Joy-Con 2でも起こる可能性あり

フランス当局、任天堂に65億円の罰金。Joy-Conドリフト問題で「消費者を誤認させた」と認定

多根清史

Image:Skyhon/Shutterstock.com

フランスの競争・消費・不正取引抑止総局(DGCCRF)は、任天堂オブヨーロッパに対し3500万ユーロ(約65億円)の罰金を科した。その理由は、初代Nintendo SwitchのJoy-Conで発生していたスティックドリフト問題について、消費者に誤解を与えたというものである。

DGCCRFによれば、任天堂はこの問題を早期に把握していたにもかかわらず、公式に認めたのは2020年以降だったという。そのため同局は、2018年から2023年にかけて任天堂が「欺瞞的商慣行」を行ったと認定している。

ここでいうスティックドリフト問題とは、ユーザーが触っていないにもかかわらずスティック入力が発生し、キャラクターが勝手に動いたり操作が不自由になったりする現象である。その主な原因は、アナログスティック内部の可変抵抗器(ポテンショメータ)が摩耗や汚れによって劣化し、位置検出にズレが生じることだ。

ポテンショメータは、金属製のワイパーがカーボントラック(抵抗体)の上を擦ることで電気抵抗を変化させる仕組みである。その構造上、何百時間も使用すればカーボン層が物理的に削られることは避けがたい。また、iFixitはJoy-Conについて、スティック根元のゴムシールからホコリや皮脂が侵入しやすく、カーボントラックや接点周辺に異物が入り込みやすいと指摘している

任天堂がJoy-Conを巡る法的措置に直面するのは今回が初めてではない。2017年の発売後、「触っていないのにスティック入力が入る」との報告が世界各地から相次ぎ、集団訴訟や各国当局による調査の対象となってきた。

任天堂は2019年以降、該当するJoy-Conについて無償修理で対応している。しかし今回のフランス当局の判断は、不具合そのものよりも「問題を認識した時期」と「消費者への告知のあり方」に重点が置かれている。

任天堂オブヨーロッパは罰金の支払いに合意済みであり、それに加えてフランス向け公式サイトのトップページへ「欺瞞的な商慣行」に関する告知を掲載することも義務づけられている。

一方、Switch 2のJoy-Con 2について、任天堂は「アナログスティックはSwitchのJoy-Conよりも大きくなり、耐久性も向上している」と説明しているものの、スティックドリフト問題には言及していない

これに対しiFixitは、Joy-Con 2がドリフトを起こしにくいホールエフェクト方式ではなく、従来と同じポテンショメータ機構を採用していると指摘している。おそらく磁石による着脱機構との干渉を避けるため、従来方式を継続したのではないかと推測する向きもある。

実際、海外ではすでにJoy-Con 2でもスティックドリフトの報告が出始めている。もっとも、現時点では初代Switchほど大規模な報告にはなっていない。今後も状況を注視していきたいところである。

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