・トランプ大統領は、連邦政府の代理として民間企業が「国境を越えて活動する犯罪組織」へのサイバー攻撃を行うことを認める、新たな国家安全保障大統領覚書に署名した。対象としてランサムウェア、性的脅迫、金融詐欺、フィッシングなどを挙げており、「民間セクターの能力と革新性」を活用するとしている。
従来、ハッキングやコンピューターへの不正アクセス、その他のサイバー攻撃を禁じる主要法であるコンピューター詐欺・不正利用防止法(CFAA)は、民間企業・個人ともに原則として適用されてきた。2022年に司法省(DOJ)が示した方針は、セキュリティ研究目的でハッキングを行うホワイトハットハッカーを訴追しないという限定的なものだった。
しかし今回の大統領覚書により、政府の指示による、より積極的なサイバー攻撃についても訴追を見送れる余地が大幅に広がる可能性がある。もっとも、具体的にどのように運用するのか、実施の核心部分はまだ整備されていない。
覚書は国土安全保障タスクフォースに対し、参加を希望する企業の審査基準や、攻撃を実施する際の手続きを策定するよう指示しており、詳細は今後(米現地時間8月12日から)60日以内に示される見込みである。参加企業には100万ドルの保証金を支払うことも義務付けられ、政府の指示に従わなかった場合には没収される。
トランプ大統領が署名する直前には、ミネソタ州とミシガン州の水道施設に対するサイバー攻撃が相次ぎ、当局はイラン系主体の関与を調査している。こうした重要インフラへの脅威が高まるなか、民間企業が持つ攻撃的なサイバー能力も政府の監督下で活用する狙いがあると推測される。
一方、覚書によって政府の命令に従うインセンティブが生まれ、米国内での訴追リスクが軽減されるものの、標的となるサーバーが置かれている外国で企業や従業員が刑事責任を問われた場合については説明されていない。国家の関与のもとで民間主体が越境攻撃を行えば、主権侵害や報復措置、民間企業に対する法的保護の限界などが争点となりそうだ。
- Source: White House
- via: Engadget
