サム・アルトマンCEOの非営利部門からの排除を要求
イーロン・マスク、OpenAI訴訟で“1ドルも要らない”。賠償は全額OpenAI非営利部門へ

イーロン・マスク氏は2024年春、OpenAIとそのCEOであるサム・アルトマン氏を「非営利ミッションからの逸脱」を理由に提訴した。この訴訟は一時的な取り下げや訴状の改訂を経つつも、実質的には継続している。
その最新の修正として、巨額の損害賠償が認められた場合でも「自分のためには1ドルたりとも求めていない」とし、全額をOpenAIの非営利法人部門に返還するよう裁判所に求めていることが明らかになった。
同氏の弁護士であるMarc ToberoffはThe Wall Street Journalに対し、この変更は「マスクの提訴は嫌がらせや損害を目的としている」とするOpenAI側の論点逸らしを封じるものだと説明している。
もっとも、この方針転換は米連邦地裁判事が懲罰的損害賠償(被告の行為が著しく悪質な場合に、実際の損害額に制裁的に上乗せする賠償)の請求を却下した、その1週間後に行われたものである。
マスク側の専門家は、「マスクの3800万ドルの寄付がなければOpenAIとMicrosoftの巨大なバリュエーションは成立し得なかった」とし、そこから逆算して最大1340億ドルを「マスク由来の不当利得」と算定した。しかし判事は、この算定方法が不当利得返還の法理を支えるものになっていないとする被告側の主張に同意した。要するに、「マスクがその1340億ドルを自ら受け取る権利がある」とする主張は成立しなかったのである。
そこでマスク氏側は、法的に取り得る救済と世論への印象の双方を踏まえつつ、「オープンソースの非営利AI研究機関であったOpenAIが営利部門を設け、マイクロソフトからの巨額投資を受けてクローズドな商用路線へ転換した」という当初からの批判軸を改めて強調するかたちを選んだ。すなわち、「自らの利益のためではなく、OpenAIを公益目的へ引き戻すためである」という動機の純粋性を前面に押し出した構図である。
マスク氏は引き続き、アルトマン氏やグレッグ・ブロックマン氏らを非営利側の理事会から排除すること、さらに彼らが営利部門から得た株式や金銭的利益を非営利部門へ移転させることなどを救済として求めている。また、OpenAIについても当初の「公共利益のための非営利として存続する」という約束に反する将来の製品リリース、資金調達、企業取引を永久に制限する可能性がある。
こうした動きに対し、OpenAI NewsroomはX上で、マスク氏が「非営利のOpenAI財団を攻撃する姿勢を変えたかのように装う裁判所提出書類」を提出したと非難している。「本件は一貫して、イーロンが自身の望むためにさらなる権力と資金を得ようとする試みにすぎない」との見解である。
当然ながら、マスク氏もX上でこの新たな申し立てに言及し、ガラスケース内の金袋をアルトマンが盗もうとするのを自身が阻止する様子を描いたGrok生成のコミックをリポストし、「Yes」と投稿している。
- Source: The Wall Street Journal
- via: Arts Technica
