任天堂は「消費者は支払った対価通りのものを受け取っている」と主張

ソニー、米政府から800億円還付。PS5値上げ分はユーザーに返金されず

多根清史

Image:Miguel Lagoa/Shutterstock.com

米連邦最高裁がトランプ政権による広範な対外関税を違法と判断してから数か月後、ソニーは米政府からグループ全体で約800億円の返金を受けたと報告した。昨年、同社は米国内でPS5を値上げし、その理由として「厳しい経済環境」を挙げ、関税の影響をほのめかしていた。だが、値上げ後に購入したユーザーへの返金や値引きを行う動きは、今のところ見られない。

ソニーのCFO(最高財務責任者)である陶琳(タオ・リン)氏は先週、投資家向け質疑応答で「受け取った関税返金のほとんど」はPlayStation部門に配分されると説明した。これは、ゲーム事業が関税コストの大半を負担していたことを示唆している。

ゲームビジネスメディアGame Fileによると、匿名のソニー幹部らは、関税返金の70%(約560億円)を2026年4月〜6月に受け取ったと認めたという。つまり、ソニーは今後も米政府から約240億円の支払いを受ける見込みだ。

こうした姿勢は任天堂にも共通している。同社も関税コストを理由にゲーム機を値上げしたことを受け、米国のゲーマー2人から「米政府から還付された分を顧客に還元すべきだ」とする集団訴訟を起こされている。しかし任天堂は、返金する義務はないと反論。担当弁護士は「任天堂製品を購入した人々は、自らが交渉し、支払った対価どおりのものを受け取っている」と主張している。

トランプ大統領は「対外関税は外国企業や外国政府が支払う。だから米国民は得をする」と繰り返し主張していた。しかし、関税は法律上、輸入業者に課される税であり、実際に支払うのはまず米国側の輸入企業である。ニューヨーク連銀の分析でも、2025年時点のトランプ関税の負担の「ほぼ90%」は、米企業と米消費者が負っていたとされる。輸入業者が関税分を販売価格へ転嫁し、一部は企業の利益圧縮で吸収されるものの、大半は消費者価格の上昇という形で負担されていた。

昨年には、「米Amazonが商品価格の横に関税による値上げ分を表示する計画がある」と報じられたことを受け、トランプ大統領が創業者ジェフ・ベゾス氏へ電話をかけ、その直後にAmazonが報道を否定する一幕もあった。しかし実際には、トランプ関税による負担の大半を支払っていたのは、米国の消費者だったようだ。

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