8192コア搭載、コアごとのLEDがグラフィックの「ピクセル」です
RISC-Vチップ8192個を使ってGPUを自作したハードハッカー現る。消費電力は2kW

生成AIブームの勃発により、RAMよりも前に価格が高騰し始めたコンピューター用パーツがGPUだ。コンピューターグラフィックを司るだけでなく、高度な演算処理にも向くその電子パーツは現代のAIには欠かせないものとなっている。
しかし、生成AIブームが過熱するに従い、RAMやストレージとともに一般向けのGPU製品は入手が困難となり価格が高騰、ついにはAI用としては需要がない数世代前の古いGPU製品が再び市場に投入される状況を生み出した(ただし、価格も当時と同等レベル)。
そんな2026年に、ハードウェアハッカー(モッダー)のBitluni氏は、自らカスタムGPUを構築してみようと考えた。
そんなことができるのか?というのがほとんどの人が思う素朴な疑問だが、GPUは基本的に、非常に多数の(比較的単純な)コアを備えたプロセッサーと言うことができる。そして、その比較的単純な、1個あたり13セントという安価なRISC-VマイクロコントローラーをBitluni氏はたまたま大量に持っていた(過去にYouTubeで公開したプロジェクト動画を参照)。

もともとのアイデアは、GPUではなくディスプレイを作ろうとしていたというBitluni氏だが、コストと難易度を慎重に検討した結果、彼はRGB LEDを各マイクロコントローラチップに直接はんだ付けする方法を選んだ。この選択により、このGPUは正確には「GPUとモニターが一体化したもの」になった。
RISC-VチップのWCH CH570マイクロコントローラーは、12KBのSRAMを内蔵し、最大100MHzで動作する。もちろん単体では大した処理はできない。しかし、これらを組み合わせて動かすことで巨大な並列処理アレイに仕立て上げることができる。
Bitluni氏は、このマイクロコントローラー32個を1クラスターとし、それをより大型のCH32Vマイクロコントローラーで制御、クラスタ全体にデータを効率的に分散できる階層型アーキテクチャを構築しようと考えた。

ただ、この規模のハードウェアを自作するには、もはや電子工作レベルでは不可能だ。当初、Bitluni氏は大量のマイクロコントローラーで単一のクロック信号を共有しようとしたが、そうするとクロックを供給する発振器が過負荷になってしまった。
次に、各マイクロコントローラに専用の水晶発振器を搭載するように基板を再設計した。この設計も非常に困難で、プロジェクトに協力した基板メーカーのソフトウェアでも全体をひとつの設計にまとめることはできなかった。
結局、16×32個のマイクロコンピュータークラスターを搭載した基板を、PCIeエッジコネクタを持つ1枚のモジュールとして、それを大型のバックプレーンに接続する方式に切り替えることになった。

そうしてできあがったGPUの姿は、マイクロコンピューターごとにRGB LEDの「ピクセル」を持つ基板が、円形のベース上に立ち並ぶ、まるで1970年代に製造されたベクトル型スーパーコンピューター「Cray-1」のようになった。
次なる問題は、数千個も立ち並ぶプロセッサーに手作業でプログラミングを行うのは到底無理、ということだった。そこでBitluni氏は、Bambu 3Dプリンターを自動プログラミングマシンに改造した。
3Dプリンターのプリントヘッドに取り付けられた特製のポゴピンツールが各チップのプログラミングパッドに押し当てられ、Pythonスクリプトがプリンターにチップからチップへと移動するように指示することで、ほぼ手動操作なしでモジュール全体にファームウェアを書き込めるようにしたのだ。

今回のプロジェクトでは、Bitluni氏は合計8192個のチップを使うに留まった。だが塵も積もれば山となるもので、その消費電力は合計2161W(約2.1kW)にも達した。これに対処するには、コルセア製のWS3000 ATX電源ユニット(3kW)と、12Vから3.3Vに高電流で変換するカスタム設計のコンバーターを用いた。

終始何を言っているのかわからないという人も多いだろう。だがこの機械は、れっきとしたディスプレイを備えたGPUである。Bitluni氏は「ここからさらにこのデバイスを拡張できる」と述べ、「次回の動画でさらにこの機器の可能性を探究していく」と意気込んでいる。そのときに、どんなものが登場してくるのか、なんとなく気になるところだ。
- Source: Bitluni(YouTube)
- via: Tom's Hardware The Register
