情報ソースも著作権違反?

イタリアYouTube、NVIDIAの本配信含むDLSS 5トレーラー映像を全削除。テレビ局が著作権違反申し立て

Munenori Taniguchi

Image:NVIDIA, Capcom

イタリアのテレビ局La7が、ニュース映像に使用したDLSS 5テクノロジーのトレイラー映像を使用しているYouTube動画すべてに対し、著作権違反の申し立てを行った。そしてYouTubeはどういうわけか、NVIDIA自身の本配信を含め、同映像を使用している動画を言われるがまま、すべて、まるっと削除してしまった。

おそらく、テレビ局の著作権担当者が自社の報道と同じ映像を使用している動画が大量にアップされているのを発見し、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく異議申し立てを行ったと考えられるが、その後YouTubeのAIモデレーターがこの申し立てに反応して、同じコンテンツを使用している動画すべてを洗い出し、削除する結果になった模様だ。

この騒動で一番の問題点は、YouTubeが苦情の詳細をまったく確認せずに削除措置を実施したように見えるところだ。YouTubeはコンテンツのモデレーションにAIを使用していると述べているが、AIは潜在的に違反するコンテンツを大規模に検出するのに使われ、実際の削除は人間のレビュー担当者がリストアップされたコンテンツの正当性を確認する作業を担当しているとされる

しかし一方で、YouTubeはAIの使用について「当社のコンテンツモデレーションシステムの速度と精度を継続的に向上させている」とも述べている。このAIを使ったコンテンツモデレーションに対しては、多くのクリエイターが不満を持っているようだ。

2025年、YouTubeは利用規約違反として検出した1200万以上のチャンネルを停止したとされている。しかしその多くはAIによって検出されたものであり、影響を受けたチャンネルの中には、明らかな誤検出であったり、どこが利用規約に違反したのか不明確だと訴えるチャンネルがたくさんあった。なかには、チャンネル停止について異議申し立てをしたものの、わずか数分でそれも却下されたという者もいたという。これらは、チャンネル停止の審査について人の手が掛けられていなかったことを示していると言えそうだ。

ある動画を別のチャンネルが使用したために削除される事態は珍しいことではないが、今回のケースは動画のオリジナルであるのが明らかなNVIDIA自身も削除されている。さらに、DLSS 5の発表に関するクリエイターのリアクション動画など、その他多くのチャンネルの動画も、多くはフェアユースの範疇であり、削除されるべきものではなかったと考えられる。

NVIDIAほどの企業であれば、YouTubeに削除された動画をもとどおりにするよう働きかける力があるだろう。だが、個人や小規模なクリエイターの場合、動画を復元させるどころか、アカウントそのものにペナルティが科せられる可能性もある。下手をすればチャンネルやアカウントそのものの停止にまで発展しかねない。

ちなみにこの記事の執筆中に確認したところ、La7によって削除されたNVIDIAのDLSS 5発表動画はどうやら復元されたようだ。同様に削除されたその他多くのチャンネルの動画がすべて復元されたかまでは確認できなかったが、PC情報サイトVideoCardzによれば、著作権侵害の申し立ては解除されており、削除された動画もすでに復元されたと考えて良さそうだ。

とはいえ、今後もこのようなことが起こらないよう、YouTubeは著作権侵害報告から削除に至る一連の対応に、申し立ての正当性を確認する仕組みを導入するべきではないだろうか。

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