20〜240mm相当まで1台で完結
DJIの2眼「Osmo Pocket 4P」9.9万円でついに発売!「4」との違いとインプレッション

DJIは、ジンバルタイプの小型カメラ「Osmo Pocket 4P」を6月29日21時に発売した。通常のスタンダードコンボが99,000円(税込)、付属アクセサリーを強化したV-Logコンボが113,300円(税込)。当初発売されるのはブラックのみ。ホワイトも公式ストア限定で登場予定だが、発売日は未定となっている。
シネマレベルの映像性能とポケットサイズの携帯性を両立し、 “ジンバルカメラの最高峰” だという、Pocketシリーズの新モデル。5月14日にフランスのカンヌで行われたプレミアイベントで披露されていたが、ついに詳細が明らかになり販売開始された格好だ。
Pocketシリーズは、3軸のジンバルによって滑らかな映像が撮れる小型カメラ。初代モデルは2018年に登場し、2020年に2代目、2023年に3代目、2026年に4代目と進化してきた。ドローンのブレの少ない映像を、地上にて手持ちで使いたいという要望から生まれたのだという。新モデルは基本的にPocket 4をベースとしているが、多くの部分で細かく異なっている。

新モデルの大きな特徴が、2つのカメラを搭載していること。従来のPocketシリーズは20mm相当の広角カメラを1基搭載していたが、新たに60mm相当(3倍)の中望遠カメラも搭載している。センサーサイズと絞り値は20mmの方が1インチ・F2.0、60mmの方が1/1.28インチ・F1.8となる。
先に発売されているPocket 4は、20mm相当のみだったため、最大2倍のロスレスズーム、最大4倍までのデジタルズームとなっていた。新たな4Pでは60mm相当のカメラを備えることで、最大6倍のロスレスズーム、最大12倍のデジタルズームが行えるようになった。

記者は深圳のDJI本社訪問時に、先行してPocket 4Pを触ることができ、静止画を中心に試してみた。20mm相当のカメラは使い勝手が良いが、どうしても全体を広く捉えるような撮り方になってしまう。中望遠のカメラに切り替えることで、旅先で気になった小物や植物、料理などを30cmまで寄って記録に残せる。寄って撮影することで、小型なセンサーでありつつも、背景をぼかした表現が可能だ。ズームボタンを1回押すとカメラの切り替え、長押しするとゆっくりズーム、2度押しすると一気に6倍までズームできる操作性も気に入った。
2つのカメラを搭載することで、デジタルズームを含めると20mm相当から240mm相当まで1台で完結することができる。カメラを縦に並べた理由については、本体をポケットに収まりやすくするため、そしてレンズが切り替わった際のズレを感じにくくするためだという。
Pocket 4Pは既存の4とは違い、20mm相当のカメラのセンサーにLOFIC画素のCMOSセンサーを採用している。LOFICは、露光時にあふれた光の電荷を別のところに保存できるため、従来よりも白飛びを起こしづらくなるというセンサー技術だ。これにより、ハイライト性能を向上させつつ、単一露光でHDR撮影を実現できるとしている。
このおかげか、影になった場所から屋外を撮るような明暗差の大きいシーンであっても、あまり白飛びせず、HDRによる加工感も薄い撮影が行えた。夜景を撮影した際は、光源の部分のハイライトに若干の飽和があったが、ほとんどのユーザーでは気にならないレベルだと思う。



一方で60mm相当のカメラの方は、従来のCMOSセンサーとなっている。ただ、明暗差のある場面でも夜景でも、2つのカメラでそこまで大きな差は試用では感じられなかったので、ソフトウェアによる処理で調整しているのかもしれない。RAWで撮影した静止画では2つのカメラに明確な差(広角のほうが画質的に優秀)があったので、もう少し長く使うと見えてくる部分はありそうだ。

被写体の追尾も優秀だった。本機はActiveTrack 8.0を搭載しており、被写体が障害物に隠れたとしても、認識した被写体を追い続けることができる。12倍のデジタルズームを使った際にもトラッキングは利用することが可能。試用では空中に飛ぶドローンを追ってみたが、肉眼ではほぼ認識できないくらい遠くまで飛んでいった状態でも、迷いなく追い続けることができた。

本機の質量は230gで、Pocket 4の190.5gよりも若干重くなっている。カメラ部分が重く、頭に重心が寄ったバランスになっているので、油断してバランスを崩して手から落ちそうになることもあった。慣れてきたら問題なかったが、念のため付属のストラップを腕に通して使ったほうが良さそうだ。回転式のディスプレイはPocket 4と同じ2.0インチの有機ELで、1,000nitsの画面輝度も同様となる。
DJIがアピールしている新たな特徴として、20mm相当のカメラは17ストップのダイナミックレンジをもつD-Log 2に対応している。60mm相当の方は、既存の14ストップのD-Logとなる。また20mm相当のカメラでは最大4K/240fps、60mm相当のカメラでは最大4K/200fpsの撮影に対応する。
静止画では設定からSuperPhotoを選択すると、3,700万画素でのJPEG記録を行うことが可能だ。ProモードにすればRAWでも記録できる。ただし、JPEGで選べる解像度は3,700万画素と800万画素のみ。アスペクト比も16:9と1:1の2種類となっている。シャッター速度は最大1/16000(4は1/8000)、最大感度はISO25600(4はISO12800)に高まっている。
また試用で感じたのは、60mmで静止画を撮影するときは、手ブレに注意が必要ということだ。ISO感度を低く抑えようとする傾向があるのか、室内で料理を撮る際にシャッター速度が1/10や1/15くらいになることも多く、気をつけていたのに手ブレしている写真がいくつかあった。本体の画面が小型なので、本体では問題なくても油断できないと感じた。DJIでは静止画撮影のニーズも認識しており、静止画にも気を配っているようなので、今後のファームウェアで今後改善されていくことに期待したい。

ほか、内蔵ストレージは103GBと、Pocket 4の107GBから多少減っているが、引き続きmicroSDを利用することが可能だ。オーディオズームも搭載。トラッキング時に優先する被写体も3件まで登録できる点も、Pocket 4と同等となる。ワイヤレス接続の画面付きリモコン「Osmo FrameTap」にも対応する。
付属品について、スタンダードコンボでも補助ライトが付いていることにも触れておきたい(Pocket 4のスタンダードコンボには付属していなかった)。これに加えて、ねじ付きハンドル、キャリーポーチなどが付属している。そしてV-Logコンボには、Osmo FrameTapやDJI Mic Mini 2、キャリングバッグ、広角レンズなども付属している。なお、持ち歩き時にジンバルを固定する、ジンバルクランプは用意されないようだ。
DJI Pocket 4Pは中望遠カメラが付いたことで、より撮影の選択肢が広がったと思う。広角カメラのセンサーが刷新されたことで、より明るい場面の撮影にも強くなった。Pocket 4は79,200円(税込)なので、その差は約2万円。バランスやサイズはPocket 4が有利だが、撮影体験を重視するならPocket 4Pを選ぶ価値は大いにありそうだ。
