真っ暗な夜間にこんなのが走ってきたら危ない気もする

光吸収率99.99%以上、黒すぎる塗料が中国で開発

Munenori Taniguchi

Image:Zhiwei Liu, Changyi Pan, Jet Cui (Cell Press)

日本ペイントホールディングスとシンガポールのウットラム・グループによる合弁事業体Nipseaグループの、上海グループコアR&Dカラーテクノロジー部門は、高度な光吸収ナノテクノロジーと従来型の水性カーボン顔料スプレーを組み合わせて、これまで以上に濃い超黒色コーティングを実現する実用的な方法を開発した。

学術誌Cellの「Matter and Light」に掲載された論文では、この技術はカーボンブラック顔料とカーボンナノチューブの複合素材で構成され、自動車の塗装にも適用可能なコーティング方法だという。

人々が想像する黒色の物体は確かに黒く見えるものの、光を当てるとある程度反射するため、そこに何かがあることは視認できるレベルのものであるはずだ。しかし、今回開発された技術によるコーティング面は、光をほとんど反射しないため、そこに確かに塗装面があるにもかかわらず目視が非常に困難で、まるでその空間に先の見えない穴が開いたかのような「ブラックホール」効果を生み出す。

現在、中国では自動車の塗装色として黒色の人気が急上昇しており、市場のほぼ1/4(約750万台)が黒色で販売されているのだという。

今回発表された超黒色コーティングとよく似た塗装技術としては、2014年に発表され、後にBMWがコンセプトカーの塗装色に採用したVantablackを覚えている人もいるかもしれない。Vantablackは、微細な原子レベルの炭素繊維を塗装面に対し垂直に整列させることで、入射する光子をほぼすべて吸収する。だが塗装の手間と仕上げが難しいのが難点で、コストも非常に高くなる問題があった。

Image:Zhiwei Liu, Changyi Pan, Jet Cui (Cell Press)

しかし今回の超黒色塗装はナノサイズのカーボンブラック顔料とカーボンナノチューブの混合物を開発し、それをコーティング材のバインダーに混合して自動車用コーティングとして通常のスプレー塗装で塗布可能にした。この方法では黒色が薄まることがなく長期安定性もあり、Vantablackと同等の、可視光線99.90%以上の吸収を可能にしているとのことだ。

なお、この技術を開発する研究者は「分散技術と装置の急速な発展に伴い、カーボンナノチューブを含むナノ材料の実用的な加工性にはまだ改善の余地がある」と述べており、将来的には、多層構造で屈折率勾配を持つ超黒色コーティングを開発し、界面反射を低減させ、光吸収効率をさらに高められるという。

研究者らは、コーティングの工程に関する技術的な概念実証設計は完了したものの、紫外線や傷、腐食への耐久性は確認されていない。そのため、実際にこのコーティングを施した車両を公道で見かけるようになるには、まだしばらく時間が必要になる見込みだ。

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