【連載】山本敦の発見!TECH最前線 第12回

「Ray-Ban Meta」を度付きに。レンズ選びから装着感調整、気にすべき点を直営店で聞いた

山本 敦

筆者はふだんから眼鏡をかけて生活している。だから昨今話題のスマートグラスが本当に役立つ「スマートなツール」になり得るかどうかは、カメラやAIの機能以上に、視力を矯正する道具である「眼鏡としての快適さ」にかかっていると思う。

今回筆者は、5月21日にMetaとEssilorLuxottica(エシロールルックスオティカ)が発売した、Meta AI搭載のスマートグラス「Ray-Ban Meta」を購入した。先に公式オンラインストアでフレームを購入して、後から直営店のRay-Ban Storeで処方レンズを注文する際の流れを取材・レポートする。

Meta AIグラスの “度付きレンズ” を購入するため、渋谷・公園通り沿いにあるRay-Ban Store 渋谷を訪問した

Ray-Ban Store 渋谷で「度付き」のレンズを購入

Ray-Ban Metaは通常の眼鏡として、あるいは度付きレンズを装着できるサングラスとして販売されている。直営店で購入する場合、まずは好みのフレームを選び、視力測定を受け、ユーザーの「見え方」に適したレンズを制作する。一連のステップを、Ray-Ban Store 渋谷の木下氏に丁寧に案内していただいた。

まずRay-Ban Metaについて、従来のRay-Banの眼鏡やサングラスに比べると選べるレンズの自由度が高いことを知っておきたい。

従来のRay-Banのアイウェアは、サングラスタイプと眼鏡タイプで選べるレンズのカテゴリがそれぞれに細分化されている。ところがRay-Ban Metaでは、フレーム(本体)についてはサングラスタイプとメガネタイプの区分を残しながらも、レンズについては横断的にクリア、カラー、調光など様々な種類のレンズが選べる。

「度数」については対応の範囲がサングラスタイプと眼鏡タイプが異なる。一般に眼鏡のレンズの対応範囲は、近視・遠視の度数と乱視の度数を合わせた値(SPHとCYLの合計値)として表示されることが多い。眼鏡タイプのOpticsシリーズの方がより大きな値に対応するが、状況によって変化する可能性があるため、店頭で確認すると安心だ。

渋谷でも5月21日に発売されたRay-Ban Meta AIグラスの取り扱いをスタートした。筆者が取材のため訪れた日も、開店直後から購入・相談のため訪れる来客が後を絶たなかった

つまり筆者のような強めな近視のユーザーは、最初からOpticsの選択を主眼に置く方が賢明だ。ただし、最終的に対応できる度数は選ぶレンズのグレードや仕様によっても少し変わるので、店頭での視力測定の結果、またはあらかじめ眼科で診察を受けた結果と、希望するレンズの組み合わせを、Ray-Banのストアで入念に確認したい。

筆者は今回、平日の午前中にRay-Ban Store 渋谷に訪れた。視力測定とレンズの相談、購入手続きまで約1時間弱だったが、同店舗は人気のストアなので、平日の夕方以降や土日祝日はさらに混み合う可能性もある。

レンズの購入後は、この日に持ち込んだ「Ray-Ban Meta Blayzer Optics(Gen 2)/54サイズ」のフレームと充電ケースをストアに預けて、完成したレンズを装着してもらってから受け取る流れになる。Meta AIグラスが発売後とても好評であることから、筆者は完成まで約2週間待つことになった。たぶん本稿が公開される頃も、まだ制作中だと思う。

筆者が入手したフレームは「Ray-Ban Meta Blayzer Optics(Gen 2)」。レンズ購入時にはフレームを必ず持参したい

もし、フレームも店舗での購入を希望する場合は、来店前にMeta AIグラスの在庫状況を確認してから足を運ぶことをおすすめする。また、Ray-Banの商品を取り扱っているブランド直営店以外の眼鏡店の中には、Meta AIグラスのフレームを持ち込まれても、処方レンズの制作に対応できない店舗もある。同じく、事前確認を済ませてから出かけるようにしたい。

なお、オンラインストアではレンズの購入ができないので、先にフレーム(本体)を購入した後に、レンズの購入と装着が可能なRay-Ban直営店などのストアに持ち込む流れになる。

手もとがより見やすくなるアシストレンズも選べる

視力測定については、通常の眼鏡を購入する場合と変わらない。現在使っているメガネの度数を測り、現在使用しているメガネの度数や視力の状態を確認する。

筆者の場合、レンズの矯正値については現在使っている眼鏡とほぼ同じものにして、ふだん使っている眼鏡とMeta AIグラスとのギャップを少なくする方向を基本にした。そのうえで「RAY-BAN BOOST レンズ」と呼ばれる、手もとがより見やすくなるアシストレンズ機能を追加している。レンズの上部・下部で見え方を変えて、遠方と手元の両方を見やすくしたレンズだ。

入念に視力測定をしていただいた

Ray-Ban Metaシリーズに対応するレンズの種類はとても豊富だ。眼鏡タイプのOpticsシリーズに「度付き+カラー」のレンズを入れて、サングラスのように使うこともできる。

