SuperNova spacecraftとは「Fighter jet for orbit」なのだそうです
元SpaceXのエンジン開発者、現在は「宇宙戦闘機」開発に携わる

SpaceXでRaptorエンジンの設計において主要な役割を担ったジェフ・ソーンバーグ氏は現在、自身のスタートアップ企業 Portal Space Systems で次世代宇宙機向けの高出力推進システムに取り組んでいる。
同社は、宇宙機の機動性を高めるために行っているシリーズA資金調達ラウンドで、5000万ドルを調達した。ソーンバーグ氏は「私にとって、そして会社全体にとって最もエキサイティングなのは、これが私たちのスピードアップにつながるという点だ」と述べ、「当然のことながら、われわれは『Starburst』と『Supernova』の機能を実証し、できるだけ早く顧客に提供することに注力している」とコメントした。
同社は1年前にシードラウンドで1750万ドルを調達しており、今回の資金調達により、機動性に優れた宇宙機バス「Starburst」と、太陽熱推進システムを用いて軌道間を高速移動するように設計された宇宙機「Supernova」の開発をさらに進めようとしている。
現在、人工衛星のエンジンとして一般的なのは、化学燃料を燃焼させて推進力を得るタイプのエンジンか、太陽エネルギーを電力変換し、高効率ではあるものの低出力なスラスターを駆動させるタイプのものだ。
しかし、Portal Space Systemsの開発する太陽熱推進システムは、太陽光からの熱を集中させてアンモニア系推進剤を急速に加熱することで、これまでに得られなかった高速移動を可能にする。
このシステムを搭載するSupernovaは、その軌道を迅速に調整できるように設計され、従来型の推進システムでは数週間から数か月かかる軌道修正を、数時間から数日で実行できるようになるという。またソーンバーグ氏はSupernovaについてそれが「軌道上の戦闘機」であり、「迅速な機動性が求められる国防総省のニーズを支援する」様々な任務を遂行できるようになるとも述べている。
一方Starburstは、より従来型のスラスターシステムを搭載するものの、Supernovaのために開発された構成部品の81%を流用し、小型の機体ながら「かなりのデルタV(速度変化量)を実現する」とソーンバーグ氏は説明している。
ソーンバーグ氏の見解では、太陽熱推進はロケット技術における次の論理的なステップになるのだという。NASAは1990年代後半にこの技術を徹底的に研究し、多くの場面において従来の推進システムより優れた性能を発揮すると結論付けた。だが、当時はいまよりも人工衛星や探査機の打ち上げ頻度が遙かに少なく、宇宙空間での移動における需要も低かった。当時求められていたのはより強力なロケットの方であったこともあり、太陽熱推進システムの開発はそこで停止した。
だが、現在は状況が大きく変わっている。毎年何千もの新しい人工衛星が打ち上げられ、米軍はライバル国を監視または威嚇するために軌道間を高速で飛行できる宇宙機を求めている。さらに将来、地球の周回軌道上に数百万もの衛星が通信やコンピューティングサービスを提供するようになることは、SpaceXやその他の衛星コンステレーションサービス企業の計画からも簡単に想像が付く。そうなれば、それらを運用する企業や機関は、宇宙機同士の衝突を避けるために迅速な操作が求められる。Portal Space Systemsの開発するエンジンは、まさにその需要に当てはまる。
「ご存知の通り、中国はわれわれの宇宙機をはるかに凌駕する速度で飛行している。われわれにも同等の能力が必要だ」「軌道上をちんたらと移動することはもはや許されない」とソーンバーグ氏は強調した。
同氏はまた、NASAのアルテミス月探査計画への参加も検討していると付け加えた。特にNASAが先月発表した、ミッションのペースを速め、月面基地を建設するという変更点にも、同社の技術が役立つと考えられる。
同社は先月、「Mini-Nova」と呼ばれる実験用ペイロードを軌道へと打ち上げた。Mini-NovaにはStarburstとSupernovaの制御ソフトウェアおよび電力システムが搭載され、その動作テストを実施した。「Mini-Novaは正常に動作している…それはつまり、今後の展開に向けて万全の態勢が整っているということだと思う」とソーンバーグ氏はこのテスト機について述べ、10月にはStarburst 1号の打ち上げを行うべく準備を進めている。
Starburst 1号では、ビデオカメラとエッジ処理システム、そしてゼンノスペースの超伝導磁気アクチュエータを搭載し、太陽同期軌道上で1年間の試験ミッションを計画している。そして、2027年には、最初のSupernovaの打ち上げも予定している。
- Source: Portal Space Systems
- via: TechCrunch SpaceNews GeekWire
