初の交流イベント「Even Day」開催

「アップルを恐れていない」Even RealitiesのCEOが語る展望。次世代グラス「G3」開発中

編集部:平山洸太

スマートグラス「Even G2」

Even Realitiesは7月17日、日本で初開催となるコミュニティイベント「Even Day Japan 2026」を実施。300名を超えるユーザーや開発者が集結した。

会場の様子

同社は、ディスプレイを搭載するスマートグラス「Even G2」および、グラスの操作機能を備えたスマートリング「Even R1」を展開している。今年4月には同グラス専用のアプリストア「Even Hub」を立ち上げたほか、CodexやClaude CodeといったAIエージェントを操作できる「ターミナルモード」も搭載するなど、サービス拡充を続けている。

会の冒頭には同社CEOのウィル・ワン氏が登壇。盛大な拍手で迎えられ、ユーザーの熱狂ぶりが伝わる登場となった。

ウィル氏は、スマートグラスについて「デジタルデバイスを本当に小さくする唯一の方法」であり、「これが次世代のインターフェースになると確信しています」と強調。そしてEven Hubは「最良の見込みを大きく上回っている」とし、すでに登録済みのアプリが約500、未登録のアプリが約4000、登録済みの開発者が約5000人だと紹介した。

CEOのウィル・ワン氏が来日

ターミナルモードについては、「これは本当にキラーアプリだと言われた」というようにユーザーから多くのメッセージを受け取ったとしつつ、一方で「体験はまだ初期段階」だという。「思ったより洗練されていない」とのことで、iPhoneとApple Watchの間で切り替えるようにスムーズではないとのこと。これを改善するために取り組んでおり、1〜2か月後には「もっともっと良いバージョン」がリリース予定だそうだ。

さらに、2〜3か月後には会話サポート機能に「非常に大きなアップデート」を行うこともアナウンス。またEven Hubにおいても、インターフェースを作り直す作業を行っており、同じく2〜3か月後を目標にしているという。なお、こういった改善はユーザーからの意見をもとにしており、ウィル氏自身もほぼ目を通しているという。

今後のアップデート予定

AI機能の強化に向けた準備を進めており、社内でもエージェントチームを立ち上げたとのこと。現状ではメモリシステムも十分ではなく、機能も十分ではないと話しており、1〜2か月後を目標に「AIをさらに強化するために多くのリソースを投入」していくと話した。

スマートグラスは競合他社も増えつつあり、大手メーカーからの登場も予想されている。しかしウィル氏は「私たちはアップルに立ち向かうことを恐れていません。 サムスンに対しても」と述べる。

ウィル氏はEven Realitiesを創業する前、クパチーノのアップルでエンジニアを務めていた。大のアップルファンであるウィル氏にとって “夢の会社” だったというが、実際に入社して「かなりがっかり」したという。その理由が決断に対して「より安全な選択を、ますます慎重に」していることだと話す。

そういった背景から、“次のiPhone” を生み出すのは「おそらくアップルではないでしょう。 別のところです」とウィル氏。しかしシリコンバレーはソフトウェアに注力している企業が多く、 “元々のアップルの精神” をもつようなハードウェアの企業は存在しなかったとのこと。そこで2018年に中国・深圳へと戻り、会社の設立や人脈構築、人材採用を行い、「次世代の最高のコンシューマー電子機器企業」を目指してきた。

業界の転換点では「いつも新しい会社が生まれると感じている」とウィル氏は述べ、たとえば日本やヨーロッパなどに自動車メーカーがあるものの、EVでは新しいテスラが革命を起こしたと説明する。AIについても、GAFAのような巨大テック企業ではなく、新興のOpenAIが業界を変えたのだと述べる。そしてOpenAIと戦っているのは、Googleではなく、より小さなAnthropicだと説明する。

「私たちはこの業界のテスラになりたかった。 この業界のOpenAIになりたかった。 この業界のAnthropicにもなりたかった」とウィル氏。このような経緯と考えから、アップルを離れて新しい会社を作ることで、より大きい存在になることを目指しているようだ。

なお、メディア向けに行われたウィル氏への囲み取材では、開発中の次世代モデル「G3」への言及もあった。「G3は本当にとても良い製品になると確実に期待できます。ただ、そう早くはならないでしょう」と話し、年内にはリリースしないことを明かした。

また、G3は「改めて言えば、大きな飛躍になります」とウィル氏。初代のG1では20人ほど、G2では70〜80人ほどで開発していたのに対して、G3では300〜400人で開発を行っているという。

現在のEven G2では、カメラやスピーカーのないシンプルな仕様が特徴となっている。「私たちは記録を一切作らない。音声も一切保存されていない。そして当然、カメラもない。それが最大のメリットの一つだ」とウィル氏は説明しており、短期的にはカメラを搭載する考えはなさそうだ。

そのほかイベントでは、開発者を交えたトークセッションも実施。ウィル氏に加えて、電電猫猫氏、ミスターVR氏、takashicompany氏が登壇し、Even製品を使い始めたきっかけや魅力、開発したEven Hubのアプリについての紹介などが行われた。

トークセッションの様子。左からウィル氏、takashicompany氏、ミスターVR氏、電電猫猫氏

関連キーワード: