ただし当面はEU限定の見通し

iPhoneとWindows間でコピペ可能に? アップルが新機能を開発中

多根清史

Image:WML Image/Shutterstock.com

アップルは、iOSデバイスとWindows PC間でコピー&ペーストを可能にする新機能の開発を進めていると報じられている。

MacRumorsによると、この機能はEUのデジタル市場法(DMA)に基づくマイクロソフトの要求を受けて開発が進められているという。具体的には、DMAの相互運用性リクエスト、すなわちアップルなどの「ゲートキーパー」企業に対し、サードパーティ開発者や事業者がOSやハードウェア機能との連携に必要な技術的アクセスを公式に要求できる仕組みに基づくものだ。

アップルは今年3月にこの要望の評価を開始し、6月26日にプロジェクト計画案を提示したという。

マイクロソフトは、この機能の用途について次のように説明している。

  • iPhone上でテキストやその他の対応コンテンツをコピーし、それをWindows PCへ直接貼り付けられる。また、その逆も可能となる
  • アプリを前面表示したり、転送を開始するために明示的な操作を繰り返したりすることなく、一般的な生産性ワークフローを実行できる
  • クリップボードの同期を、手動でアプリを介して行う操作ではなく、軽量かつ継続的な機能として利用できる

アップル側は、iPhoneがペアリング済みアクセサリ(Windows PCなど)との間でクリップボード(ペーストボード)を共有・取り込める仕組みを提案したという。

同社は、EU向けiOS 26.5でサードパーティ製ウェアラブル向けに追加した「Accessory Notifications」に似た方式を採用する予定とされる。ユーザーは、ペアリング済みデバイスごとに一度だけ、クリップボードの共有を許可する必要がある。

また、アプリ開発者は「AccessorySetupKit」を採用し、ユーザーがクリップボード共有に同意するための権限付与フローを実装する必要があると説明されている。

現時点では、アプリがiPhoneのクリップボードを読み取れるのは、そのアプリが前面で動作しており、ユーザーがコピー/ペースト操作のたびにアクセスを許可した場合に限られる。

一方、アップルが自社デバイス向けに提供している「Universal Clipboard」は、iOSとmacOS間でクリップボードを自動かつ継続的に同期できる仕組みであり、制限は大幅に緩和されている。

マイクロソフトは、こうしたアプリ向けのクリップボード制限により、iPhoneからPCやその他の接続デバイスへクリップボード内容をバックグラウンドで継続的に同期できないと不満を示しているという。

アップルは、このデバイス間コピー&ペースト機能の導入には大規模なエンジニアリング作業が必要であり、開発完了は2027年秋を見込むとしている。まずは開発者向けベータ版で提供し、その後テストを経て一般公開される予定だ。2027年秋の終わり頃にベータ版が公開された場合、一般向けリリースは2028年初頭になる可能性がある。

この機能は、EU域内のiPhoneとWindowsユーザー向けに限定される見込みだが、他の地域へ展開される可能性もある。アップルは、DMAへの対応として実装した一部機能を世界展開してきた実績があるためだ。例えば、iPhoneからAndroidへのeSIM転送や、AndroidとiPhone間でのデータ移行の簡素化などが挙げられる。

もっとも、AirPods風のペアリング機能やサードパーティ製ウェアラブルへの通知転送など、EU限定にとどまっている機能もある。この「iPhone↔Windowsクリップボード共有」がどちらの扱いになるかは、現時点では不透明である。

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