2016年には愛知県の小牧空港に飛来しました。
世界最大の太陽光発電飛行機ソーラー・インパルス2が墜落。米軍の海上哨戒を想定した試験飛行で

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)が開発し、2015年から2016年にかけて、太陽エネルギーのみでの世界一周飛行を成し遂げた太陽光発電飛行機「ソーラー・インパルス2」が、今月上旬にメキシコ湾に墜落して失われた。
ソーラー・インパルス2といえば、2015年6月1日に愛知県の小牧空港に着陸し、約1か月にわたって滞在したのを覚えている人も多いはずだ。
同機は世界一周を成し遂げたのち、2019年に米国のスカイドウェラー・エアロが購入して、自律型無人太陽光発電航空機に改造された。そして米軍によって海上哨戒任務の試験飛行用に使用されていたという。
4月26日、ソーラー・インパルス2はミシシッピ州にあるステニス国際空港を飛び立ち、フロリダ州キーウェスト近郊で行われる米海軍の年次艦隊実験(FLEX)演習に参加していた。この演習は「国際的犯罪組織対策」における海上パトロールのためのAIと無人航空機技術の試験を目的としており、ソーラー・インパルス2は4月30日(木)の演習終了まで、複数の情報収集(INT)センサー機能を提供しながら任務を遂行したという。

ただ、同機はメキシコ湾を覆う大きな寒冷前線が過ぎ去るのを待つため、演習終了後も米国最南端の街であるキーウェスト周辺からキューバの南にあるケイマン諸島北側の空域に留まり飛行を続けていた。これは太陽光発電によって持続的な飛行が可能な同機ならではの対応といえるだろう。
5月3日になると、天候が改善する兆候がみられたため、ソーラー・インパルス2はステニス空港への帰還プロセスを開始した。ところがその道中で気象予報では想定されていなかった悪天候に見舞われ、激しい乱気流や縦方向の突風に巻き込まれることになった。
このときも機体と自律航行システムは機能していたが、飛行のための高度を維持するためにエネルギーを消費してしまった結果、最終的に帰還できるだけの動力が維持できなくなり、5月4日朝に不時着水するに至ったとのことだ。
報道では墜落との表現もあるが、スカイドウェラー・エアロは同機は不時着水したと述べている。また着水後は、機体に浮力を持たない設計であるため程なくして沈没したという。なお、同機は沈没までに、トータル8時間14分という記録的な連続太陽光発電飛行記録を達成した。

スカイドウェラー・エアロは、失われたソーラー・インパルス2は「運用可能なプロトタイプ」だと述べ、「持続的な中高度太陽光発電航空機の実用的な軍事的有用性を実証した」と評価した。一方、スイスのルツェルンにあるスイス交通博物館は、この機体の退役後に同館で展示することでスカイドウェラー・エアロと合意していたが、機体の引き揚げが行われない限り、展示は実現不可能となってしまった。
- Source: Skydweller Aero
- via: Ars Technica
