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テスラ、FSDの宣伝動画で「わき見運転」推奨? デンマークでも道交法違反の走行動画

Munenori Taniguchi

Image:Tesla, @lucapasturini(X)

5月26日、テスラはXへの投稿で、同社製EVで走行中に、ドライバーが運転席でエスプレッソを淹れる動画を公開した。

この動画はXユーザーの@lucapasturiniが制作したものだ。走行中の車内で、ドライバーがハンドルから手を離し、ポータブルエスプレッソマシンを操作している。そして、その映像の下には丁寧にも「I do my espresso while I’m driving(運転中にエスプレッソを淹れています)」と記している。

さらにテスラも、「FSD Supervisedなら、テスラはどこへでもあなたの行きたい場所に連れて行ってくれます。ぜひご自身もお試しください」と車内でエスプレッソを淹れることを推奨しているようにも取れる宣伝文句を記した。

普通のクルマを運転しているのなら、これは前方不注視であり、法律違反に該当する。しかし、この動画ではテスラのFSD(Full Self Driving)Supervised機能がオンになっているため…やはりドライバーは法律に違反している。

2026年現在、FSDは自動運転レベル2の先進運転支援システム(ADAS)の域を出ていない。FSD Supervisedという名は、その名の通りドライバーが自らSupervised(監視付き)状態で使用しなければならないことを意味している(上の動画でも、下部に「現在有効になっている機能は、運転者の積極的な監視を必要とし、車両を自動運転にするものではありません」と記されている)。

当然ながら、この機能を使っても、ドライバーは常に周囲に気を配り、いつでも運転を引き継ぐ体勢を維持しなければならない。

テスラは10年近くにわたり、FSDのみの名称でこの機能を販売していたが、Full Self Drivingという誇大な名前や宣伝が顧客に誤解を招き、誤った認識を持つ顧客らによる危険な走行や、死亡事故が多数発生している。

そのため、カリフォルニア州のDMV(日本の陸運局に相当)は2021年に調査を開始し、2025年に「明らかに虚偽の説明であり、事実と矛盾する」として、テスラに名称変更を命じた。その結果、テスラは命令を受けてFSDの名称にSupervisedを付け加えた。

上記の動画投稿が問題視されるなか、6月9日にはテスラ・ヨーロッパが、デンマークでのFSD導入の承認が得られたことを祝う宣伝動画をXに投稿した。これは欧州では4か国目のFSD導入になる。

だが、こちらの動画にもすぐに問題が指摘された。デンマークの全国紙Politikenは、コペンハーゲン中心部のラードフスプラッセン付近で撮影されたと見られるその映像のなかで、FSDで走行するテスラ車がバス専用レーンを走行し、「右折禁止」の標識を無視して右折し、「進入禁止」の標識を無視してこんどは自転車専用レーンを走行するなど、少なくとも4件の交通違反を犯していると指摘した。

報道を受けたデンマーク自動車連盟(FDM)は、これは「憂慮すべき、非常に深刻な」問題だと述べている。

現在、米国では運輸省道路交通安全局(NHTSA)が、FSDを搭載する米国内320万台のテスラ車を対象とした技術的な分析調査を進めており、すで80件を超えるFSDによる交通違反を認定している。

また、テスラは4月の時点で、多数の個人または集団訴訟を抱えており、その中にはAutopilotおよびFSD機能が原因とみられる事故訴訟(死亡事例含む)が50~60件も含まれているという。

電気自動車関連ニュースサイトElectrekは、テスラがAutopilotおよびFSDによる事故による訴訟に対しては、いかなる衝突事故も製品の欠陥ではないと説明。説明書などの注意書きによってそれが完全自動運転ではないことを「知っている」ドライバーには常に、システムを自ら監視する責任があると主張するのが常套手段だと指摘している。

Electrekはさらに、テスラが最近、以前の顧客の購入契約書を遡及的に修正し、オーナーが最初に契約した時点では存在しなかった「Supervised」の文字を挿入していたことも指摘。これは、テスラが自社のマーケティングが誤解を招くものであることを認識し、その痕跡を隠蔽しようとしたという主張を裏付けるもう一つの動きだと述べた。

一方、テスラは最近になって、すでに受け入れたFSDへの名称変更命令を覆そうとする訴訟を起こしている。その意図はよくわからないが、名称から「Supervised」の文字が再びなくなれば、顧客の一部はやはりFSDの機能をそのままの意味で受け取ってしまうかもしれない。

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