例えば屋内外の両方で、サングラスとしても機能的に使いたいのであれば調光レンズ「Transitions GEN S」が便利だ。通常の調光レンズは屋外では紫外線に反応して、レンズの色がサングラスのように濃くなる。Transitions GEN Sは変化する色も全8色から選べる。

加えて、調光レンズには「Transitions XTRACTIVE」というシリーズがある。この調光レンズは室内灯のような可視光線にも反応する特徴がある。例えば車のフロントガラスに紫外線カットの処理が加えられていると、車内が眩しくても普通の紫外線のみに反応する調光レンズは色が濃くなりにくい。

このような環境では、可視光にもスムーズに反応するTransitions XTRACTIVEが有効だ。カラバリも3色ある。なお、筆者は色が変化しないクリアタイプのレンズを選んだ。

Meta AIグラスにも対応する調光レンズ「Transitions GEN S」と、紫外線だけでなく可視光線にも対応する「Transitions XTRACTIVE」の各色を取りそろえる

屈折率を上げて薄くスマートなレンズにした

レンズの種類を決めたら、続けて屈折率を選ぶ。これは仕上がりの厚みに関わる重要な要素で、一般に屈折率が高いレンズほど、同じ度数でも薄く仕上げやすい。Ray-Banの場合、標準レンズは屈折率1.59のポリカーボネート素材としている。もとはスポーツタイプに近いレンズなので、耐久性にも優れるポリカーボネートを採用しているが、一方で素材の特性として透明度がやや下がる。ゆえに「数ある種類の中から最適なレンズを選択できるように提案している」と、ストアの木下氏から説明を受けた。

矯正度数が強い場合、レンズの屈折率が低いと仕上がりが少し厚めになり、またレンズ周辺部の歪みが出やすい。Ray-Banでは、ユーザーの視力や見え方に合わせたカスタムメイドを提供するプレミアムグレードのレンズを、既製品の標準グレードのレンズとは別に販売している。筆者が今回選んだ「Ray-Ban Amplified Lens」、またはアシストレンズ機能を省いた「Ray-Ban Equalized Lens」だ。

プレミアムグレードのレンズは屈折率を上げて、より薄く加工することも可能だ。筆者はオプションの中から、屈折率1.67の「超薄型タイプ」のレンズをベースにして、さらにブルーバイオレットフィルターと超防キズ プレミアムコートを加えて制作してもらうことにした。Ray-Banのサングラス向けのレンズには通常仕様として耐傷機能が含まれているが、Opticsシリーズのような眼鏡タイプの製品向けのレンズにはこれがない。追加費用はかかるものの、コーティングを付けると傷に対して強くなるので、Meta AIグラスを長くキレイなまま使いたいと考えて追加した。

スマートなフレームの外観を損なわないように、屈折率は高めの「超薄型タイプ」のレンズを選んだ

Opticsシリーズは掛かり具合の調整も可能

購入後のユーザーサポートについても木下氏に聞いた。Ray-Banの直営店、またはオンラインストアのRay-Ban.comで購入したユーザーであれば、後から視力が変わった場合も、処方レンズを再度購入すれば入れ替えてもらうこともできる。あるいは購入後から75日の間であれば、レンズによる見え方が合わない場合は保証交換サービスも受けられる。詳しい条件や費用についてはRay-Banの店舗などで確認したい。

フィッティング面では、眼鏡タイプのOpticsシリーズに限り、テンプルの耳掛け部分先端の微調整にも対応する。ただし、一般的な眼鏡のように該当箇所を各方向へ自在に曲げてフィッティングができるというものではない。Ray-Ban Metaはテンプルの内部にも電子部品がびっしりと詰まっている精密機器なので、曲げ調整ができる箇所が耳もとのハンガー部分に限られる。そのうえ調整は「横方向にのみ5〜6mm程度」の範囲だ。

Opticsシリーズに限り、テンプル先端の耳を掛ける部分を5〜6mm程度調整できる。ただし、必ずRay-Banの製品を取り扱える眼鏡店に持ち込み、技師の方に相談して調整することが推奨されている

ストアのスタッフに製品を預けて、曲げ調整と掛かり具合をみてもらう。木下氏に確認すると、やはりユーザーが自分で調整するべきではないという。ヒーターを使ってフレームを柔らかくするといった、通常の眼鏡製品であればできることがMeta AIグラスの場合は対応していないこともあり、手先による慎重な作業が求められるからだ。

さらにRay-Ban製品を取り扱う店舗がすべて、Ray-Ban Meta製品の調整サービスを提供しているとは限らないので、やはり依頼する前に電話等で確認してから足を運ぶようにしたい。

Optics製品に同梱される「鼻あて」の交換パーツは、ユーザー自身で交換可能だ

Ray-Ban Metaグラスは最先端のスマートグラスであると同時に、ユーザーが毎日身につける眼鏡でもある。だからこそ購入時はもちろん、購入後にも丁寧なサポートを受けながら、自分に最適な1本を選べる安心感には大きな価値がある。

Metaとエシロールルックスオティカは、それぞれの知見を持ち寄り、ユーザーの期待に応える体験を届けようとしている。両社の取り組みは、これからスマートグラスを展開するメーカーやブランドにとって、目指すべき重要な指標のひとつになるだろう。

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