高価格スマホほどメモリ高騰の影響を受けにくい構図

AI向け半導体不足がスマホ市場を直撃。アップルとサムスンがシェア拡大

多根清史

Image:Elvard project/Shutterstock.com

深刻なメモリ(DRAM/NAND)不足がスマートフォン市場を直撃するなか、アップルとサムスンがシェアを拡大しているとのレポートが公表された。

市場調査会社Counterpointによると、2026年第2四半期(4~6月)の世界のスマートフォン出荷台数は前年同期比約11%減少した。第2四半期としては2013年以来、最も低い水準である。この落ち込みの主な原因は、DRAMおよびNANDチップ価格の上昇にあると指摘している。

さらにCounterpointは、2026年通年の出荷台数が前年比約14%減少すると予測しており、この深刻なメモリ不足は2027年まで続く可能性があると警告している。

とりわけ影響が大きいのは低価格モデルだ。市場調査会社Omdiaは、メモリ価格の高騰が400ドル以下のスマートフォンに大きな打撃を与えていると指摘している。この価格帯では、メモリがBoM(製造コスト)の半分を占めるケースも珍しくないためである。

一方、フラグシップ機ではメモリコストがBoMに占める割合はおおむね4分の1程度に留まるとされる。こちらも過去1年間で大幅に上昇したものの、高価格帯モデルの方が依然として利益を確保しやすい状況にある。

市場全体が落ち込むなか、アップルとサムスンは購買力とサプライチェーンに対する強い影響力を背景にシェアを拡大しているという。

Image:Counterpoint

アップルの出荷台数は前年同期比で約3%増加したとされる。多くのメーカーが値上げに踏み切るなか、現行世代のiPhoneでは価格を据え置いたことが奏功した形である。ただし、今年秋に投入が見込まれる新型iPhoneでは値上げが予想されており、この状況が続くとは限らない。

サムスンの出荷台数も増加し、2026年第2四半期の世界シェアは24%に達し、首位に返り咲いた。Galaxy S26シリーズ、とりわけUltraモデルは値上げにもかかわらず前年モデルを上回る販売実績を記録した。また、インドや中東市場でも好調を維持しており、低価格戦略や積極的な販売促進策が販売を後押ししているとみられる。

AIブームは、スマートフォンメーカーにとって大きな転換点となりつつあるようだ。たとえAIブームが一過性に終わったとしても、各社は今後1年間で利益率の低い低価格モデルを縮小し、残るモデルの価格を引き上げる可能性が高い。そしてフラグシップ市場では、アップルとサムスンのブランド力は揺らぎにくく、当面は二強体制が続くのかもしれない。

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