使える機能や機種に注意
iPadにも紙にも書けるボールペン。老舗ゼブラが開発した「スタイラスツーウェイ」を試す

文具メーカーのゼブラが、紙とiPadの両方に同じペン先で書ける「スタイラスツーウェイ」を7月31日に発売する。PC周辺機器メーカーのエレコムと約5年をかけて共同開発した異色のスタイラスペンだ。価格はオープンだが、1万5000円前後の実売が見込まれる。
同じペン先でiPadにも書けるインクボールペン
本製品は一見するとクリップノック式のボールペンだ。クリップを押してペン先を出すと電源が入り、先端から発せられる微弱な電気信号をiPadの静電容量式タッチパネルが検知する。Bluetoothによるペアリングや、専用アプリによる設定は不要。約30分の充電で約7時間連続して使える。
最大の特徴は、ペン先のボールが紙に触れるとジェルインクが出る一方で、iPadの画面に触れた時にはインクが出ることなくデジタルスタイラスペンとして使えることだ。
一般的なボールペンは、ガラスのように滑らかな面では先端のボールが回転せず、インクが出にくくなる。文具業界では「ツル抜け」と呼ばれるこの現象を、ゼブラは逆転の発想で商品に活かした。

開発当初はiPadで最高の筆記感を再現するスタイラスペンを目指して、インクを入れずにペン先の評価だけを重ねていたという。その過程でツル抜けに着目して、多くの紙には滑らかに書けて、iPadの画面上ではインクが出ないペン先とインクの組み合わせを探ってきた。
同社の研究施設では400種類を超えるインクを試作した。ゼブラがペン先とインクを担当し、エレコムが電子回路を含む本体機構や生産、品質管理を担うかたちで開発が進んだ。
書き味は軽快。iPadの対応機種と環境に注意
iPadに書いてみると、ペン先の追従は滑らかで、描画時に目立つ遅延も感じない。そのまま紙にペン先を乗せて書くと、今度はごく一般的なジェルボールペンに近い感覚で筆記を続けることができる。いうまでもなくApple Pencilにはできない芸当だ。
一方で、最新のApple Pencil Proが備える筆圧・傾き検知や、本体のダブルタップやスクイーズによるツールの切り替えに相当する機能は搭載してない。現在Apple Pencil Proを使いこなしているiPadユーザーは、このスタイラスツーウェイの仕様がもの足りなく感じられるだろう。

スタイラスツーウェイが対応するiPadの機種、ディスプレイの仕様に制約があることも、ペンの購入を検討する際に注意したい。
iPadは第7世代以降の一部、iPad miniは第5世代以降の一部、11インチiPad Proは第2世代以降の一部で利用できるが、iPad Airは全機種が非対応だ。そして、13インチおよび12.9インチのiPad Pro、およびディスプレイにNano-textureガラスのオプションを選択したモデルにも対応しない。
使用時には必ずiPadにガラスタイプの液晶保護フィルムを貼って使うことが推奨されている。iPadのディスプレイを傷つける可能性があるからだ。シリコン樹脂製のフィルムは使えない。ゼブラが指定するガラス製保護フィルムの装着が推奨されている。ペーパーライクフィルムのような、紙の筆記感に近づけた保護フィルムを装着して書くと、ボールペンのインクが出やすくなるので、使用を避けたい。

スタイラスツーウェイには専用の交換芯が用意されている。一般的なゼブラの替え芯は使用できない。種類は発売当初、ボール径0.5mmのブラックのみになる。おそらくペン先のサイズやカラバリについては、発売後間もなく追加を求める声が高まるだろう。
スタイラスツーウェイが特にフィットするユーザー像は、仕事でiPadを使いながら、紙のノートや資料にもよくメモ書きを加えるような方だ。紙のノートからiPadへ、これからは手描きによる記録をデジタルファイルに移行する過程にある方々にも、スタイラスツーウェイが手もとにあれば便利さが実感されるかもしれない。
Apple Pencilに代わるデジタルペンというよりも、「iPadにも書けるインクボールペン」として捉えた方がこの製品の面白さがよく見えてくる。
