27日に空中発射で打ち上げ予定
高度低下の窮地、ガンマ線天文衛星「Swift」を押し上げる宇宙ロボット「LINK」まもなく打上げ

NASAが2004年から運用してきた、ガンマ線バーストを観測するための宇宙望遠鏡「Swift」は、打ち上げ当初は地上600kmの軌道にあった。しかし希薄ながらも存在する地球大気が抵抗となり、近年の高度は400km程度にまで低下している。
また、2024年に太陽活動が活発化すると地球の大気圏が膨張し、Swiftにかかる大気の抵抗もさらに増加、このままで2026年末には無制御状態で大気圏に再突入することが予想される状況だ。
Swiftには、ISSなどのように自ら軌道を押し上げるスラスターなどはない。そのためNASAは2025年9月、Swiftにドッキングして、より高い軌道まで押し上げる「Swift Boost Mission」を発表。アリゾナ州に拠点を置く民間企業Katalyst Space Technologiesと契約して、2026年6月にこのミッションを実行するロボット宇宙機「LINK」を打ち上げるとした。
通常なら、少なくとも2年は開発期間が必要になるところを、LINKはわずか9か月で開発・製造された。今年5月4日にゴダード宇宙飛行センターで環境試験を完了し、6月にはバージニア州のウォロップス飛行施設でノースロップ・グラマン社製のペガサスXLロケットと結合、打ち上げを待つ状態になった。
ペガサスXLは空中発射型の多段ロケットで、航空機の胴体に取り付けて離陸し、上空からリリースされた直後に点火して軌道へとペイロードを輸送する。
軌道投入が成功すれば、管制チームははまず、LINKをSwiftとランデブー飛行させて、カメラで同宇宙望遠鏡を詳しく観察した上で、ドッキング機構を持たない宇宙望遠鏡をどのようにしてロボットアームで把持するかを決定する。
そして、うまく機体を掴むことができれば、SwiftとLINKが結合した状態での重心を考慮しつつ3つのホールスラスターで軌道を押し上げていく予定だ。
Swiftミッションディレクターのジョン・ヴァン・イーポール氏は、「ハイリスク・ハイリターンなミッションだ」としつつ、もし成功すればこれまでに2000を超える宇宙の果てのガンマ線源を発見してきたSwiftの運用寿命は、5~10年間は延長されるとの予想を示している。
先週、LINKを搭載したペガサスXLロケットは、L-1011スターゲイザー輸送機の機体下部に搭載されて、南太平洋のクワジェリン環礁にある打ち上げ基地へと向かった。

現在の予定では、LINKは6月27日に初期試験軌道に打ち上げられ、メインエンジン、軌道押し上げ用のホールスラスター、太陽電池アレイ、ロボットアームといった一通りの主要機能が正常に機能するかを確認した後に、Swiftへの接近を開始する予定となっている。そして無事に把持したら、数か月をかけてゆっくりと地上600kmの初期軌道まで押し上げる。
もちろん、リスクもないわけではない。たとえば、宇宙望遠鏡を覆う保護用の断熱ブランケットは、長年の運用で脆くなり、ロボットアームが掴んだ際にボロボロと破損してしまう可能性があるという。
またLINKが到達する前に、もし太陽活動が急激に活発化するようなことがあれば、ただでさえ10月頃には高度が300km付近にまで低下すると考えられているSwiftが、さらに急激に高度を落とす可能性もあるという。
しかし、もし無事にすべて完了すれば、Swiftは秋頃には科学観測を再開できるようになるはずだ。
Katalyst社は、すでにLINKに続くさらに高性能なロボット宇宙機「Nexus」の開発資金として1200万ドルを調達済みである。こちらは2027年に、高度3万5786kmの静止軌道にある米軍事衛星「ルースター」のメンテナンスに向かう可能性があるとのことだ。
- Source: NASA Northrop Grumman Katalyst Space Technologies
- via: Space.com
