今後もクック氏のトランプお世話係は続きそう

アップルCEO交代へ。ティム・クック退任、後任はジョン・ターナス

多根清史

Image:John Gress Media Inc/Shutterstock.com

アップルは現地時間4月20日、ティム・クックCEOが退任し、ハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏が9月1日付でCEOに昇格すると発表した。

クック氏はCEO退任後、アップルの取締役会長に就任する。同社によれば、この人事は取締役会によって「全会一致で承認された」といい、クック氏は夏の間に職務の引き継ぎを進めるという。

公式声明の中でクック氏は、「アップルのCEOであること、そしてこのように並外れた会社を率いる信頼を託されたことは、私の人生における最大の栄誉だった」と述べている。また、「私はアップルを心から愛しており、独創的で革新的、創造的で思いやりにあふれたチームと共に働く機会を得られたことに深く感謝している」と語った。

クック氏は、アップル共同創業者スティーブ・ジョブズ氏の死去を受け、2011年にアップルのCEOに就任した。その後、AirPods、Apple Watch、Vision Proなど新カテゴリーの製品を投入し、iPhoneとiPadを中核とする巨大なエコシステムを構築した。さらにApple TV+とApple Musicを立ち上げ、サービス事業を売上第2の柱へと育て上げた。

同氏は、売上・利益・時価総額のすべてでアップルを桁違いの規模へ拡大させた。アップルの時価総額は、ジョブズ氏死去前後の約3500億ドルから、2026年4月時点では4兆ドル近くに達している。一方で、ジョブズ氏のような製品ビジョンを欠き、独創的な製品を生み出す社風が薄れたとの批判も受けてきた。

一方、ターナス氏は2001年にアップルのプロダクトデザインチームへ参加して以来、製品設計に注力してきた。2013年にハードウェアエンジニアリング担当副社長となり、2021年に現職へ就任。iPhone、iPad、Mac、AirPods、Apple Watchなど、現在の主力ハードウェアのエンジニアリングを長年統括してきた。先日のMacBook Neo発表イベントでも、自ら前面に立っていた。

「アップルの使命をさらに前進させるこの機会に、深く感謝している」とターナス氏は声明で述べている。「私のキャリアのほとんどすべてをアップルで過ごしてきた中で、スティーブ・ジョブズの下で働き、ティム・クックを師として持てたことは幸運だった。私たちが世界や互いと関わる方法の多くを変えてきた製品と体験を形作る一助となれたことは光栄だ」と語った。

なおアップルは、クック氏について「取締役会長として、世界各国の政策立案者との連携など、同社の特定業務を支援する」と説明している。つまり、今後もトランプ政権との良好な関係を維持するため、折衝役を担い続けるとみられる。

これまでも同氏は、トランプ大統領にMac Pro工場を視察させてもてなしたり、24金台座のガラス製ディスクを贈るなど、関係維持に努めてきた。その役割は他の人物では代えがたいとされ、トランプ氏の任期が終わる2029年1月までCEOにとどまるとの見方もあった。しかし今後は、会長としてその役割を果たし続けるとみられる。

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