AIデータセンターがヒートアイランド現象を引き起こします

原子爆弾23個分、米ユタ州の巨大AIデータセンター計画の熱負荷を化学者が試算

Munenori Taniguchi

Image:Box Elder County

米ユタ州のボックスエルダー郡では現在、「ストラトス・プロジェクト」と称する超大規模AIデータセンターの建設が計画されている。このデータセンターによる電力消費は最大9GW(ギガワット)に達すると言われているが、それはユタ州全体の電力使用量の2倍以上の数値だ。

また、ユタ州立大学の物理学教授であるロバート・デイビス氏が試算したところでは、この超大規模AIデータセンターによるエネルギーはそれだけでなく、7~8GW相当の排熱が一帯の空中に放出されることになり、「熱負荷」の総量は16GWにもなるとのことだ。

とてつもない電力を消費する24時間稼働のデータセンターだけに、この施設は一般の電力インフラを使用せず、敷地内にガスタービン式発電設備を使用する予定となっている。しかし、そこにも問題がある。ストラトス・プロジェクトの建設地であるハンセルバレーの一帯は地形が盆地のようになっており、データセンターからの排熱が滞留してしまう可能性があるという。

Image:Box Elder County

デイビス氏は試算結果から、その影響を「毎日、この地域環境に約23発分の原子爆弾に相当するエネルギーが投下されるのと同等」と表現した。もう少しわかりやすいたとえでは、ウォルマート・スーパーセンター2000店舗を縦に20段積み上げたのと同等の排熱規模になるとも述べた。それらは具体的には、地域一帯で昼間なら華氏5度(約2.8℃)、夜間なら華氏28度(約15.6℃)もの気温上昇になるとのことだ。

なお、このAIデータセンターが引き起こすヒートアイランド効果を調査した別の研究では、周辺数マイルの地表温度が最大で華氏16度(約8.9℃)上昇させ、生態系などに影響が及ぶほどの上げ幅になる可能性があると示唆されている。

ちなみに、気温が高くなればデータセンターが求めるシステム全体の冷却性能も上昇する。先週には、バージニア州北部のAmazon Web Services(AWS)のデータセンターで冷却システムが機能不全、すなわちオーバーヒート状態となり、データセンター全体を停止しなければならなくなる問題が発生したばかりだ。

だがボックスエルダー郡は5月4日にAIデータセンターの建設計画を承認しており、今後2か月ほどで10億ドル超が必要になる資金調達が行われるという。またそれに並行して、大気汚染防止許可、飲料水規制監督、水質汚染防止許可といった、州の環境許可手続きも進められるとのことだ。

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