太陽に向かって突き進む彗星

【動画】太陽に近づきすぎた彗星の最期の様子をNASAが様々な観測機で捉える

Munenori Taniguchi

Image:NASA

4月4日、彗星C/2026 A1(MAPS)は太陽に近づきすぎたために、その極度の高温に晒されて消滅した。地球の距離の約2倍の距離を通過するはずだったMAPS彗星の動向は、天文学者や彗星ウォッチャーらによって注意深く見守られていた。

NASAと欧州宇宙機関(ESA)が共同で運用する太陽・太陽圏観測機(SOHO:Solar and Heliospheric Observatory)、NASAの太陽調査プロジェクト(STEREO:Solar TErrestrial RElations Observatory)、さらにはNASAのコロナ・太陽圏統合偏光計プロジェクト(PUNCH:Polarimeter to Unify the Corona and Heliosphere)などはその様子を観測し、NASAは4月17日にMAPS彗星がまるで太陽に飛び込んでいくかのような動画をSNSに公開した。

SOHOによる動画では、彗星が太陽に向かってまっすぐ移動し、中央の観測円盤の後ろに隠れ、少ししてから反対側に塵の雲となって放出されているように見える。だが実際は、彗星は太陽にまっすぐ向かっていたのではなく、公転軌道の近日点に向かっていた。

STEREOによる広視野画像では、彗星の軌道がよりわかりやすく捉えられている。彗星は太陽をかすめて通り過ぎる軌道を通るように見えたが、途中で太陽に引き寄せられるように曲がり、分裂していることがわかる。SOHOのコロナグラフの主任研究員であるカール・バタムズ氏によると、その破壊は最接近の数時間前に起こった可能性が高いという。

PUNCHは、太陽の外層大気がどのようにして太陽風となり、太陽系全体に広がるのかを研究するために設計されたものだが、こちらもやはりMAPS彗星が致命的な接近を果たす直前までその動向を追跡しており、4月1日に撮影したデータから1枚の画像を合成したもの(この記事冒頭の写真)を公開した。

SOHO、STEREO、PUNCHなどの探査機による観測は、NASAの太陽物理学ミッション群の一部であり、これらを駆使しての今回の観測では、彗星が太陽の灼熱に晒されてどのようになるのかを観察することで、彗星の構造や、彗星が形成された初期の太陽系の状況に関する手がかりが得られるとNASAは説明している。

ちなみに、今回観測されたMAPS彗星は、近日点が太陽に極めて近いクロイツ群と呼ばれる彗星群に属していた。この彗星群は数世紀前に分裂した巨大な彗星が起源と考えられており、すべてが似たような軌道を描いて太陽に非常に接近するのが特徴だ。クロイツ群のなかには非常に大きな彗星もあり、1965年に現れたC/1965 S1(池谷・関彗星)は日中、太陽に近い位置であるにもかかわらず、肉眼で見えるほど明るかったと言われている。

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