アクセルは踏んでいたものの、テスラにも一定の責任?
住宅街暴走のテスラ、事故前にドライバーが「FSDは臆病」と検索

米テキサス州で発生した、住宅街で暴走したテスラModel 3が住宅に突っ込み、高齢女性が死亡した事故で、事故時のテスラの速度が時速117kmにまで達していたことがわかった。
このテスラのオーナーでリッチモンド在住のデビッド・バトラー氏は事故時にFSDを使用していたと主張しており、テスラもそれを認めている。ただし、テスラは事故時にバトラー氏がFSDの動作を解除するためにアクセルを100%まで踏み込んだことが暴走の原因だと主張していた。
これに対し、検察はバトラー氏に対する起訴状で事故当時のテスラのテレメトリーデータに関する情報を公開した。
データによれば、バトラー氏は事故当日、DoorDashの配達の仕事をこなしており、最後の配送を終えた後にFSDをオンにしていた。そして、一時停止標識のある交差点に近づいた際にバトラー氏はアクセルを踏み、交差点を通過している。NHTSAはテスラに対し、FSDが一時停止標識で必ず停止するよう強制しているのだが、この操作はテスラに限らず米国のドライバーがよくやる違反のひとつで、「カリフォルニア・ストップ」などとも言われている。
しかし問題はその後だった。数秒後、テスラが目的地に向かうため左折しようとした時、FSD(完全自動運転)はウインカーを点灯させ、左方向へステアリングを切り始めたのだが、バトラー氏は再びアクセルを踏み込み、車はそのまま袋小路へと直進した。このときのテスラのアクセル開度はベタ踏み、つまり全開状態になっており、それが約6秒間続いたと捜査官らは述べている。
その結果、Model 3は住宅街の制限速度の2倍以上となる時速117kmにまで加速した。その後、車体が縁石で跳ねて宙に浮き、被害女性宅に突っ込むまで、ブレーキは一度も踏まれていなかった。

事故後の捜査において、Model 3にはアクセルペダルが固着したり、フロアマットが引っかかったり、物理的な故障はなかったとしている。また、事故直後のバトラー氏は救急隊員に対し、カーステレオの操作のために画面を見たあとの記憶がないと述べていたが、医学的な検査結果にも異常は発見されなかった。
ただ、警察がバトラー氏から押収したスマートフォンの検索履歴からは「FSDは市街地走行には積極的ではない」「テスラFSDは臆病すぎる」「FSDは2026年まで十分積極的ではない」といった文言が見つかっており、検察はこれらが、バトラー氏が意図的に速度制限を回避した証拠だとしている。
バトラー氏がこれらの文言でウェブ検索をしていたことは驚きではない。というのも、テスラは工場出荷状態ではFSDをいわゆる「なまけもの」モードにしており、このモードではテスラは法定速度を守るように設定されている。またFSDには、走行中に存在しない物体を検出して不意に減速する「ファントムブレーキ」現象もある。
余談だが、FSDには制限速度を時速24~48kmも超過して走行する「マッドマックス」モードという、非常識極まりない設定もある。要するに、FSDは「臆病すぎる」のではなく、設定次第だ。ちなみに、マッドマックスモードはリリース翌日にNHTSAの調査対象になった。
話を戻すと、デフォルトの設定でFSDを使用している場合、安全のためではあるがテスラがもたつくと感じる場面によく出くわすため、ドライバーのあいだではアクセルを踏み込んで自動運転を(解除ではなく)オーバーライドする操作が常態化しているということだ。そして、テスラはそれが可能なようにFSDを設計している。
今回の事故の原因は間違いなくバトラー氏のアクセル操作にあると考えられる。しかし、だからといってテスラに責任がないことにはならない。バトラー氏がFSDによる交差点での左折をキャンセルしたときまで、FSDはModel 3をコントロールしており、ハンドル操作も行っていた。
死亡した女性の遺族は、テスラにも一定の責任があるとして訴訟を起こした。
フロリダ州で最近出されたテスラのAutopilot使用中の事故に対する判決では、Autopilotを誤った方法で使用したドライバーの過失を67%としたものの、残りの33%は、紛らわしいマーケティングによってAutopilot機能について顧客をミスリードして、根拠のない安心感を与えていたことを考慮して、テスラに33%の過失があると判断されている。そのため、今回の事故に関する訴訟でも同程度はテスラに責任があるとの判断が下される可能性はある。
- Source: CNBC The Guardian
- via: Electrek
