2019年以降からほぼ3倍の規模に

売上規模約233兆円を達成したApp Store経済圏。25年はAIアプリとフードデリバリーが牽引

山本 敦

アメリカのマサチューセッツ州ボストンに本社を置く、国際的経済コンサルティング企業のAnalysis Groupに在籍する経済学者が、毎年実施しているアップルの「App Storeエコシステム」に関する経済効果の調査結果を発表した。

その内容によると、App Storeを通じて売上げた総額は前年の1.3兆ドル(約201兆円)を超えて、2025年には1.4兆ドル(約233兆円)に到達したという。2019年以降からその規模はほぼ3倍に到達しており、現在も巨大な経済圏を維持している。

アップルは2025年に、App Storeで問題のあるアプリの登録を200万件以上却下し、不正なアカウントの作成を11億件以上ブロックしたことも報じている

AI系アプリの好調とイノベーションの加速

今期の特徴的な傾向としては、人工知能(AI)を搭載したアプリの成長が挙げられる。2025年にストアでトップランキングを獲得した100件のアプリのうち、40件以上が何らかのAI機能を搭載していた。これらのAI関連アプリが、他のトップアプリと比較しても高い売上成長を記録していたことも特筆に値する。

AIアプリとサービスの内容を紐解くと、その中で健康・フィットネス分野でのパーソナライズされた提案をユーザーに行うものや、クラウドのAIモデルを利用しながら、業務の生産性を高めるツールなどが人気を博したようだ。

現在、アップルが提供するFoundation Modelsフレームワークの活用により、プライバシーを保護しつつ、オフラインでも動作する機能をアプリに実装する開発環境も整っている。

Foundation Modelsフレームワークとは、アップルが開発者向けに提供するAIアプリ関連のAPIのひとつだ。これを利用することで、開発者はApple Intelligenceの基盤となるデバイス上の大規模言語モデル(LLM)を、自社のアプリに直接組み込むことができる。

Foundation Modelフレームワークによって、デベロッパがApple Intelligenceの中核にあるデバイス上の大規模言語モデルを利用して、新しいインテリジェンス機能を開発できるようになった

さらに、アップルのOS向けアプリ開発プラットフォームである「Xcode」も、AIコーディング機能の統合を進めている。最新の「Xcode 26」には、AIが自律的に開発者を支援するコーディングアシスタント機能が搭載されており、より幅広いクリエイターがアプリの設計、構築、リリースを行いやすい環境が整えられた。

こうした開発ツールの進化により、今後のApp StoreのエコシステムではAIを活用したアプリやサービスが一層拡大していくことが見込まれる。

App Store経済圏を支点とする、物理的な商品とサービスの販売額も1.1兆ドルに到達した。従来から親しまれている一般小売や旅行関連のサービスが全体を牽引する中、2025年には日用食料品を含むフードデリバリー関連サービスが注目された。エリア別では特に、韓国と中国においてフードデリバリーの需要拡大が著しかったようだ。

デベロッパの活動支援も拡大

アップルは、世界各地の対デベロッパ支援活動にも力を入れている。その拠点となるApple Developer Centerには、様々なカテゴリのセッション、ラボ、ワークショップ、あるいは対面によるミーティングを通じて、アップルのエキスパートから開発に必要なノウハウを直接学べる機会がある。

2025年にはこのApple Developer Centerの中で、米国、中国、インド、シンガポールの各拠点でさらに多数のデベロッパを受け入れてきた。今後はドイツのベルリンにも新たな施設を開く予定だ。欧州の開発者コミュニティをはじめ、アップルは引き続きデベロッパコミュニティが必要とするサービスを提供しながら、継続的な投資を行う方針を発表している。

2026年のWWDCは米国時間6月8日に開幕する

アップルが毎年開催する「WWDC(世界開発者会議)」もまた、App Storeエコシステムにおいて活躍するデベロッパたちが主人公になるイベントだ。

例年、次世代のアップル製デバイスに搭載されるOS、あるいはハードウェアとサービスのイノベーションなどが一般に向けて発表される基調講演に関心が注がれる。

だが、実際のWWDCは5日間の期間中、世界の各国・地域から多くのデベロッパがアップルの本社に集まり、思い思いに情報を交換し、結び付きを深める熱いイベントだ。筆者も来週はWWDC 26を現地で取材する。デベロッパの活動に関わる最新状況も報告したいと思う。

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