AIオオカミ少年…いや中年

動物園から逃げたオオカミ捜索を“AI生成画像”で混乱させた男、韓国で逮捕。懲役5年か

Munenori Taniguchi

Image:AI Generated Image of Neukgu

韓国警察は、大田(テジョン)市の動物園から脱走したオオカミを探していた当局を混乱させるため、AIで生成したオオカミのフェイク画像を共有したとして、40歳の男を逮捕した。

4月8日に発生したこの脱走劇において、当局は脱走発覚から数時間後にこのフェイク画像(オオカミが交差点を小走りに通り過ぎようとしているように見える)が共有されたのを受け、警察、救急隊員、獣医らが駆けつけ、ドローンなども駆使して大規模な捜索を開始した。

大田市も、交差点付近にオオカミが出没しているとの警告を住民に緊急メッセージで発信した。当時、この画像をフェイクと疑う者はなく、当局は逃走したオオカミに関する記者会見でもこのAI画像を提示したという。

ヌックと名付けられた2歳のオオカミは、1960年代に韓国国内で野生のオオカミが絶滅して以来、そのオオカミに似た種を再導入するプロジェクトの一環として、2008年にロシアから連れてこられたオオカミの群れの3代目にあたる。

動物愛護活動家をはじめとする人々は、園外の環境に慣れていないヌックが負傷したり、無理な捕獲を試みた煽りで死んでしまったりしないかと心配し、The Guardian紙は、李在明大統領が人々を安心させるために警察、消防、軍がヌックを生け捕りにするために最善を尽くしていると声明を出したことを報じた。

当局は、ドローンの映像から動物園近隣の山中に発見したヌックを取り逃がしたものの、近くの道路を走っていた自動車の運転手が山道沿いを歩くヌックの映像を共有したことで再び捜索範囲を絞り込んだ。最終的には高速道路付近で再びヌックを発見、麻酔銃を使って捕獲した。脱走から9日目のことだった。

ちなみに、フェイク画像を共有した容疑者を警察がどうやって特定したかは明らかにされていない。だが英BBCは、防犯カメラの映像を確認し、容疑者がAIツールを使用していたことを示す記録を入手したと報じている。逮捕された際、男は警察に対しフェイク画像を「面白半分で」作ったと供述したとBBCは伝えている。

警察は容疑者が共有したAIフェイク画像が捜索の妨害要因になったと見ている。もしそれが立証されれば、容疑者には最長で懲役5年または最高で6700ドルの罰金が科せられる可能性があるとのことだ。

なお、韓国国民の間では、フェイク画像のことよりも動物園から逃げ出したヌックを「自由」を求める「勇敢な狼」として称える風潮が目立ち、「独立のシンボル」として称えるミームコインが販売されたりもしている。さらにはAIを使用して、ヌックの足取りを地図にまとめるなどしてSNSに投稿するなどして楽しんでいる模様だ。

AIで作られた動物のフェイク画像が混乱を招いた例としては、昨年11月の宮城県女川町でのクマの出没情報が記憶に新しいところだ。このときは町民男性が「内輪の遊び」として道を歩くクマのAIフェイク画像を拡散、それを信じた町が公式のSNSアカウントで注意喚起をしてしまうに至った。

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